2026年(令和8年)4月から、国民健康保険に加入している子育て世帯にとって朗報となる制度改正が始まります。国民健康保険の保険料軽減措置が高校生年代まで拡大され、子ども・子育て支援金制度における均等割が18歳以下の子どもについて全額免除となるのです。開始時期は2026年4月1日であり、具体的には令和8年4月分の保険料(5月納付分)から適用されます。この制度改正は、2023年12月に閣議決定された「こども未来戦略」の加速化プランに基づくもので、少子化対策の一環として子育て世帯の経済的負担を軽減することを目的としています。従来、国民健康保険では子どもの人数に応じて均等割が課されるため、子どもが多い世帯ほど保険料負担が重くなる構造がありました。社会保険(会社の健康保険)には扶養制度があり、子どもの保険料負担が発生しないことと比較すると、国保加入の子育て世帯は不利な状況に置かれていたのです。今回の制度改正では、2026年度から新たに導入される子ども・子育て支援金について、18歳以下の子どもは均等割が10割軽減(全額免除)となり、子育て世帯の実質的な負担増が抑えられます。本記事では、この制度改正の詳細な内容、背景、そして子育て世帯への具体的な影響について詳しく解説していきます。

国民健康保険制度の基本的な仕組みと保険料の構成
国民健康保険とは、会社などの健康保険に加入していない方を対象とした公的医療保険制度です。自営業者や農業・漁業従事者、無職の方、年金受給者などが加入対象となっており、市区町村が運営主体として保険事業を行っています。加入者が病気やけがをしたときに医療費の一部を負担することで医療サービスを受けられる仕組みであり、日本の国民皆保険制度を支える重要な柱の一つとなっています。
国民健康保険料は大きく分けて3つの要素で構成されています。まず基礎賦課額(医療分)は、国民健康保険事業に充てるための保険料であり、加入者が病院などで受診した際の医療費に充てられます。次に後期高齢者支援金等賦課額(支援金分)は、75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度を支えるための保険料で、現役世代が後期高齢者の医療費を支援する形で拠出しています。そして介護納付金賦課額(介護分)は、40歳から64歳までの方が対象となる介護保険事業に充てるための保険料であり、40歳未満の方や65歳以上の方はこの部分の保険料を納める必要がありません。
保険料の計算方法については、「所得割」「均等割」「平等割」「資産割」の組み合わせで計算されますが、採用している計算方式は自治体によって異なります。所得割は前年の所得に応じて計算される保険料で、所得が高いほど保険料も高くなり、前年の総所得金額等から基礎控除額を差し引いた算定基礎所得金額に保険料率をかけて計算します。均等割は世帯の加入者数に応じて計算される保険料で、「1人あたりいくら」という形で決められており、所得に関係なく加入者全員に同額が課されます。金額は自治体によって異なりますが、年間で1人あたり3万円から8万円程度の自治体が多く見られます。平等割は世帯ごとに一律で課される保険料で、加入者が1人でも5人でも同額となりますが、平等割を採用していない自治体もあります。資産割は固定資産税額に応じて計算される保険料ですが、現在では廃止している自治体も多くあります。
国民健康保険の大きな特徴として、保険料が世帯単位で計算・課税される点が挙げられます。納付義務者は世帯主となっており、世帯主本人が国保に加入していなくても、世帯の中に国保加入者がいれば、世帯主が代表して保険料を納めることになります。また、社会保険(会社の健康保険など)と異なり、国民健康保険には扶養という概念がありません。そのため、収入のない子どもであっても加入者として数えられ、均等割が課されます。これが子育て世帯にとって大きな負担となっていた点であり、今回の制度改正の背景にもなっています。
現行の子ども向け均等割軽減制度と未就学児5割軽減の内容
子育て世帯の経済的負担を軽減するため、2022年(令和4年)4月から未就学児の国民健康保険料均等割額を軽減する制度が始まりました。この制度は「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第66号)の施行に伴い創設されたものです。従来、国民健康保険では子どもの人数が多いほど均等割の負担が増えるため、「子どもにペナルティーを課しているようだ」との批判がありました。社会保険では扶養家族の保険料負担がないことと比較すると、国保加入の子育て世帯は不利な状況に置かれていたのです。
