確定申告とは、会社員が年末調整では処理しきれない控除を申請し、払いすぎた税金を取り戻すための手続きです。特に医療費控除やふるさと納税を活用することで、数万円単位の還付を受けられる可能性があります。2026年(令和7年分)の確定申告では、基礎控除や給与所得控除の大幅な改定が適用されるため、会社員にとってこれまで以上に重要な手続きとなっています。
会社員の給与からは毎月、源泉徴収として概算の所得税が天引きされています。この概算額は標準的な控除のみを想定して計算されているため、個人が負担した多額の医療費やふるさと納税の寄附金などは反映されていません。つまり、確定申告を行わないことは、本来取り戻せるはずの税金を放棄していることと同じです。この記事では、令和7年度税制改正の内容から、医療費控除やふるさと納税の具体的な活用方法、さらにスマートフォンを使った申告手続きまで、会社員が税金を取り戻すために知っておくべき情報を詳しく解説します。

確定申告で会社員の税金が戻る仕組みとは
会社員の確定申告は、多くの場合「義務」ではなく「権利」の行使です。副業所得が20万円を超える場合や年収が2,000万円を超える場合には申告義務が発生しますが、大多数の会社員にとっての確定申告は、過払いの税金を取り戻すための還付申告として機能します。
日本の所得税は源泉徴収制度を採用しており、毎月の給与から概算の税金が差し引かれています。この概算額は、あくまで標準的な控除のみで計算されたものです。医療費控除やふるさと納税の寄附金控除、住宅ローン控除の初年度分などは、年末調整では反映されないか、別途手続きが必要となります。そのため、確定申告を行うことで初めてこれらの控除が適用され、払いすぎた税金が還付されるのです。
確定申告によって税金が戻る代表的なケースとして、年間の医療費が一定額を超えた場合の医療費控除、ふるさと納税で確定申告が必要な場合の寄附金控除、住宅ローン控除の初年度申告などが挙げられます。特に医療費控除とふるさと納税は、会社員が最も活用しやすい制度であり、これらを正しく申告するだけで数千円から数万円の還付を受けられる可能性があります。
令和7年度税制改正が会社員の確定申告に与える影響
2026年の確定申告(令和7年分)は、令和7年度税制改正による大幅な変更が適用される最初の年です。基礎控除や給与所得控除の構造が変わり、会社員の課税所得の計算に大きな影響を及ぼしています。単に控除額の数値が変わるだけでなく、課税所得の算出ロジックそのものに関わる変更が含まれており、中低所得層から高所得層まで広範囲にその影響が及んでいます。
基礎控除額の大幅な見直しと所得階層別の変化
令和7年分の確定申告で最も注目すべき変更点は、基礎控除の大幅な見直しです。基礎控除とは、すべての納税者が所得から差し引くことができる控除であり、生活保障的な意味合いを持つ制度です。今回の改正では、その性格が「所得再分配」のツールとしてより鮮明になりました。
改正前の制度では、合計所得金額が2,400万円以下であれば一律48万円の控除が適用されていました。しかし、令和7年分からはこの一律の仕組みが撤廃され、所得階層に応じた段階制へと移行しています。合計所得金額が132万円以下の納税者に対しては、基礎控除額が従来の48万円から95万円へと倍近くに引き上げられました。これはパートタイム労働者やアルバイト従事者が直面する「年収の壁」問題への対応策であり、課税最低限を引き上げることで就労調整の抑制を狙った措置です。
会社員の多くが該当する中間所得層については、合計所得金額が132万円を超え336万円以下の層で基礎控除額が58万円に設定されるなど、所得の増加に伴い控除額が段階的に減少する構造が採用されています。さらに、合計所得金額が2,350万円を超える高所得者層については、基礎控除の適用が制限される措置が強化されました。
副業収入がある会社員の場合は特に注意が必要です。給与所得と副業による雑所得を合算した合計所得金額が、基礎控除のどの階層に当てはまるかを正確に把握しなければなりません。わずか数万円の所得差で基礎控除額が大きく変動し、結果として税率区分を超えてしまう可能性もあります。年末調整では給与所得のみをベースに計算が行われることが多いため、確定申告で副業所得を合算した際に、予想外の税額変動が生じるリスクがあることを認識しておく必要があります。
給与所得控除の改定と会社員の手取りへの影響
基礎控除と対になる形で変更されたのが給与所得控除です。会社員にとっての「概算経費」と位置づけられるこの控除は、令和7年分から計算構造に変更が加えられました。
