古都京都の中心地、河原町に位置する京都髙島屋S.C.のデパ地下が、いま大きな変貌を遂げようとしています。2025年8月末から始まった地下1階洋菓子売場の大規模リニューアルプロジェクトは、数ヶ月にわたる段階的なオープンを経て、いよいよ明日2025年11月5日にグランドフィナーレを迎えます。このリニューアルでは、全国初出店、百貨店初出店、京都地区初出店といった希少性の高いブランドが次々と登場し、京都のスイーツシーンに新たな風を吹き込んでいます。ウィーンの老舗菓子店デメルの京都地区初出店をはじめ、京都限定ブランドの茶久利、全国初登場のIKKYUなど、他では手に入らない特別な洋菓子が一堂に会する空間は、まさにスイーツ愛好家にとっての聖地と言えるでしょう。さらに、定期的にラインナップが入れ替わるセレクトショップ形式のSWEETS GALLERY OMOTASEも加わり、訪れるたびに新しい発見がある、進化し続けるデパ地下として生まれ変わりました。

段階的に進化してきたリニューアルの全貌
京都髙島屋S.C.の洋菓子売場リニューアルの最大の特徴は、一度にすべてをオープンするのではなく、計算され尽くした段階的な展開戦略にあります。この手法により、顧客は何度も足を運ぶ理由が生まれ、それぞれのオープン時期に合わせて新しい話題と期待感が醸成されてきました。
最初の動きは2025年9月24日、革新的なコンセプトを持つセレクトショップSWEETS GALLERY OMOTASEのオープンでした。従来の固定店舗という概念を覆し、常時約10ブランドが展開されながらも定期的にラインナップが入れ替わるという、まるで菓子のアートギャラリーのような空間が誕生しました。アッサンブラージュ カキモト、ラマルク、パティスリー レ モワーノ、ラ・クラシック、wakka、織-SHIKI-といった実力派ブランドが初期メンバーとして名を連ね、訪れる人々に新鮮な驚きを提供しています。
続く10月9日には、第一波として2つの注目ブランドが同時にデビューしました。京都、神戸、名古屋、大阪で人気を博してきたHyde&Awayが、満を持して百貨店初出店を果たしたのです。四角い形が特徴的なハコタルトで知られるこのブランドは、国産フルーツと有機小麦にこだわった体に優しい洋菓子を提供しています。同日には、祇園の名店「侘家古暦堂」を運営する株式会社ロマンライフが手がける菓子wabiyaもオープンし、料理店の哲学を受け継いだ独創的な菓子の世界を展開し始めました。
そして10月23日、第二波としてさらに注目度の高いブランドが加わりました。全国初出店となるIKKYUは、特許出願中の焦紋製法という独自技術を武器に、京チョコレート菓子の新境地を切り開いています。同時に、老舗モロゾフが京都市場のためだけに創設した全く新しいブランド、茶久利も登場しました。全国茶審査技術競技大会で三度の優勝を誇る茶師が監修したオリジナルブレンドの宇治抹茶「天緑」を使用した商品群は、京都という土地への深い理解と敬意の表れと言えます。この日はモロゾフエクラ京都とグラマシーニューヨークのリニューアルオープンも重なり、フロア全体が活気に満ちた一日となりました。
明日迎えるグランドフィナーレの目玉
そして明日、2025年11月5日、このリニューアルプロジェクトの集大成として、いよいよグランドオープンの日を迎えます。この日の最大の目玉は、1786年創業というオーストリア・ウィーンの伝説的菓子店デメルの京都地区初出店です。
デメルは、かつてヨーロッパに君臨したハプスブルク家の御用達菓子司として、長い歴史の中で数々の皇族や貴族に愛されてきました。皇帝フランツ・ヨーゼフ1世と、その妻であり類まれな美貌で知られた皇妃エリーザベト、愛称シシィにこよなく愛された菓子店として、今もなおその名声は世界中に轟いています。特にエリーザベトが好んだと伝えられる「すみれの砂糖漬け」は、今も変わらぬ製法で作り続けられています。