この制度では、未就学児に係る均等割保険料について、その5割が公費により軽減されます。対象者は国民健康保険に加入する未就学児(6歳に達する日以後最初の3月31日以前である被保険者)であり、軽減率は均等割額の5割(50%)です。申請手続きは不要で自動的に軽減が適用され、所得制限もないため世帯の所得に関係なく一律に適用されます。
未就学児の均等割5割軽減制度は、従来からある低所得者向けの均等割軽減制度と併用することができます。低所得者軽減に該当する世帯の未就学児については、まず所得に応じた軽減(7割、5割、2割)が適用され、残った金額に対してさらに5割軽減が適用されます。具体的な軽減率としては、7割軽減世帯の未就学児は合計8.5割軽減(残り3割の5割である1.5割がさらに軽減)、5割軽減世帯の未就学児は合計7.5割軽減(残り5割の5割である2.5割がさらに軽減)、2割軽減世帯の未就学児は合計6割軽減(残り8割の5割である4割がさらに軽減)、軽減なし世帯の未就学児は5割軽減となります。
軽減額の具体例として、ある自治体で均等割額が年間38,000円(医療分31,600円、支援金分6,500円)の場合、未就学児1人あたり19,000円が軽減されます。未就学児が2人いる世帯であれば、年間38,000円の軽減となります。
しかし、現行制度には課題も指摘されていました。まず対象年齢が限定的であり、軽減の対象が未就学児(小学校入学前)に限られており、小学生以上の子どもには軽減措置がありませんでした。教育費や生活費がかかる学齢期の子どもを持つ世帯への支援が不十分だったのです。また、軽減率が5割にとどまるため、均等割の半額は依然として負担が残り、子どもが多い世帯ほど保険料負担が重くなる構造は変わりませんでした。さらに、均等割の金額自体が自治体によって大きく異なるため、軽減額にも差が生じていました。
2026年4月開始の子ども・子育て支援金制度の概要
2023年(令和5年)12月22日、政府は「こども未来戦略」を閣議決定しました。この戦略は、少子化に歯止めをかけるため、「次元の異なる少子化対策」を実現することを目指しています。戦略の中核となる「加速化プラン」では、総額3.6兆円規模の子ども・子育て支援策が盛り込まれています。主な施策には、児童手当の拡充、出産・子育て応援交付金の制度化、こども誰でも通園制度の創設などがあります。
加速化プランの財源を確保するため、2024年(令和6年)6月5日に「改正子ども・子育て支援法」が成立し、「子ども・子育て支援金制度」が創設されました。この制度は、少子化対策に受益を有する全世代・全経済主体から、医療保険料とあわせて支援金を拠出していただく仕組みです。歳出改革や既定予算の活用を最大限図った上で、令和8年度から令和10年度にかけて段階的に構築されます。
支援金の総額は段階的に拡大されます。令和8年度(2026年度)は6千億円程度、令和9年度(2027年度)は8千億円程度、令和10年度(2028年度)は1兆円程度となっています。子ども・子育て支援金制度の開始時期は令和8年(2026年)4月1日です。具体的な徴収開始は、令和8年4月分保険料(5月納付分)からとなります。
支援金は医療保険の保険料とあわせて徴収する仕組みとなっています。健康保険料や国民健康保険料を納めるとき、支援金も一緒に納める形です。新たな納付書が届くわけではなく、従来の保険料に上乗せされる形で徴収されます。
支援金の負担額は、加入している医療保険制度によって異なります。令和8年度の被保険者1人あたりの平均月額は以下のように見込まれています。協会けんぽは約400円、健康保険組合は約500円、共済組合は約550円、国民健康保険は約400円、後期高齢者医療制度は約350円です。被用者保険(協会けんぽ、健保組合、共済組合)の場合、事業主も従業員と同額を負担します。
高校生年代への均等割軽減拡大の詳細と18歳以下10割軽減の内容
子ども・子育て支援金制度の導入にあたり、国民健康保険における子どもの均等割について、大幅な軽減措置が講じられることになりました。現行制度では未就学児のみが5割軽減の対象でしたが、新制度では18歳に達する日以後の最初の3月31日以前までの子ども(高校卒業年度末まで)について、支援金の均等割額が10割軽減(全額免除)となります。
対象となるのは、国民健康保険に加入している子どもで、18歳に達する日以後の最初の3月31日(高校卒業年度末)までの方です。具体的には、0歳から6歳(未就学児)、7歳から12歳(小学生年代)、13歳から15歳(中学生年代)、16歳から18歳(高校生年代)のすべての年齢層が対象となります。
子ども・子育て支援金制度における均等割について、18歳以下の子どもは10割軽減(全額免除)となります。これは、「支援金制度が少子化対策にかかるものであることに鑑み、こどもがいる世帯の拠出額が増えないようにする」という政策目的に基づいています。
