2026年2月募集の個人向け国債は、変動10年が約1.55%、固定5年が約1.85%、固定3年が約1.0%~1.2%という金利水準となりました。これは長期金利が約27年ぶりの高水準となる2.35%に達したことを反映した数字であり、銀行の定期預金金利と比較して圧倒的に有利な条件となっています。本記事では、2026年2月に募集される3種類の個人向け国債について、それぞれの金利や特徴、どのタイプを選ぶべきかという判断基準まで詳しく解説します。
日本銀行が2025年12月に政策金利を0.75%へ引き上げたことで、日本の金融市場は「金利のある世界」へと回帰しました。さらに2026年1月には財政拡張への懸念から長期金利が急騰し、10年国債利回りは一時2.35%という1999年以来の水準を記録しました。この歴史的な金利上昇の恩恵を最も受けやすいのが、2026年2月5日から募集が開始される個人向け国債です。元本が国によって保証されながら、これほどの高金利を享受できる機会は、過去30年間でほとんど存在しませんでした。

2026年2月 個人向け国債の金利一覧と基本情報
2026年2月に募集される個人向け国債は、変動10年(第191回債)、固定5年(第179回債)、固定3年(第189回債)の3種類です。募集期間は2026年2月5日から2月27日までとなっており、発行日は3月17日の予定です。
変動10年の適用利率は約1.55%(税引前)と予想されています。この数字は、基準金利となる10年国債利回り(約2.35%)に0.66を掛けて算出されます。税引後の実質利回りは約1.235%となりますが、これでも銀行の定期預金金利を大きく上回る水準です。
固定5年の適用利率は約1.85%(税引前)と予想されています。基準金利となる5年国債利回りから0.05%を差し引いて決定される仕組みです。変動10年よりも当初金利が高く見えますが、5年間金利が固定されるため、今後の金利上昇局面では不利になる可能性があります。
固定3年の適用利率は約1.0%~1.2%(税引前)と予想されています。政策金利(0.75%)の影響を強く受けるため、10年や5年と比較すると利回りは低めに設定されます。
変動10年(第191回債)の金利決定の仕組みと特徴
変動10年の最大の特徴は、金利が半年ごとに見直される変動金利タイプであることです。適用利率は「基準金利×0.66」という計算式で決定されます。2026年2月募集分の基準金利は約2.35%と見込まれるため、当初の適用利率は約1.55%となります。
この「0.66」という係数について疑問を持つ方も多いでしょう。残りの0.34(34%分)は、実質的に「元本保証のための保険料」として差し引かれています。通常の国債は市場で売買されるため、金利が上昇すると価格が下落し、中途売却時に元本割れする可能性があります。しかし個人向け国債は、発行から1年経過すればいつでも額面金額(元本)で国が買い取ることが保証されています。この「絶対に元本割れしない」という安心感を得るための対価が、利回りの34%分なのです。
変動10年が現在の金利上昇局面で最も推奨される理由は、インフレヘッジ機能にあります。今後、日銀がさらに追加利上げを行った場合(2026年7月に追加利上げ観測あり)や、財政不安で長期金利がさらに上昇した場合、この国債の利率もそれに追随して上昇します。仮に基準金利が3.0%になれば利率は1.98%へ、基準金利が4.0%になれば利率は2.64%へ上昇する計算です。
銀行の定期預金のような固定金利商品では、契約時の金利で長期間拘束されるため、将来のインフレや金利上昇に対応できません。一方、変動10年はインフレが加速すればするほど受取利子が増えるため、購買力の低下を防ぐ資産として機能します。
固定5年(第179回債)の金利と注意点
固定5年は満期まで金利が変わらない商品であり、2026年2月募集分の適用利率は約1.85%と予想されています。計算式は「基準金利(5年国債利回り)-0.05%」です。
一見すると、変動10年の当初金利(約1.55%)よりも固定5年の金利(約1.85%)の方が高く見えます。しかし、この数字だけで判断するのは危険です。固定5年を購入するということは、「今後5年間、金利はこれ以上上がらない、あるいは下がる」という見通しに賭けることを意味します。