特に注目すべきは、給与所得控除の最低保障額の変更です。改正前は55万円とされていた最低保障額が、給与収入が162.5万円以下の層に対しては65万円に引き上げられました。これにより該当する層では課税所得が減少し、手取りが増える方向での調整が行われています。
ただし、基礎控除の引き上げと給与所得控除の変更はセットで実施されている点に注意が必要です。税制改正の全体像としては、給与所得控除を調整しつつ基礎控除を拡大するという「控除の振替」の流れがあります。特定の所得層においては、両者の差し引きで実質的な変化がない、あるいは増税となるケースも存在します。確定申告を行う際には、源泉徴収票に記載された「給与所得控除後の金額」が新制度に基づいて正しく計算されているかを確認するとともに、基礎控除との合計額が自身の課税所得にどう影響しているかを再計算する視点が求められます。
特定親族特別控除の創設と扶養控除の再編
令和7年度改正では、家計に直結する「特定親族特別控除」が新たに創設されました。この制度は従来の扶養控除の枠組みを見直し、特に子育て世帯や若年層を扶養する世帯への支援を充実させることを目的としています。
従来の扶養控除では、16歳以上の扶養親族に対して一般の控除が適用され、19歳以上23歳未満の特定年齢層には「特定扶養親族」として控除額の上乗せがありました。今回の改正で創設された特定親族特別控除は、この仕組みをさらに精緻化し、対象となる親族の年齢要件や所得要件に基づいて新たな控除枠を設定するものです。
従来の制度では、扶養している大学生の子どもがアルバイトで一定の年収を超えた場合、扶養控除が全額カットされていました。しかし、新制度では親族の所得に応じた控除額の逓減措置や新たな控除区分の適用が導入されており、従来の「0か100か」という硬直的な判定基準からの脱却が図られています。
この変更は年末調整の実務においても混乱を招きやすい点です。年末の時点で子どものアルバイト代が確定していないケースも多く、年末調整で誤った扶養判定がなされ、是正のために確定申告が必要となるケースの増加が予想されます。「特定親族」に該当するかどうかの判断は税額にして数万円から十数万円の差を生むため、確定申告における最重要チェック項目の一つです。
通勤手当の非課税限度額引き上げと確定申告での対応
見落とされがちですが、実務上重要な変更点として「通勤手当の非課税限度額の引き上げ」があります。これはインフレによるガソリン価格の高騰等を背景に、マイカー通勤者等に支給される通勤手当のうち、税金がかからない範囲を拡大する措置です。
重要なのは、この改正が遡及して適用される場合の取り扱いです。通常は企業が年末調整で差額調整を行いますが、年の途中で退職した場合や企業の経理処理が追いついていない場合には、源泉徴収票に古い限度額に基づいた過大な課税額が記載されている可能性があります。この場合、会社員自らが確定申告を行うことで非課税枠の拡大分を反映させ、課税対象となる給与所得を減額修正することができます。自身の源泉徴収票の「支払金額」と「非課税通勤手当」の内訳を精査する価値は十分にあります。
医療費控除で税金が戻る条件と対象範囲
医療費控除は、会社員が確定申告を行う最大の動機となる制度の一つです。しかし、制度の表面的な理解にとどまると、本来受けられるはずの還付を逃してしまう可能性があります。「医療費」の定義の境界線や家族合算の戦略的な活用法を深く理解することが、還付額の最大化につながります。
「年間10万円」だけではない医療費控除の基準
医療費控除について「年間10万円を超えたら申告」というフレーズがよく知られています。しかし、この10万円という数字はあくまで所得が一定以上の層に適用される基準であり、すべての納税者に当てはまる絶対的なラインではありません。
正確な要件は、「その年に支払った医療費の総額から保険金等で補填される金額を差し引いた額が、10万円または総所得金額等の5%のいずれか少ない方を超える場合」と規定されています。この「総所得金額等の5%」という規定が極めて重要です。
たとえば、育児休業中や時短勤務、定年再雇用などで年収が下がり、総所得金額等が200万円未満となった会社員の場合を考えてみます。総所得金額等が150万円であれば、その5%は7万5,000円です。つまり、医療費の自己負担額が10万円に達していなくても、7万5,000円を超えていれば医療費控除を受けることが可能なのです。
この事実は意外なほど知られておらず、年収が下がった年にこそ医療費負担の相対的な重みが増すにもかかわらず、「10万円いっていないから」と申告を諦めてしまうケースが少なくありません。源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が200万円を下回っている場合は、医療費の集計基準を引き下げて確認する価値があります。