子どもの均等割軽減にかかる費用負担の仕組みは次のとおりです。未就学児の5割分は公費(国・地方)が負担します。未就学児の残り5割分は、対象となる子ども以外の国民健康保険被保険者の支援金で負担します。6歳以上18歳以下の子どもの10割分は、対象となる子ども以外の国民健康保険被保険者の支援金で負担します。つまり、子どもの均等割軽減は、一部を公費で、残りを同じ国民健康保険に加入している大人の支援金で支える仕組みとなっています。
子ども・子育て支援金制度においても、低所得者向けの軽減措置が設けられます。医療保険と同様の所得階層別の軽減率(7割、5割、2割)が適用されるほか、支援金額に一定の上限(賦課上限)を設ける措置も講じられます。
注意が必要なのは、今回の10割軽減は「子ども・子育て支援金」の均等割についてであり、従来からある国民健康保険料本体の均等割とは別の話だという点です。国民健康保険料本体の均等割については、現行制度のとおり未就学児の5割軽減が継続されます。子ども・子育て支援金が上乗せされることで子育て世帯の負担が増えないよう、支援金部分について子どもは全額免除とする措置が講じられるのです。
2024年10月から拡充された児童手当との関連
子ども・子育て支援の強化策として、2024年(令和6年)10月から児童手当が大幅に拡充されました。この制度改正も「こども未来戦略」の加速化プランに基づくものです。
主な変更点として、まず支給対象年齢の拡大があります。支給対象児童の年齢が「中学生(15歳到達後の最初の年度末まで)」から「高校生年代(18歳到達後の最初の年度末まで)」に延長されました。高校生年代の子どもには、1人あたり月額10,000円が支給されます。次に所得制限の撤廃があり、これまで所得制限があり高所得世帯には支給されなかったり減額されたりしていましたが、所得制限が完全に撤廃され、すべての世帯に全額支給されるようになりました。また第3子以降の増額として、第3子以降の支給額が月額15,000円から30,000円に倍増されました。さらに多子カウント方法の変更により、第3子以降の算定に含める対象の年齢が「18歳到達後の最初の年度末まで」から「22歳到達後の最初の年度末まで」に延長されました。これにより、大学生の兄姉がいる場合でも第3子としてカウントされやすくなりました。そして支給回数の変更として、支給回数が「4か月分ずつ年3回」から「2か月分ずつ年6回」に変更され、より細かい頻度で受け取れるようになりました。
拡充後の支給額は、3歳未満が月額15,000円、3歳以上高校卒業まで(第1子・第2子)が月額10,000円、第3子以降が月額30,000円です。新たに支給対象となる方(高校生の子どもがいる世帯、所得制限で受給できなかった世帯など)は、お住まいの市区町村への申請が必要です。児童手当の拡充と子ども・子育て支援金制度を合わせた、子ども一人あたりの給付改善額(高校生年代までの合計)は約146万円とされています。
子育て世帯への影響と今後の展望
子育て世帯のメリットとして、まず保険料負担の軽減があります。子ども・子育て支援金が導入されても、18歳以下の子どもについては均等割が全額免除されるため、子どもがいる世帯の実質的な負担増は抑えられます。次に児童手当との相乗効果として、児童手当の拡充(高校生まで延長、所得制限撤廃、第3子以降増額)と合わせて、子育て世帯への経済的支援が大幅に強化されます。また手続き不要という点も大きなメリットで、均等割の軽減は自動的に適用されるため、特別な申請手続きは必要ありません。
一方、課題と留意点もあります。国民健康保険料本体の均等割については、子ども・子育て支援金の均等割は10割軽減されますが、国民健康保険料本体の均等割については未就学児の5割軽減のままです。小学生以上の子どもについては、保険料本体の均等割負担は引き続き発生します。また自治体による情報提供について、制度が複雑なため、お住まいの自治体からの具体的な案内を確認することが重要です。さらに制度の段階的導入として、支援金制度は令和8年度から令和10年度にかけて段階的に構築されるため、負担額や軽減措置の詳細が変更される可能性があります。
今後のスケジュールとしては、2024年10月に児童手当拡充が開始され、2026年4月に子ども・子育て支援金制度が開始(18歳以下の均等割10割軽減)され、2027年度以降は支援金が段階的に拡大されます。制度の詳細については、お住まいの市区町村の国民健康保険担当課、子ども・子育て支援担当課、またはこども家庭庁に相談することをお勧めします。
国民健康保険料の低所得者軽減制度の仕組み
国民健康保険には、世帯の所得が一定基準以下の場合に、均等割と平等割を軽減する制度があります。この制度は子ども・子育て支援金の軽減とは別に存在し、併用することができます。
