5年に一度実施される国勢調査は、日本に住むすべての人と世帯の実態を把握するための最も重要な統計調査です。この調査結果は、国会議員の選挙区画定や地方交付税の配分、さらには私たちの生活に関わる様々な政策立案の基礎資料として活用されています。近年、ライフスタイルの多様化に伴い、法律婚にこだわらず同棲という形でパートナーシップを築くカップルが増加しており、令和7年(2025年)の国勢調査でどのように回答すべきか迷う方も少なくありません。特に住民票が別々になっている場合や、事実婚として暮らしている場合、世帯主をどちらにすればよいのか、続柄はどう記入すればよいのかといった疑問が多く寄せられています。本記事では、同棲カップルが国勢調査に正確に回答するための具体的な方法を詳しく解説します。プライバシー保護の仕組みや、同性カップルの場合の注意点、さらには調査票の記入例まで網羅的にご紹介しますので、安心して国勢調査にご協力いただけます。

- 国勢調査における世帯の定義と基本的な考え方
- 同棲カップルにおける世帯主の決め方
- 続柄の記入方法と事実婚の扱い
- 同性カップルの場合の注意点と最新の対応
- 生計を共にしているかどうかの判断基準
- 国勢調査の回答方法と具体的な手順
- 調査票の記入における重要な注意点
- 住民票と国勢調査の関係性について
- 具体的な記入例で理解を深める
- 外国人パートナーとの同棲の場合の特記事項
- プライバシーの保護と個人情報の取り扱い
- 調査員との対応方法とコミュニケーション
- 国勢調査を装った詐欺への警戒
- 国勢調査の実施スケジュールと重要な期限
- 回答が遅れる場合の対応と特別な状況への配慮
- 国勢調査データの活用例と社会への貢献
- 世帯構成の変化と統計への影響
- 現代社会における多様な世帯形態の認識
- 国勢調査の調査項目の詳細
- 国勢調査の法的根拠と報告義務について
- 国勢調査に関する相談窓口の活用
- よくある質問と回答まとめ
- まとめと協力のお願い
国勢調査における世帯の定義と基本的な考え方
国勢調査では、住居と生計を共にしている人々の集まりを一つの世帯として定義しています。この定義において最も重要なポイントは、戸籍や住民票の記載内容ではなく、実際の生活実態に基づいて判断されるということです。つまり、同じ家に住んでいて生活費を共有している人たちは、住民票の登録状況に関係なく一つの世帯として扱われるのです。
世帯には大きく分けて一般世帯と施設等の世帯がありますが、同棲カップルは一般世帯に該当します。一般世帯とは、住居と生計を共にしている人の集まり、または一戸を構えて住んでいる単身者のことを指します。この定義は、法律的な婚姻関係の有無とは無関係であり、実質的な生活の共同性が判断基準となっています。
したがって、住民登録においてカップルそれぞれが別の世帯となっていても、同居して生計を共にしていれば1世帯として回答するのが正しい方法です。住民票上は別々の世帯主として登録されていても、実際に一緒に暮らして家賃や光熱費、食費などの生活費を共有しているのであれば、国勢調査では一つの世帯として記入してください。これは国勢調査が住民票や戸籍の記録ではなく、実際の生活実態を把握するための調査だからです。
同棲カップルにおける世帯主の決め方
世帯主については、カップル自身が判断して決めることができます。法的に決まっているわけではなく、絶対的なルールも存在しません。世帯主の決め方に明確な基準はありませんが、一般的には以下のような観点から判断されることが多いです。
まず、収入が多い方を世帯主にするという選択肢があります。世帯の経済を主に支えている人を世帯主とする考え方ですが、必ずしもそうである必要はありません。次に、賃貸契約の契約者を世帯主にするという方法もあります。持ち家の場合は所有者を世帯主にすることもあります。また、年齢が上の方を世帯主にする場合もあれば、単純にカップルの話し合いで決めることもできます。