医療費控除の対象になるもの・ならないもの
医療費控除の対象は「医師等による診療、治療、施術を受けるために直接必要なもの」と定義されています。しかし、実際の生活ではこの定義に当てはまるか判断に迷うケースが数多く存在します。
控除対象となる費用として、まず通院のための公共交通機関の交通費があります。電車やバスの運賃は原則として全額が対象となり、日時や利用区間、運賃を記録したメモや交通系ICカードの履歴があれば証憑として認められます。タクシー代については、深夜の急病で公共交通機関が利用できない場合や骨折等で歩行困難な場合など、やむを得ない事情がある場合に限り対象です。
歯科治療については、保険適用の治療だけでなく、金歯やセラミック、インプラントなどの自由診療費用も、医学的に必要で一般的に使用される材料や技術であれば対象となります。子どもの歯列矯正は、咀嚼機能や発音への影響が考慮されるため、原則として医療費控除の対象として認められています。
市販薬(OTC医薬品)では、風邪薬や頭痛薬、胃腸薬など、治療や療養を目的として購入した医薬品が対象です。ドラッグストアのレシートは必ず保管しておく必要があります。介護費用のうち、訪問看護や訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション(デイケア)などの医療系サービスの自己負担額も控除の対象です。特別養護老人ホームの施設サービス費については、自己負担額の2分の1が対象として認められています。傷病によりおおむね6か月以上寝たきりの状態にあり、医師が治療上おむつの使用が必要と認めた場合には、おむつ代も対象となります。
控除対象とならない費用としては、インフルエンザや新型コロナウイルスの予防接種費用、疲労回復のためのビタミン剤やサプリメントの購入費があります。これらは治療目的ではないため対象外です。ただし、医師の処方箋に基づいて処方されたビタミン剤等は対象になります。健康診断や人間ドックの費用も原則として対象外ですが、健診の結果として重大な疾病が発見され引き続き治療を行った場合に限り、その健診費用も医療費控除に含めることができます。異常が見つからなかった場合の健診費用は、全額自己負担となります。
自家用車での通院にかかるガソリン代、駐車場代、高速道路料金は、いかなる場合も対象外です。ガソリン代等が生活費との区分が困難であることなどがその理由とされています。入院時に購入したパジャマや洗面具、医師や看護師への謝礼も医療費とは認められません。美容整形や美容皮膚科での施術は、医療機関で行われたものであっても控除対象外です。
セルフメディケーション税制との比較と選び方
通常の医療費控除と並んで検討すべき制度が「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」です。これは、健康維持のために一定の取り組みを行っている人が、対象となるスイッチOTC医薬品(医療用から転用された要指導医薬品及び一般用医薬品)を購入した場合に適用できる特例制度です。
セルフメディケーション税制の控除額は、「実際に支払った対象医薬品の購入費合計から保険金等の補填額を差し引き、さらに1万2,000円を差し引いた金額(最高8万8,000円)」として計算されます。最大の特徴は、足切りラインが通常の医療費控除の10万円に対し、わずか1万2,000円と低く設定されている点です。大きな病気や怪我はしていないが、ドラッグストアで風邪薬や湿布、アレルギー薬などを頻繁に購入している家庭にとっては、通常の医療費控除よりも有利になる可能性があります。
どちらの制度を選ぶべきかは、医療費の内訳によって大きく異なります。以下の表で2つのシナリオを比較します。
| 項目 | シナリオA | シナリオB |
|---|---|---|
| 病院での治療費 | 年間8万円 | 年間15万円 |
| 対象市販薬の購入費 | 年間3万円 | 年間3万円 |
| 通常の医療費控除額 | 11万円-10万円=1万円 | 18万円-10万円=8万円 |
| セルフメディケーション税制の控除額 | 3万円-1.2万円=1.8万円 | 3万円-1.2万円=1.8万円 |
| 有利な制度 | セルフメディケーション税制 | 通常の医療費控除 |
注意すべきは、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないというルールです。どちらか一方を選択して申告する必要があり、一度選択して申告書を提出した後に変更することは認められていません。そのため、申告前に1年間のレシートを「病院・処方箋薬」と「対象市販薬」に分けて集計し、どちらが有利かシミュレーションを行うことが不可欠です。