現在は日銀が利上げサイクルに入ったばかりの「金利上昇初期から中期」の段階です。今後5年間の平均金利が1.85%を超えていく可能性は十分に考えられます。変動10年であれば、将来金利が上がれば受取利子も増えるため、トータルリターンで固定5年を上回る公算が大きいと言えます。
また、固定5年はインフレに対する防衛力がないため、実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いた値)がマイナスになるリスクを5年間背負い続けることになります。「5年後に必ず使う予定がある資金」など、明確な用途が決まっている場合を除き、積極的に選ぶ理由は乏しいと言えるでしょう。
固定3年(第189回債)の金利と位置づけ
固定3年の金利設定は「基準金利(3年国債利回り)-0.03%」です。3年国債利回りは政策金利(0.75%)の影響を強く受けるため、2026年2月募集分の適用利率は約1.0%~1.2%程度にとどまると予想されます。
すべての個人向け国債は発行から1年経過すれば中途換金が可能です。この仕組みを踏まえると、あえて利回りの低い固定3年を選ぶメリットは見出しにくいのが実情です。変動10年を購入して3年後に解約した場合でも、結果的により高い利回りを得られる可能性が高いからです。
固定3年は「3年という期間で運用したい」「金利変動リスクを完全に排除したい」という明確なニーズがある場合に限り、選択肢となり得ます。
3種類の個人向け国債を比較
2026年2月募集の個人向け国債3種類について、主要な項目を比較すると以下のようになります。
| 比較項目 | 変動10年(第191回) | 固定5年(第179回) | 固定3年(第189回) |
|---|---|---|---|
| 予想金利(税引前) | 約1.55% | 約1.85% | 約1.0%~1.2% |
| 金利タイプ | 変動(半年ごと見直し) | 固定 | 固定 |
| 満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
| 中途換金 | 1年経過後可能 | 1年経過後可能 | 1年経過後可能 |
| インフレ対応 | 金利上昇に追随 | 対応なし | 対応なし |
| 推奨度 | 最も推奨 | 条件付き | 限定的 |
この比較から明らかなように、現在の金利上昇局面において最も有利な選択肢は変動10年です。当初金利こそ固定5年より低いものの、今後の金利上昇に追随できる柔軟性と、インフレに対する防衛力を兼ね備えています。
2026年2月の金利がこれほど高い理由
2026年2月の個人向け国債の金利が歴史的な高水準となった背景には、複数の要因が重なっています。
まず、日本銀行の金融政策の転換があります。日銀は2025年12月の金融政策決定会合において、政策金利を従来の0.50%程度から0.75%程度へ引き上げることを決定しました。政策金利が0.75%に達するのは1995年以来、実に30年ぶりの出来事です。この利上げは賃金と物価の好循環が確認されたことによる「正常化」の一環であると同時に、円安是正や国際的な金利差縮小を意識した戦略的な動きでもありました。
さらに大きな影響を与えたのが、2026年1月に発生した長期金利の急騰です。「食料品の消費税率を一時的にゼロにする検討」との発言を受けて、債券市場では財政規律への懸念が一気に広がりました。「恒久財源なき減税は、国債の増発と財政規律の喪失を招く」との見方から国債売りが加速し、10年国債利回りは2026年1月20日に一時2.35%まで急騰しました。これは1999年2月以来の水準であり、市場参加者に強烈なインパクトを与えました。
このような「悪い金利上昇」は、住宅ローン金利の上昇や企業の資金調達コスト増加というネガティブな側面を持ちます。しかし、個人向け国債の購入者にとっては、これが歴史的な好機となるという逆説的な状況が生まれています。個人向け国債の金利は市場の実勢金利に連動して機械的に決定されるため、市場参加者が財政リスクを恐れて国債を売り浴びせ、利回りが上昇すればするほど、個人向け国債の適用利率も自動的に上昇するからです。
機関投資家が評価損(債券価格の下落)に怯える中で、元本保証という強力な盾を持つ個人投資家だけが、この高金利をリスクなしで享受できるのです。この非対称性こそが、今、個人向け国債が「最強の資産」と評される理由となっています。