重要なのは、どちらを世帯主にしても構わないということです。世帯主の選択によって国勢調査の回答において不利益を被ることは一切ありません。また、国勢調査で記入する世帯主は、住民基本台帳に届け出ている世帯主と同じでなければならないということはありません。国勢調査では、実際の生活実態に基づいて世帯主を決めることができるのです。
例えば、住民票では男性が世帯主として登録されていても、実際には女性の方が収入が多く家計を主に担っている場合は、女性を世帯主として国勢調査に回答することができます。これは国勢調査が形式的な登録情報ではなく、実質的な生活実態を把握することを目的としているためです。
続柄の記入方法と事実婚の扱い
世帯主を決めたら、次に世帯員の続柄を記入します。世帯主本人は「世帯主」と記入し、もう一方のパートナーは続柄を記入する必要があります。ここでの記入方法は、カップルの関係性によって異なります。
事実婚のカップルの場合、続柄を「夫」「妻」または「配偶者」と記入することができます。令和7年(2025年)の国勢調査では、世帯自らが判断した続き柄でありのままに回答してくださいという方針が総務省から示されています。婚姻届を提出していないが事実上結婚している場合は、配偶者ありとして回答してください。これにより、法律婚ではないが実質的に夫婦関係にあるカップルの実態が統計に反映されます。
実は、国勢調査は1920年に日本で初めて実施されて以来、開始当初より事実婚や縁関係を含めて調査できるようになっています。つまり、法律上の婚姻関係にない事実婚のカップルも、当初から統計の対象として認識されてきたのです。これは国勢調査が法律上の関係ではなく、実際の生活実態を把握することを目的としているためです。
ただし、結婚していない同棲カップルで、事実婚とは考えていない場合は、「他の親族」や「同居人」という記入方法もあります。これもカップルの実態に応じて判断してください。自分たちの関係性をどのように捉えているかによって、最も適切な続柄を選んで記入することができます。
調査票の記入における具体的な注意点としては、世帯員の記入順序があります。世帯主を最初に記入し、その後に配偶者、子供、親、その他の親族、同居人の順に記入します。同棲カップルの場合、世帯主と決めた人を最初に記入し、次にパートナーを記入します。配偶の関係の項目では、事実婚の場合は「配偶者あり」を選択します。法律婚でなくても、事実上の婚姻関係にある場合は配偶者ありとして回答できます。
同性カップルの場合の注意点と最新の対応
令和7年(2025年)の国勢調査では、同性カップルが同居家族として回答することについて国が初めて明言しました。総務省統計局の統計調査部長は、いわゆる同性パートナーについてはお住まいの世帯の方が判断された続柄でご回答いただくこととなっており、ありのままにご回答いただければという趣旨であると答弁しています。
これは多様な世帯形態を認識し、実態を正確に把握しようとする国の姿勢の表れと言えます。同性カップルも異性カップルと同様に世帯として回答できるようになりました。世帯主はどちらでも構いませんし、カップル自身で話し合って決めてください。
しかし注意が必要な点もあります。世帯主と配偶者を男性同士、女性同士と記入した場合、同性カップルか記載ミスかを確認した上で、他の親族と同居へ修正するという総務省の方針があります。これについては、LGBTQコミュニティから同性カップルの存在を正確にデータとして残すべきだという要望が出されています。
同性カップルの場合も、世帯主はどちらでも構いません。続柄については、夫婦と記入することもできますし、同居人と記入することもできます。自分たちの関係性を最もよく表す続柄を選んで記入してください。
生計を共にしているかどうかの判断基準
同棲カップルが一つの世帯として回答するための重要な条件は、生計を共にしているということです。生計を共にしているとは、生活費を共有していることを意味します。
具体的には、家賃や光熱費、食費などの主要な生活費を共有している場合は、生計を共にしていると判断されます。収入が別々でも、生活費をまとめて管理している場合は生計を共にしていることになります。銀行口座が別々であっても、生活費を分担して支払っている実態があれば、生計を共にしていると考えられます。