デメルの歴史を語る上で欠かせないのが、世界的に有名な「ザッハトルテ」を巡る逸話です。ホテル・ザッハーと「オリジナル」の称号を巡って7年間にもわたる法廷闘争を繰り広げた、いわゆる「甘い戦争」は、菓子に対する誇りと情熱を物語るエピソードとして今も語り継がれています。ブランドの紋章に輝くハプスブルク家の双頭の鷲は、その格式の高さを今に伝えています。
京都店のオープンを記念して、人気商品「ソリッドチョコ猫ラベル」のミルクチョコレートが、クリスマス限定パッケージで登場します。猫の舌をモチーフにした薄いチョコレートは、その滑らかな口溶けで多くのファンを魅了してきた定番商品ですが、今回は400個限定という希少性から、オープン初日からの争奪戦が予想されます。価格は2,592円で、コレクターズアイテムとしても注目を集めています。
定番ブランドも新たな魅力で登場
グランドオープン当日には、デメルだけでなく、長年京都の買い物客に親しまれてきた定番ブランドも、新たなコンセプトと限定商品を携えて生まれ変わります。
神戸発のショコラトリーモンロワールは、髙島屋・阪急限定商品として「サービス袋 ショコラッチリュクス」を発表します。食感が楽しいキャンディチップを練り込んだクッキーで、上質な板チョコレートをサンドした贅沢な一品です。15個入で1,296円という手頃な価格設定も魅力的で、日常使いから贈答用まで幅広いシーンで活躍しそうです。
メリーチョコレートは、髙島屋・阪急限定の「濃幸キャラメル ミルフィーユ」を投入します。「濃厚」と「幸せ」をかけた遊び心のあるネーミングが印象的なこの商品は、ザクザク食感のキャラメルチップやナッツ、ベリーを加えたふんわりキャラメルクリームを、サクサクのパイでサンドした幸福感あふれるミルフィーユです。10個入で1,620円、「カカオキャラメル&ペカンナッツ」と「キャラメル&ダブルベリー」の2種類のフレーバーが用意されています。
全国初登場IKKYUが提案する新しい京チョコレート菓子の世界
10月23日に全国初出店を果たしたIKKYUは、「一級の一休」というコンセプトを掲げる京チョコレート菓子専門店です。このブランド名には、菓子を通じて心を満たす休息、至福の安らぎのひとときを提供したいという思いが込められています。
IKKYUの最大の特徴は、特許出願中の独自製法「焦紋製法」にあります。伝統的な市松文様をわずか2秒という時間で焼印によって菓子に焼き付けるこの技術は、見た目の美しさを生み出すだけでなく、しっかりとした食感と特有の香ばしい香りを引き出し、味わいに驚くほどの奥行きを与えています。
代表商品であるラングドシャ「IKKYU」は、美しい格子模様が目を引く芸術品のような一品です。金箔をあしらったホワイトチョコレートと濃厚な抹茶クリームが飾られており、使用される抹茶は鮮やかな深緑色、抑えられた渋み、豊かな旨味で知られる高品質な宇治抹茶です。職人たちは抹茶の繊細な香りを最大限に引き出すため、150℃という低温でじっくりと焼き上げる製法にたどり着きました。贈答用にも最適なこのラングドシャは、5個入837円、8個入1,167円、12個入1,750円、15個入2,187円で提供されています。
さらに、スペシャリテとして「IKKYU NAMA CHOCOLATE」があります。極上の口溶けが楽しめる生チョコレートにクランチを合わせた逸品で、滑らかな「ミルク」、香り高い「抹茶」、香ばしい「きな粉」の3種類のフレーバーが揃っています。価格は各1,620円です。王道のパイ菓子に金ごまの芳醇な香りとほのかな醤油の風味を加えた新感覚の「ごまぺろりん」も、ユニークな味わいで注目を集めています。