個人向け国債の中途換金の仕組み
個人向け国債は発行から1年間は原則として換金できませんが、1年経過後はいつでも換金可能です。ただし、換金時には「中途換金調整額」が差し引かれます。
この中途換金調整額は「直近2回分の各利子(税引前)×0.79685」という計算式で算出されます。「0.79685」という数字は「1-0.20315」(所得税、復興特別所得税、住民税の合計税率)を意味しており、実質的には「受け取った利子(税引後相当額)をそのまま返してください」という仕組みです。
重要なのは、この中途換金調整額によって元本そのものが毀損するわけではないという点です。最悪のケースでも「直近1年間の運用益がゼロになる」だけであり、投資した元本は元本として戻ってきます。市場価格で売却する通常の債券投資とは決定的に異なるこの安心感こそが、個人向け国債の核心的な価値と言えるでしょう。
銀行定期預金との比較
個人向け国債(変動10年)と銀行定期預金を比較すると、その差は歴然としています。
| 比較項目 | 個人向け国債(変動10年) | メガバンク定期(1年) | ネット銀行定期 |
|---|---|---|---|
| 予想金利(年率) | 約1.55%(変動) | 0.275%程度 | 0.50%~0.60%程度 |
| 金利タイプ | 変動(上昇余地あり) | 固定 | 固定 |
| 中途解約 | 1年経過後、軽微なペナルティ | 中途解約利率適用(ほぼ0%) | 中途解約利率適用 |
| 元本保護 | 国が全額保証 | 預金保険(1000万円まで) | 預金保険(1000万円まで) |
メガバンクの定期預金金利(0.275%)と比較すると、個人向け国債は約5.6倍の利回りを提供します。ネット銀行の好金利定期預金と比較しても、その優位性は明らかです。
特に「金利上昇局面」において、固定金利の定期預金に資金を預けることは機会損失を意味します。変動金利である個人向け国債は、今後さらに金利が上昇した場合にも対応できるため、この点でも優れた選択肢となります。
また、個人向け国債は国が全額を保証しているため、預金保険の上限である1000万円を超える資金の保全にも適しています。1年以上の期間で資金を運用できるのであれば、銀行預金よりも個人向け国債を選ぶ合理性が高いと言えるでしょう。
証券会社のキャンペーン情報と注意点
2026年2月の個人向け国債購入に際して、証券会社のキャンペーン事情に大きな変化が生じています。これまで多くの投資家が活用してきた「国債リレー」(1年ごとに解約して買い直し、キャッシュバックを受け取り続ける手法)が、主要証券会社のルール変更によって制限されることになりました。
2026年2月のキャンペーンでは、「純増ルール」が導入・厳格化されています。これは「キャンペーン対象金額は、期間中の購入金額から期間中の中途換金(売却)金額を差し引いた純増金額とする」というものです。
たとえば、2025年に購入した国債1000万円を中途換金し、その資金で2026年2月の新発国債1000万円を購入した場合、従来であれば1000万円分がキャンペーン対象となり現金プレゼントを受け取ることができました。しかし新ルールでは、購入1000万円から売却1000万円を差し引いた結果、対象金額は0円となり、プレゼントを受け取ることができません。
この変更は、証券会社が単なる回転売買を排除し、真の「新規資金」のみを優遇する方針へ転換したことを意味します。
新規資金で個人向け国債を購入する場合は、各証券会社のキャンペーンを積極的に活用することをお勧めします。大手証券会社(みずほ証券、大和証券、野村證券など)のキャンペーン還元率は、購入額が増えるほど有利になる傾向があります。少額の購入や管理のしやすさを重視する場合は、SBI証券などのネット証券を選ぶのも良い選択です。
一方、既存の変動10年を保有している場合は、わざわざ解約して新しい変動10年を買い直す必要はありません。変動10年は過去に購入したものであっても、直近の金利上昇に伴い適用利率が上昇しています。解約すると中途換金調整額が発生するだけで、キャンペーンも受け取れないため、そのまま保有を続けるのが得策です。