家族の医療費を合算して還付額を最大化する方法
医療費控除の効果を高めるテクニックとして、家族分の医療費合算があります。医療費控除は納税者本人だけでなく、「自己と生計を一にする配偶者その他の親族」のために支払った医療費を合算して申告できる制度です。
ここでポイントとなるのが「生計を一にする」という要件の解釈です。これは必ずしも同居を条件としていません。勤務の都合で別居しているが休日に帰宅し生活費を共にしている配偶者、親元を離れて下宿している大学生で学費や生活費の送金を受けている子ども、病気療養のために別の場所に住んでいるが生活費や療養費の仕送りを受けている親なども、すべて「生計を一にする」親族として認められます。
さらに重要なのが、どの家族が申告するかという点です。日本の所得税は超過累進税率を採用しているため、所得が高い人ほど税率が高くなります。同じ額の医療費控除を適用する場合、税率が高い家族がまとめて申告した方が還付額は大きくなります。たとえば、夫の税率が20%で妻の税率が5%の場合、10万円の医療費控除による還付効果は、夫の申告で2万円、妻の申告で5,000円となり、世帯全体で1万5,000円もの差が生じます。共働き夫婦は、どちらで申告すべきか慎重に判断する必要があります。
ふるさと納税と確定申告で税金が戻る仕組みと注意点
ふるさと納税は実質2,000円の自己負担で地方自治体の返礼品を受け取れる制度として、会社員の間で広く利用されています。しかし、税制上の処理には「ワンストップ特例制度」と「確定申告」の二つのルートが存在し、この選択を誤ると税金が全く戻らないという深刻な事態を招くことがあります。
ワンストップ特例が無効になるケースと確定申告での対処法
会社員の多くは確定申告の手間を省くためにワンストップ特例制度を利用しています。寄附先の自治体に申請書を郵送するだけで、確定申告なしに控除が受けられる便利な仕組みです。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。医療費控除や住宅ローン控除の初年度などで確定申告を行った場合、提出済みのワンストップ特例申請はすべて無効になります。これは国税庁のシステムにおいて、確定申告の情報がワンストップ特例の情報よりも優先される仕様になっているためです。
よくある失敗事例として、1年間で複数の自治体にふるさと納税を行い都度ワンストップ特例申請書を送付した後、年明けに医療費が10万円を超えていることに気づき医療費控除のために確定申告を行ったものの、「ふるさと納税はワンストップで手続き済み」と考えて寄附金控除欄に何も記載しなかったというケースがあります。この場合、ワンストップ特例は無効となり確定申告書にも記載がないため、ふるさと納税の控除が一切適用されず、全額が純粋な寄附となってしまいます。
この事態を防ぐには、医療費控除などで確定申告を行うと決めた時点で、ワンストップ特例は「なかったもの」として扱い、すべての寄附先と金額を確定申告書に改めて記載することが必要です。
ふるさと納税の還付と住民税控除のタイミング
ふるさと納税による税制上のメリットは、確定申告を行った場合「所得税からの還付」と「住民税からの控除」の二段階で実現されます。
所得税からの還付は、確定申告書に記載した口座に申告から約1か月から1か月半後に現金で振り込まれます。還付額の目安は「(寄附金額-2,000円)×所得税率(復興特別所得税含む)」でおおよそ計算できます。所得税率が高い人ほど、この現金還付の比率が高くなります。住民税からの控除は、所得税で引ききれなかった分が翌年度(2026年6月から2027年5月)の住民税から毎月差し引かれる形で還元されます。こちらは現金が戻るのではなく、給与天引きされる住民税額が安くなるという形です。
ワンストップ特例のみを利用した場合は所得税からの還付はなく、全額が翌年度の住民税から控除されます。控除の総額は原則として同じですが、「現金が戻るか、将来の支払いが減るか」というキャッシュフローの違いがある点を理解しておく必要があります。
ふるさと納税の控除が正しく適用されたかどうかは、毎年5月から6月頃に勤務先から配布される「住民税決定通知書」で確認できます。摘要欄の「寄附金税額控除額」や税額控除額の欄に適切な金額が記載されているかをチェックし、記載がない場合や金額が極端に少ない場合は申告漏れやワンストップ特例の無効化が疑われるため、居住地の自治体へ問い合わせることが大切です。
住宅ローン控除とふるさと納税の併用で注意すべきポイント