興味深いのは、このIKKYUというブランド名を巡る背景です。菓子ブランドを運営するのは、2025年9月に設立された京都市に拠点を置く「株式会社 一休」で、代表者は安井元浩氏です。これは、LINEヤフー傘下の東京に本社を置く著名な宿泊・レストラン予約サイト「株式会社一休」とは全く別の企業ですが、旅行会社が長年かけて築き上げてきた「休息」「上質」といったポジティブなブランドイメージを巧みに活用している側面があります。法的には全くの別会社でありながら、消費者の心に既に存在する「一休」という名前が持つ高級感や信頼性を借りることで、競争の激しい菓子市場において、瞬時にプレミアムなブランドとしての地位を確立するという、洗練されたブランディング戦略が見て取れます。
京都限定ブランド茶久利が織りなす抹茶の新境地
同じく10月23日にデビューした茶久利は、老舗洋菓子メーカーのモロゾフが京都市場のためだけに創設した全く新しい京都限定ブランドです。全国どこでも同じ商品を展開するのではなく、京都という土地に特化したブランドを立ち上げたことは、画一的な商品では通用しない京都市場への深い理解と敬意を示しています。
茶久利の真髄は、その核となる素材、オリジナルブレンドの宇治抹茶「天緑」にあります。この抹茶は、全国茶審査技術競技大会で三度の優勝経験を持つ茶師・森田治秀氏が監修しており、丁寧に熟成させ、石臼で挽いた一番茶のみを使用することで、芳醇な香り、深いコク、心地よい苦味が織りなす比類なき味わいを実現しています。
ブランドの革新性を最も象徴するのが、京都髙島屋限定商品「茶久利お濃茶サブレと小豆餡」です。この商品の最大の特徴は、サブレと餡を別々に提供する「後乗せ」スタイルにあります。食べる直前に、濃厚な「天緑」の抹茶サブレに北海道産小豆の餡を添えることで、サブレのサクッとした食感を損なうことなく、作りたてのフレッシュな味わいを楽しめます。これは単なる菓子ではなく、食べるという行為そのものを楽しむインタラクティブな体験であり、和と洋の融合を見事に表現しています。4個入1,080円で販売されています。
その他にも、ホワイトチョコレートを挟んだ「お濃茶クッキー」、小豆を練り込んだしっとりとした「フィナンシェ」、軽やかな抹茶クリームの「ダックワーズ」など、「天緑」の魅力を様々な形で堪能できるラインナップが揃っています。茶久利の成功は、大手メーカーが地域特化型のブランドを立ち上げることで、その土地ならではの素材と文化を最大限に活かした商品開発が可能になることを示しています。
百貨店初出店を果たしたHyde&Awayの魅力
10月9日に待望の百貨店初出店を果たしたHyde&Awayは、その名が「隠れ家」を意味する言葉遊びから生まれたブランドです。まるで秘密の場所に迷い込んだかのような、アンティーク家具に囲まれた魅力的なカフェとしての原点を反映したブランド名には、特別な空間で特別な時間を過ごしてほしいという思いが込められています。
京都で生まれ、神戸、名古屋、大阪にも店舗を展開するこの人気ブランドは、素材への妥協のないこだわりを哲学としています。タルトには国産のフレッシュな果物のみを使用し、生地には有機小麦を用いることで、見た目の美しさだけでなく、体にも優しい逸品を生み出しています。フルーツ本来の風味を最大限に活かすため、クリームは意図的に甘さを控えて作られているのも特徴です。
Hyde&Awayの代名詞といえば、その特徴的な四角い形のタルトです。「ハコタルト」とも呼ばれるこのユニークな形状は、従来の丸いタルトとは一線を画す強い視覚的インパクトを持ち、テイクアウト用の箱に収められた姿はまさに圧巻です。店頭には、定番人気の「ストロベリータルト」が並びます。みずみずしい国産いちごと軽やかなクリームが、香り高いアールグレイの茶葉を練り込んだタルト生地の上で完璧な調和を見せるこの洗練された一品は、1,380円で提供されています。