ただし、過去に金利0.05%で購入した固定3年や固定5年を保有している場合は、キャンペーン対象外であっても解約して変動10年に乗り換えることを検討する価値があります。金利差が1.5%程度あれば、中途換金調整額のロスは数ヶ月で回収できる計算になります。
個人向け国債の購入方法と募集期間
2026年2月募集の個人向け国債は、2026年2月5日(木)から2月27日(金)までの期間に申し込みを受け付けています。購入は証券会社や銀行、郵便局などの金融機関で可能です。
購入単位は最低1万円からとなっており、1万円単位で金額を指定できます。上限金額の制限はないため、まとまった資金を一度に投資することも可能です。
ネット証券を利用する場合は、口座開設から購入までをオンラインで完結できます。対面型の証券会社や銀行では、窓口で相談しながら手続きを進めることができます。
発行日は2026年3月17日となっており、この日から利子の計算が始まります。変動10年の場合、最初の利払いは発行から約半年後に行われます。
2026年2月の個人向け国債についてよくある疑問
個人向け国債について、多くの方が気になる点を整理しておきます。
元本保証の仕組みについては、個人向け国債は日本国が発行する債券であり、元本と利子の支払いは国によって保証されています。銀行預金のように預金保険の上限(1000万円)を気にする必要がなく、どれだけ大きな金額を投資しても全額が保護されます。
金利の見直し時期については、変動10年の金利は半年ごとに見直されます。市場金利の動向を反映して、利払いごとに適用利率が変わる可能性があります。金利が上昇すれば受取利子も増え、金利が下落すれば受取利子も減りますが、最低金利(0.05%)は保証されています。
税金の取り扱いについては、個人向け国債の利子は20.315%の源泉分離課税の対象となります。特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、株式や投資信託の譲渡損失と損益通算が可能です。これは銀行預金の利子にはない、証券会社で国債を保有することのメリットの一つです。
購入後の管理については、一度購入すれば特別な管理は必要ありません。利払い日には自動的に指定口座へ利子が入金されます。満期を迎えた場合も、元本は自動的に口座へ戻されます。
資産運用における個人向け国債の位置づけ
インフレ率が2%程度で推移する現在の経済環境において、資産を銀行預金に放置することは実質的な価値の目減りを意味します。1000万円を金利0.275%の定期預金に預けた場合、年間の利息はわずか2万7500円です。一方、インフレによる実質的な価値の減少は年間約20万円に達する計算になります。
個人向け国債(変動10年)の約1.55%という金利は、このインフレによる価値減少を大幅に軽減できる水準です。さらに、今後金利が上昇すれば利回りも上昇するため、インフレに対する防衛力はさらに高まります。
株式や投資信託などのリスク資産と組み合わせてポートフォリオを構成する場合、個人向け国債は「守りの資産」として重要な役割を果たします。株式市場が乱高下する局面でも、元本が保証された安全資産があることで、精神的な余裕を持って資産運用を続けることができます。
「株式50%、現金50%」というポートフォリオの現金部分を「株式50%、個人向け国債50%」に置き換えるだけで、リスク水準を変えずにポートフォリオ全体の期待リターンを向上させることが可能です。
まとめ
2026年2月募集の個人向け国債は、約30年ぶりの高金利水準という歴史的な好条件で発行されます。変動10年は約1.55%、固定5年は約1.85%、固定3年は約1.0%~1.2%という金利は、銀行定期預金を大きく上回る水準です。
3種類の中で最も推奨されるのは変動10年です。当初金利こそ固定5年より低いものの、今後の金利上昇に追随できる柔軟性と、インフレに対する防衛力を兼ね備えています。元本が国によって保証されながら、金利上昇の恩恵も受けられるという点で、現在の金融環境において最も優れたリスク調整後リターンを提供する商品と言えるでしょう。
募集期間は2026年2月5日から2月27日までです。この機会を逃さず、資産防衛の一歩を踏み出されることをお勧めします。

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