一方、同じ住所に住んでいても、それぞれが独立して生活費を管理し、食事も別々にとっているような場合は、生計を別にしていると判断され、別の世帯として回答することになります。このような場合は、それぞれが別の調査票に記入します。
ルームシェアと同棲の違いも、この生計の共有という観点から判断されます。ルームシェアをしている友人同士の場合は、一般的に生計を別にしていることが多いです。家賃や光熱費は折半していても、食費などは各自で管理し、独立した生活をしている場合は、別の世帯として回答します。一方、同棲カップルの場合は、通常は生計を共にしているため、一つの世帯として回答します。ただし、同棲していても完全に生活費を別にしている場合は、別の世帯として回答することも可能です。
国勢調査の回答方法と具体的な手順
国勢調査の回答は、インターネット回答と紙の調査票による回答の2つの方法があります。令和7年の国勢調査では、インターネット回答が推奨されています。
インターネット回答の場合、まず調査員から配布されるインターネット回答用のIDとパスワードを受け取ります。これらは封筒に入れられて配布されます。次に、国勢調査のインターネット回答専用サイトにアクセスします。回答サイトへは、QRコードを読み取る、国勢調査オンラインと検索、またはe-kokusei.go.jpを入力してアクセスできます。
サイトにアクセスしたら、配布されたログインIDとアクセスキーを入力してログインします。画面の指示に従って世帯の情報を入力していきます。最初に世帯全体に関する情報を入力し、次に世帯主の情報、そして世帯員の情報を順番に入力していきます。同棲カップルの場合は、世帯主として決めた人の情報を最初に入力し、次にパートナーの情報を入力します。
入力が完了したら、内容を確認してパスワードを設定し送信します。送信が完了すると、受付完了の画面が表示されます。この画面をスクリーンショットなどで保存しておくと安心です。インターネット回答のメリットは、24時間いつでも回答できること、入力ミスがあるとエラーメッセージが表示されるため記入漏れを防げること、スマートフォンやタブレットからも回答できることなどです。
紙の調査票の場合は、インターネット環境がない場合や紙の調査票での回答を希望する場合に利用できます。配布された調査票に記入して、郵送で提出するか、調査員に回収してもらいます。調査票には世帯主の情報を記入する欄と、世帯員の情報を記入する欄があります。鉛筆またはシャープペンシルで記入します。ボールペンは使用しないでください。記入を間違えた場合は、消しゴムで消してから正しく記入し直します。修正液や修正テープは使用しないでください。
記入が完了したら、調査票を専用の封筒に入れて封をします。そして、郵送で提出するか、調査員に回収してもらいます。郵送の場合は切手不要です。
どちらの方法でも、世帯主を一人決めて、その他の世帯員は続柄を記入するという流れは同じです。同棲カップルの場合、どの方法でも回答できますが、インターネット回答が最も簡単で便利です。
調査票の記入における重要な注意点
インターネットで回答した世帯は、紙の調査票の提出が不要となります。紙の調査票には何も記入せずに廃棄してください。インターネットと紙の両方で回答すると、二重回答となってしまい、統計に影響を及ぼす可能性があります。
また、10月1日時点で世帯員の出生や転居など回答内容に変更がある場合は、10月8日までに再ログインし、修正してください。国勢調査は10月1日午前0時現在の状況を回答するものですので、インターネット回答をした後に状況が変わった場合は、必ず修正が必要です。
例えば、9月中にインターネット回答をした後、9月末に同棲を開始した場合は、10月1日時点では同棲していることになるため、回答内容を修正する必要があります。再ログインには、最初に設定したパスワードが必要です。パスワードは忘れないようにメモしておきましょう。