贈答用に最適な「La Stick」は、ミルク、ビター、ホワイト、ストロベリーの4種類のスティック型チョコレートを詰め合わせたエレガントな一箱で、20本入3,980円です。さらに、ホリデーシーズンには、この店でしか手に入らない限定の「X’mas Box」も登場します。人気のストロベリー、ティラミス、洋梨のタルトに加え、限定の抹茶モンブランタルトが入った特別な詰め合わせで、店頭受け取り限定で販売される予定です。
祇園の料理店が手がける菓子wabiyaの世界観
同じく10月9日にオープした菓子wabiyaは、祇園の有名な鶏料理店「侘家古暦堂」を運営する株式会社ロマンライフが手掛ける菓子ブランドです。その哲学は「自然に、丹念に、素を活かす」という言葉に集約されており、これは母体である料理店が長年大切にしてきた食への姿勢をそのまま受け継いだものです。料理長とパティシエの対話から生まれる新しい菓子の形を提案しています。
このブランドの象徴的な商品が、シェフの帽子をモチーフにした愛らしいチーズスフレ「料理長の帽子」です。濃厚な赤たまごとチーズの豊かなコクがありながら、口に入れるとふわりと溶けるような軽やかな食感が特徴で、カラメルの香ばしさが洗練された余韻を残します。京都髙島屋のためだけに作られた限定フレーバー「料理長の帽子 あずき」は、丁寧に炊き上げた小豆を生地に練り込むことで、和と洋の境界線を優雅に越える心安らぐ甘さを実現しています。
もう一つの看板商品が「薄玻璃チュイル」です。その名の通り、極めて薄いガラスのような繊細で軽やかな食感が魅力です。フレーバーは、京都の名店「山田製油」の香ばしい白ごまとコク深い黒ごま、そして「侘家古暦堂」の総料理長が監修した、昆布や椎茸、野菜の旨味を重ねた複雑な味わいの「うま味」の3種類が揃っています。
菓子wabiyaの成功は、一流レストランがそのブランド力と食哲学を背景に、小売りの菓子ブランドを立ち上げるという現代的な戦略の好例と言えます。レストランが持つ品質への信頼と専門技術が、菓子ブランドに即座の信頼性と説得力のある物語を与えます。「祇園の名店の味を家庭で楽しむ」というコンセプトは、地元客から観光客まで幅広い層に強く訴えかける力を持っています。
限定商品で彩られるリニューアル定番ブランド
今回のリニューアルでは、新ブランドの登場だけでなく、既存の人気ブランドが京都髙島屋限定商品を携えて新たな装いで登場したことも大きな魅力です。
ニューヨークの洗練された街、グラマシー地区にインスパイアされたグラマシーニューヨークは、10月23日のリニューアルオープンに合わせて、京都髙島屋限定の季節商品「クリームインチーズケーキ 和栗とくるみとチーズ」を用意しました。チーズの豊かな風味に、和栗の上品な甘さとくるみの心地よい食感が加わった秋らしいエレガントなチーズケーキで、4個入で1,318円です。
モロゾフのプレミアムラインであるモロゾフエクラ京都も、同じく10月23日にリニューアルオープンし、京都髙島屋限定の「北海道根釧チーズケーキ」を発売しました。酪農王国として名高い北海道根釧地区の生乳から作られたクリームとマスカルポーネチーズを使用した、濃厚ながらも後味の良いチーズケーキです。1個162円という買い求めやすい価格で、日常のちょっとした贅沢にぴったりです。このリニューアルオープンは、新ブランド茶久利のローンチと同時に行われており、モロゾフの京都市場への強い意気込みが感じられます。
進化し続けるSWEETS GALLERY OMOTASEの可能性