住宅ローン控除とふるさと納税を併用する場合、控除の適用順序に注意が必要です。所得税の計算では、まず「所得控除」であるふるさと納税の寄附金控除が適用されて課税所得が決まり、その後に算出された税額から「税額控除」である住宅ローン控除が差し引かれます。
住宅ローン控除の額が非常に大きく所得税額をゼロにしてしまう場合、ふるさと納税による所得税還付を受ける余地がなくなります。引ききれなかった分は住民税の控除に回されますが、住民税にも所得割額の20%などの控除上限があるため、高額な寄附を行っている場合は控除しきれない部分が発生するリスクがあります。住宅ローン残高が大きく、かつ限度額いっぱいのふるさと納税を行っている人は、事前の詳細なシミュレーションが必要です。
会社員の確定申告手続きとデジタル化による効率化
2026年の確定申告では、デジタル化の進展により、スマートフォンだけで申告手続きを完結できる環境が整っています。従来の紙ベースの手続きからデジタル完結型のプロセスへと移行が進んでおり、会社員にとっての確定申告のハードルは大幅に下がっています。
マイナポータル連携で確定申告の手続きを効率化する方法
従来の確定申告では、医療費の領収書を一枚ずつ入力したり、各自治体から送られてくる寄附金受領証明書を保管して手入力したりする煩雑な作業が必要でした。しかし、マイナポータル連携の拡充により、これらの手間は大幅に軽減されています。
マイナンバーカードとスマートフォンのマイナポータルアプリを利用することで、健康保険組合等が保有する医療費通知情報、主要なふるさと納税ポータルサイト経由で行った寄附金情報、公的年金等の源泉徴収票情報、生命保険・地震保険料の控除証明書データ、住宅ローンの年末残高等証明書などが確定申告書作成コーナーに自動で取り込まれます。各サイトとの連携設定を済ませておけば、「データを取得する」ボタンを押すだけで正確な数字が反映された申告書の下書きが完成します。入力ミスによる計算間違いや証明書の紛失リスクが劇的に軽減されるため、事前の連携設定を強くおすすめします。
スマホで完結する確定申告の流れ
スマートフォン向けの申告画面は年々改善されており、会社員向けの専用画面では「はい・いいえ」の質問に答えていくだけで必要な入力項目が表示されるウィザード形式が採用されています。源泉徴収票もスマートフォンのカメラで撮影するだけで数字を読み取るOCR機能が搭載されており、手入力の手間は最小限です。
作成したデータはe-Tax(電子申告)を通じて即座に税務署へ送信されます。電子申告を利用すれば添付書類(領収書原本など)の提出は原則不要で、自宅での5年間保管が認められています。税務署への郵送や持参の必要もなくなっており、自宅にいながら短時間で申告を完了させることが可能です。
確定申告で間違いに気づいた場合の修正方法
申告後に誤りに気づいた場合の手続きも把握しておくことが大切です。申告期限内(3月15日まで)であれば何度でも訂正が可能で、新しく正しいデータを作成して送信すれば、最後に送信されたものが正として受理されます。
申告期限を過ぎてから医療費の領収書が見つかった場合などは、「更正の請求書」を提出することで5年間にわたり遡って還付を求めることができます。これは重要な権利であり、過去の申告で見落としていた控除がある場合にも活用できる制度です。
反対に、副業の所得を申告し忘れていた場合など、税金が少なすぎたことに気づいた場合は速やかに「修正申告」を行い、不足分の税金を納める必要があります。自主的に申告すればペナルティ(過少申告加算税)は免除または軽減されますが、税務署からの指摘を受けた後では重い加算税が課されるため、早めの対応が重要です。
会社員が確定申告で税金を取り戻すためのまとめ
2026年(令和7年分)の確定申告は、基礎控除や給与所得控除の大幅な改定、特定親族特別控除の創設など、構造的な変化が適用される転換期にあります。会社員にとって税金は「勝手に引かれるもの」ではなく、制度を理解し活用することでコントロール可能な支出です。
医療費控除では「総所得金額等の5%ルール」を活用することで、10万円に達していなくても還付を受けられる可能性があります。セルフメディケーション税制との比較検討を行い、より有利な制度を選択することも忘れてはなりません。ふるさと納税では、確定申告を行う場合にワンストップ特例が無効になるという重要なルールを理解し、すべての寄附情報を確定申告書に改めて記載する必要があります。
マイナポータル連携やスマホ申告の進化により、確定申告の手続きハードルは大幅に下がっています。まずは手元の源泉徴収票と医療費レシートを確認し、自身の還付の可能性をシミュレーションすることから始めてみてはいかがでしょうか。

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