調査票に記入漏れや誤りがあると、正確な統計が作成できなくなります。提出前に記入漏れや誤りなどがないか、よく確認してください。特に同棲カップルの場合、世帯員の人数を正確に記入することが重要です。二人で暮らしている場合は、世帯員数を2人と記入します。
また、続柄の記入も重要です。事実婚の場合は夫または妻、配偶者と記入し、そうでない場合は同居人と記入します。空欄のままにしないようにしてください。配偶の関係の項目も忘れずに記入してください。事実婚の場合は配偶者ありを選択し、そうでない場合は未婚を選択します。
住所の記入では、現在住んでいる住所を正確に記入してください。住民票の住所と異なっていても構いません。実際に住んでいる住所を記入することが重要です。
住民票と国勢調査の関係性について
住民票と国勢調査は別のものです。住民票は市区町村が管理している住民の登録情報で、国勢調査は総務省が実施する統計調査です。
住民票では別々の世帯主として登録していても、国勢調査では実際の生活実態に基づいて一つの世帯として回答することができます。逆に、住民票で同じ世帯として登録していても、実際には生計を別にしている場合は、国勢調査では別の世帯として回答します。
国勢調査の回答は住民票の内容を変更するものではありません。あくまで統計調査のための回答であり、住民票の登録とは独立しています。同棲していることや事実婚であることを国勢調査で回答しても、住民票や戸籍に影響を及ぼすことはありません。
具体的な記入例で理解を深める
具体的な記入例を示します。例えば、田中太郎さんと佐藤花子さんが同棲している場合を考えます。二人は結婚はしていませんが、2年前から一緒に暮らし、生活費を共有しています。賃貸マンションの契約者は田中太郎さんで、収入は佐藤花子さんの方が多い状況です。
この場合、世帯主はどちらでも構いません。例えば、収入が多い佐藤花子さんを世帯主にすると決めた場合、調査票には以下のように記入します。
- 世帯主:佐藤花子、続柄:世帯主
- 世帯員:田中太郎、続柄:同居人または配偶者
もし二人が事実婚と考えている場合は、続柄を「夫」または「配偶者」と記入し、配偶の関係の項目では「配偶者あり」を選択します。
一方、田中太郎さんを世帯主にする場合は、以下のように記入します。
- 世帯主:田中太郎、続柄:世帯主
- 世帯員:佐藤花子、続柄:同居人または配偶者
どちらの記入方法でも正しく、カップルの判断に委ねられています。重要なのは、二人で話し合って決めることです。
外国人パートナーとの同棲の場合の特記事項
国勢調査は、日本に住むすべての人を対象としており、外国人も調査の対象となります。日本人と外国人のカップルが同棲している場合も、同様に一つの世帯として回答します。
外国人パートナーの氏名は、カタカナまたはアルファベットで記入します。国籍の項目では、パートナーの国籍を記入します。その他の項目については、日本人同士のカップルと同じように記入します。世帯主はどちらでも構いませんし、続柄も実態に応じて記入します。
外国人パートナーが日本語を理解できない場合は、英語や中国語などの外国語版の調査票も用意されています。必要に応じて、市区町村の国勢調査担当部署に問い合わせてください。
プライバシーの保護と個人情報の取り扱い
国勢調査で回答した内容は、統計法によって厳格に保護されています。個人の回答内容が外部に漏れることはなく、統計を作成する目的以外に使用されることはありません。
調査員や統計調査に従事する人には守秘義務が課せられており、違反した場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金という重い罰則があります。また、インターネット回答のシステムもSSL/TLS暗号化通信により保護されており、セキュリティ対策が施されています。
同棲していることや事実婚であることを回答しても、その情報が他の目的に使われたり、第三者に知られたりすることはありません。税金の徴収や警察の捜査などに使われることは一切ありません。安心して正確に回答してください。