軽減の種類と基準として、7割軽減は世帯の総所得金額等が43万円以下(被保険者数に応じて加算あり)の場合に適用されます。5割軽減は世帯の総所得金額等が43万円+29.5万円×被保険者数以下の場合、2割軽減は世帯の総所得金額等が43万円+54.5万円×被保険者数以下の場合に適用されます。
低所得者軽減は、所得の申告をしていれば自動的に判定されます。ただし、所得がない方や所得の申告をしていない方は、軽減が適用されない場合がありますので、必ず所得の申告を行う必要があります。
自治体独自の子育て支援策について
一部の自治体では、国の制度に上乗せする形で、独自の子ども向け均等割軽減制度を設けているところもあります。対象年齢や軽減率は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体の制度を確認することをお勧めします。
また、多くの自治体では子どもの医療費自己負担を軽減する医療費助成制度を設けています。対象年齢や助成内容は自治体によって異なりますが、高校生まで無料としている自治体も増えています。その他にも、出産・子育て応援交付金、保育料の軽減・無償化、給食費の無償化、学用品費の補助など、様々な支援策が実施されています。
国民健康保険と社会保険の違いについて
国民健康保険と社会保険(会社の健康保険)の最も大きな違いの一つが、扶養制度の有無です。社会保険では、被保険者(加入している本人)の扶養に入ることで、配偶者や子どもは保険料を負担することなく医療保障を受けられます。被扶養者が何人いても保険料は変わらず、被保険者分の費用だけで済むのです。一方、国民健康保険には扶養という概念がありません。生計を同一にする配偶者や子どもであっても、それぞれが保険に加入し、それぞれの保険料(特に均等割)を支払う義務があります。
この扶養制度の違いは、子育て世帯に大きな影響を与えます。社会保険に加入している世帯では、子どもが何人いても、子どもの分の保険料は発生しません。親(被保険者)の保険料だけで、家族全員が医療保障を受けられます。これに対し、国民健康保険に加入している世帯では、子ども1人につき均等割が発生します。例えば、均等割が年間4万円の自治体で子どもが3人いる場合、子どもの分だけで年間12万円の保険料負担となります。この構造は、「子どもが多いほど保険料が高くなる」という少子化対策に逆行するものとして長年批判されてきました。今回の子ども・子育て支援金制度における18歳以下の均等割10割軽減は、こうした問題に対する一つの回答といえます。
給付内容にも違いがあります。社会保険では、傷病手当金(病気やけがで仕事を休んだ際の所得補償)や出産手当金(出産で仕事を休んだ際の所得補償)など、働けない期間の生活を支えるための手当金制度があります。国民健康保険には、これらの手当金制度が原則としてありません(一部の自治体で独自に設けている場合を除く)。
保険料の計算方法も異なります。社会保険の保険料は、標準報酬月額(給与額を区分したもの)に保険料率をかけて計算されます。計算は全国一律のルールで行われ、事業主と従業員が折半して負担します。国民健康保険の保険料は、所得割、均等割、平等割、資産割を組み合わせて計算されますが、その詳細は自治体によって異なります。同じ所得でも、住んでいる自治体によって保険料が大きく変わることがあります。
2026年度以降の国民健康保険制度の動向
国民健康保険料には上限額(賦課限度額)が設けられています。どれだけ所得が高くても、この上限を超える保険料は課されません。2025年度(令和7年度)から、この上限額が引き上げられました。2024年度の上限額は106万円でしたが、2025年度の上限額は109万円(3万円引き上げ)となっています。内訳は、基礎賦課額(医療分)が65万円から66万円(1万円増)、後期高齢者支援金等賦課額が24万円から26万円(2万円増)、介護納付金賦課額が17万円(据え置き)です。この引き上げの対象となるのは、全世帯の約1.5%、給与や年金による収入が年間約1,170万円以上の世帯などです。賦課限度額の引き上げは、高所得者世帯により多くの負担を求めることで、中間層の保険料率の過度な引き上げを抑制する目的があります。なお、賦課限度額は2008年度以降継続的に引き上げられており、2008年度と比較すると30万円引き上げられています。