国勢調査で得られた回答内容は、統計を作成する目的以外に使用されることはなく、他の行政機関や第三者に提供されることもありません。住民票や戸籍に影響を及ぼすこともありません。プライバシーは厳格に保護されますので、安心して正確に回答してください。
調査員との対応方法とコミュニケーション
国勢調査では、調査員が各世帯を訪問して調査書類を配布します。同棲カップルの場合、調査員に対してどのように対応すればよいか不安に感じる方もいるかもしれません。
調査員は、調査書類を配布することと、回答方法を説明することが主な役割です。世帯の詳しい情報を聞き取ることはありません。調査員が訪問した際には、世帯の人数を聞かれることがありますが、この時点では何人で暮らしているかを答えるだけで十分です。同棲していることや、どのような関係かを詳しく説明する必要はありません。
調査書類を受け取ったら、自分たちで回答内容を記入します。調査員に対して、続柄や配偶関係などの詳細を説明する必要はありません。もし調査員から不適切な質問をされたり、プライバシーを侵害されたと感じた場合は、市区町村の国勢調査担当部署に相談してください。
調査員は、必ず調査員証を携帯しています。不審な訪問者があった場合は、調査員証の提示を求めてください。調査員証には、調査員の氏名、写真、所属する市区町村名、調査員番号などが記載されています。
国勢調査を装った詐欺への警戒
国勢調査の時期には、国勢調査を装った詐欺が発生することがあります。以下の点に十分注意してください。
国勢調査でお金を請求されることは一切ありません。調査員や統計局から金銭を要求されることは絶対にありません。もし金銭を要求された場合は、詐欺ですので、警察に通報してください。
銀行口座番号やクレジットカード番号を聞かれることもありません。国勢調査では、金融機関の情報を尋ねることは一切ありません。
国勢調査では、メールより調査への回答を依頼することは絶対にありません。メールで調査への回答を求められた場合は、詐欺の可能性が高いです。
正規の国勢調査のインターネット回答サイトは、e-kokusei.go.jpというドメインです。他のドメインのサイトに誘導された場合は、詐欺サイトの可能性があります。
国勢調査の実施スケジュールと重要な期限
国勢調査は、毎回決まったスケジュールで実施されます。令和7年(2025年)の国勢調査のスケジュールを理解しておくことが重要です。
9月上旬から中旬にかけて、調査員が各世帯を訪問し、調査書類を配布します。この時点では、調査書類を受け取るだけで、詳しい回答内容を伝える必要はありません。
9月中旬から下旬にかけて、インターネット回答の受付が開始されます。配布された書類に記載されているIDとパスワードを使って、専用サイトから回答します。
9月末までにインターネット回答をしなかった世帯には、10月上旬に紙の調査票が配布されます。紙の調査票で回答する場合は、記入後に郵送で提出するか、調査員に回収してもらいます。
10月1日が調査基準日です。国勢調査は、10月1日午前0時現在の状況を回答するものです。例えば、9月末にインターネット回答をした後、10月1日までに世帯の状況が変わった場合は、10月8日までに回答内容を修正してください。
同棲カップルで、9月中は別々に暮らしていて、10月1日から同棲を開始した場合は、10月1日時点の状況、つまり同棲している状態を回答します。10月中旬までに、すべての世帯の回答を完了することが求められています。
回答が遅れる場合の対応と特別な状況への配慮
やむを得ない事情で回答が遅れる場合は、できるだけ早く回答してください。市区町村の国勢調査担当部署や調査員に連絡すれば、対応してもらえます。
長期出張や旅行などで10月1日時点で不在の場合は、10月1日時点で通常住んでいる場所で回答してください。一時的な不在は、国勢調査の回答に影響しません。同棲カップルで、一方が出張などで不在の場合も、10月1日時点で通常その住所に住んでいるのであれば、その住所の世帯員として回答してください。
病気や高齢などで自分で回答できない場合は、家族や親族などが代わりに回答することもできます。同棲カップルの場合、パートナーが代わりに回答しても問題ありません。