2026年度からは「こども誰でも通園制度」が本格実施されます。この制度は「こども未来戦略」に基づき創設された新しい通園給付で、就労要件を問わず、時間単位で柔軟に保育所等を利用できる制度です。対象年齢は0歳6か月から3歳未満、利用時間は1人あたり月10時間が上限、利用場所は保育所、認定こども園、幼稚園、地域子育て支援拠点などです。0歳から2歳の子どものうち、保育所等に通っていない子どもは約146万人(約6割)います。この制度は、そうした子どもたちに同世代との関わりの機会を提供するとともに、親の育児負担の軽減や孤独感の解消につなげることを目的としています。2023年度から一部自治体でモデル事業が行われ、2024年度からは全国約150の自治体で試行的な事業が実施されました。2025年度に子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事業として制度化され、2026年度から本格実施となります。
高齢化の進展に伴い、医療費は年々増加しています。特に後期高齢者(75歳以上)の医療給付費の増加は著しく、現役世代の負担である後期高齢者支援金等賦課額(支援金分)の上昇要因となっています。政府は、医療費適正化計画の推進、ジェネリック医薬品の使用促進、健康づくりの推進などにより、医療費の伸びを抑制する取り組みを進めています。しかし、高齢化のトレンドは今後も続くため、国民健康保険料が長期的に上昇傾向にあることは否めません。子育て世帯の負担軽減策を講じながらも、持続可能な医療保険制度の構築が課題となっています。
国民健康保険の事務手続きについても、デジタル化が進められています。マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)の推進により、従来の保険証は2024年12月から新規発行が終了し、最大1年間の猶予期間を経て廃止されることになっています。また、オンライン資格確認の導入により、医療機関での保険資格の確認がリアルタイムで行えるようになり、資格喪失後の受診による医療費の返還請求などのトラブル防止が期待されています。
2018年度(平成30年度)から、国民健康保険の財政運営の責任主体が市区町村から都道府県に移行しました(都道府県単位化)。この改革により、都道府県が財政運営の責任主体となり、市区町村は保険料の賦課・徴収や資格管理、保健事業などを担う役割分担となりました。都道府県単位化の目的は、財政基盤の安定化と保険料水準の平準化です。将来的には、同一都道府県内であれば同じ所得・世帯構成であれば同じ保険料となることを目指していますが、完全な統一にはまだ時間がかかる見込みです。
よくある質問と回答
子ども・子育て支援金の均等割10割軽減がいつから適用されるかについては、令和8年(2026年)4月1日からです。具体的には、令和8年4月分の保険料(5月納付分)から適用されます。
軽減を受けるために申請が必要かどうかについては、申請は必要ありません。18歳以下の子どもについては、自動的に支援金の均等割が10割軽減されます。
国民健康保険料本体の均等割も軽減されるかどうかについては、国民健康保険料本体の均等割は現行制度のとおり未就学児のみ5割軽減が適用されます。今回の10割軽減は、2026年度から新たに上乗せ徴収される「子ども・子育て支援金」部分についてです。
高校に通っていない18歳でも対象になるかどうかについては、対象になります。対象は「18歳に達する日以後の最初の3月31日以前」の方であり、高校に在籍しているかどうかは関係ありません。
子ども・子育て支援金がいくらかについては、国民健康保険の場合、令和8年度は1人あたり月額約400円と見込まれています。ただし、18歳以下の子どもについてはこの均等割部分が全額免除されます。
児童手当の申請が必要かどうかについては、2024年10月の制度改正で新たに支給対象となった方(高校生の子どもがいる世帯、これまで所得制限で受給できなかった世帯など)は、お住まいの市区町村への申請が必要です。
国民健康保険料の低所得者軽減と併用できるかどうかについては、併用できます。低所得者軽減(7割、5割、2割)と子どもの均等割軽減は別の制度であり、両方の適用を受けることができます。
住んでいる自治体によって制度内容が変わるかどうかについては、子ども・子育て支援金制度における18歳以下の均等割10割軽減は国の制度であり、全国一律です。ただし、一部の自治体では国の制度に上乗せして独自の軽減措置を設けている場合があります。
社会保険に加入している場合については、社会保険(健康保険)に加入している場合も、子ども・子育て支援金は保険料とあわせて徴収されます。ただし、社会保険には扶養制度があるため、もともと被扶養者である子どもには保険料負担がありません。支援金についても、18歳以下の被扶養者には均等割の軽減措置が適用されます。
制度の詳細を確認できる場所については、お住まいの市区町村の国民健康保険担当課、こども家庭庁の公式ウェブサイト、厚生労働省の公式ウェブサイトで確認できます。

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