国勢調査データの活用例と社会への貢献
国勢調査の結果は、様々な分野で活用されています。具体的な活用例を知ることで、回答の重要性がより理解できます。
選挙制度では、衆議院小選挙区の区割りを決める際に、国勢調査の人口データが使用されます。各選挙区の人口が均等になるように区割りが調整されます。地方交付税の配分でも、国勢調査の人口データが重要な基準となります。人口に応じて各自治体に配分される交付税の額が決まります。
都市計画や交通計画では、人口分布や通勤通学の流れなど、国勢調査のデータが基礎資料として使われます。どこに道路や鉄道を整備すべきか、どこに公共施設を建設すべきかなどの判断に活用されます。
社会保障政策では、世帯構成や年齢構成のデータが、年金制度や医療制度の設計に活用されます。高齢化の進展や世帯の小規模化などの傾向を把握することで、適切な政策を立案できます。
企業の市場調査やマーケティングでも、国勢調査のデータが活用されています。どの地域にどのような年齢層や世帯が多いかを把握することで、店舗の出店計画や商品開発に役立てられます。
このように、国勢調査のデータは社会のあらゆる分野で活用されています。同棲カップルが正確に回答することで、現代の多様な世帯の実態が統計に反映され、より適切な政策や計画につながります。
世帯構成の変化と統計への影響
日本の世帯構成は、近年大きく変化しています。伝統的な夫婦と子供からなる世帯の割合は減少し、単身世帯や夫婦のみの世帯が増加しています。
また、未婚化や晩婚化の進展により、同棲カップルの数も増加していると考えられます。しかし、同棲カップルが住民票で別世帯として登録していたり、国勢調査で別世帯として回答していたりすると、その実態が統計に正確に反映されません。
同棲カップルが実態に基づいて一つの世帯として回答することで、現代の世帯構成の変化が統計に反映されます。これにより、若年層の住宅政策や子育て支援政策など、より実態に即した政策の立案が可能になります。
統計は社会の実態を映す鏡です。正確な統計があってこそ、適切な政策を立案することができます。同棲カップルの皆さんの正確な回答が、より良い社会づくりに貢献します。
現代社会における多様な世帯形態の認識
近年、日本社会では世帯の形態が多様化しています。伝統的な夫婦と子供からなる世帯だけでなく、単身世帯、ひとり親世帯、事実婚世帯、同性カップル世帯など、様々な形態の世帯が存在します。
総務省統計局の統計調査部長は、令和7年の国勢調査について、いわゆる同性パートナーについてはお住まいの世帯の方が判断された続柄でご回答いただくこととなっており、ありのままにご回答いただければ、という趣旨でございますと答弁しています。
これは、多様な世帯形態を認識し、実態を正確に把握しようとする国の姿勢の表れと言えます。同棲カップルや事実婚カップル、同性カップルなど、どのような形態の世帯であっても、実態に基づいてありのままに回答することが求められています。
国勢調査の調査項目の詳細
国勢調査では、世帯主と世帯員について様々な項目を調査します。主な調査項目には以下のようなものがあります。
氏名、男女の別、出生の年月、世帯主との続柄、配偶の関係、国籍、現在の住居における居住期間、5年前の住居の所在地、在学か否かの別及び最終卒業学校の種類、就業状態、所属の事業所の名称及び事業の種類、仕事の種類、従業上の地位、従業地又は通学地などです。
同棲カップルの場合、特に重要なのは世帯主との続柄と配偶の関係の項目です。事実婚のカップルであれば、配偶の関係の項目で配偶者ありと回答することができます。婚姻届を提出していないが事実上結婚している場合は、配偶者ありとして回答してください。これにより、法律婚ではないが実質的に夫婦関係にあるカップルの実態が統計に反映されます。
国勢調査の法的根拠と報告義務について
国勢調査は統計法に基づいて実施される基幹統計調査です。統計法では、国勢調査の報告義務が定められています。
統計法第13条では、基幹統計調査の報告義務について規定しており、調査対象者は調査に回答する義務があります。正当な理由なく報告を拒否したり、虚偽の報告をしたりした場合は、罰則が科される可能性があります。
ただし、実際に罰則が適用されることは極めて稀です。罰則の規定は、国勢調査の重要性を示すためのものであり、国民の協力を促すための規定と考えられています。
それでも、国勢調査は国の最も重要な統計調査であり、その結果は様々な政策や法律の基礎となります。すべての世帯が正確に回答することが、適切な政策立案につながります。同棲カップルの方々も、法的な報告義務があることを理解し、積極的に国勢調査に協力してください。
国勢調査に関する相談窓口の活用
国勢調査について疑問がある場合は、様々な相談窓口が用意されています。回答方法について不明な点があれば、遠慮なくこれらの相談窓口を利用してください。
まず、市区町村の国勢調査担当部署に問い合わせることができます。電話や窓口で相談を受け付けています。
また、総務省統計局のウェブサイトには、国勢調査に関するQ&Aが掲載されています。よくある質問とその回答が載っているので、まずはウェブサイトを確認するとよいでしょう。
国勢調査専用のコールセンターも設置されています。コールセンターでは、回答方法や調査内容に関する質問に答えてもらえます。
同棲カップルの場合、どのように回答すればよいか不安があれば、遠慮なくこれらの相談窓口を利用してください。相談内容が他に漏れることはありませんので、安心して相談できます。
よくある質問と回答まとめ
同棲カップルからよく寄せられる質問とその回答をまとめます。
Q: 同棲カップルで住民票が別々の場合、どちらかの住所で回答すればよいですか?
A: 実際に住んでいる住所で回答してください。二人とも同じ住所に住んでいるのであれば、その住所で一つの世帯として回答します。
Q: 世帯主はどちらにすべきですか?
A: カップルで話し合って決めてください。収入が多い方や賃貸契約者を世帯主にすることが多いですが、必ずしもそうである必要はありません。
Q: 続柄は何と書けばよいですか?
A: 事実婚の場合は夫婦と記入できます。そうでない場合は同居人などと記入できます。カップルの実態に応じて判断してください。
Q: 住民票と違う内容で回答しても問題ありませんか?
A: 問題ありません。国勢調査は実際の生活実態を回答するものであり、住民票の内容とは独立しています。
Q: 回答しないとどうなりますか?
A: 国勢調査は統計法に基づく報告義務があり、回答しない場合は罰則が科される可能性があります。必ず回答してください。
まとめと協力のお願い
国勢調査における同棲カップルの回答方法について、重要なポイントをまとめます。
同居して生計を共にしている場合は、一つの世帯として回答します。住民票が別々でも、実際の生活実態に基づいて判断します。世帯主はカップルで話し合って決めます。どちらを世帯主にしても構いません。
続柄は事実婚の場合は夫婦、そうでない場合は同居人などと記入します。カップルの実態に応じて判断してください。同性カップルも同様に世帯として回答できます。世帯自らが判断した続き柄でありのままに回答してください。
国勢調査の回答内容はプライバシーが厳格に保護されます。安心して正確に回答してください。正確な回答が、より実態に即した統計データの作成と、適切な政策立案につながります。
国勢調査は、国の最も重要な統計調査です。すべての人と世帯が正確に回答することで、初めて正確な統計が作成されます。国勢調査の結果は、私たちの生活に密接に関わる様々な政策の基礎となります。正確な回答が、より良い社会づくりにつながります。
同棲カップルの方々も、ぜひ国勢調査にご協力ください。実態に基づいて正確に回答することが、多様な世帯形態を認識し、適切な政策を立案するために重要です。回答方法について不明な点があれば、遠慮なく市区町村の担当部署や調査員に相談してください。皆様のご協力をお願いいたします。
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