新しい洋菓子フロアの中で最もダイナミックで変化に富んだ要素が、SWEETS GALLERY OMOTASEです。9月24日にオープンしたこのセレクトショップは、まるで菓子のためのアートギャラリーのように機能しています。
常時約10の厳選されたブランドが展開され、そのラインナップは定期的に入れ替わります。このコンセプトにより、髙島屋は常設店を持たない小規模なアルチザンブランドや、今まさに話題となっているトレンドのブランドを機動的に紹介することが可能になります。訪れるたびに新しい出会いがあることを保証し、顧客が再び足を運ぶ強い動機付けとなっています。
オープン時のラインナップには、アッサンブラージュ カキモト、ラマルク、パティスリー レ モワーノ、ラ・クラシック、wakka、織-SHIKI-といった食通なら誰もが知る実力派ブランドが名を連ねており、このギャラリーが目指すクオリティの高さを物語っています。
SWEETS GALLERY OMOTASEは、伝統的な百貨店モデルに現代的で俊敏な「アジャイルリテール」戦略を統合した画期的な試みです。期間限定のポップアップストアやオンライン限定ブランドが持つ「希少性」や「目新しさ」といった魅力を、百貨店という恒久的で権威ある場所に組み込むことで、トレンドに敏感でありながらもリスクを抑えて新しいブランドを試すことができます。これは、現代のラグジュアリー消費者が求めるものが、確立された品質だけでなく、常に新しい発見や驚きであることを百貨店が深く理解している証拠です。
京都という市場が持つ戦略的重要性
今回のリニューアルで「初出店」の称号がこれほどまでに集中している事実は、京都市場が持つ計り知れない戦略的重要性を物語っています。国内外の主要ブランドは、ありふれた商品展開では審美眼の厳しい京都の消費者を掴むことはできないと認識しているのです。
千年を超える歴史を持つ古都京都は、日本文化の象徴として国内外から多くの観光客が訪れる都市です。しかし同時に、伝統と革新が共存する独特の消費文化を持つ場所でもあります。京都の消費者は、単に新しいものや珍しいものに飛びつくのではなく、その背景にある物語、素材へのこだわり、職人の技を重視する傾向があります。
そのため、ブランドがこの地で成功を収めるためには、モロゾフが茶久利という京都限定ブランドを立ち上げたように地域に特化したブランドを創設するか、あるいは極めて魅力的な限定商品を提供する必要があります。IKKYUの特許製法、茶久利の茶師監修抹茶、菓子wabiyaの料理店の哲学、Hyde&Awayの有機素材へのこだわり、そしてデメルの歴史と伝統。これらはすべて、単なる甘いお菓子以上の価値を提供しようとする試みです。
リニューアルが生み出す新しいデパ地下体験
京都髙島屋S.C.のデパ地下洋菓子売場リニューアルは、単に新しい店舗を並べることではありませんでした。それは、デパ地下が持つ「食の集積地」としての役割を再定義し、強化するための極めて緻密にキュレーションされた体験の提供です。
この段階的なオープン戦略は、一度きりのグランドオープンが持つ一過性のインパクトを避け、9月から11月にかけて複数回のニュースを生み出し、顧客が何度も足を運ぶ理由を創出しました。これにより、リニューアルは単発のイベントではなく、一つの季節を通して続く「スイーツの祭典」へと昇華されたのです。これは、デパ地下を単なる買い物の場から、継続的な発見と体験を提供する「デスティネーション(目的地)」へと進化させるという現代の小売戦略を体現しています。
もはや菓子の価値はその味だけでは決まりません。その背景にある「物語」こそが人々を惹きつけます。IKKYUの特許製法、デメルの王家の歴史、菓子wabiyaの料理店との繋がり、茶久利の茶師の技。それぞれのブランドが持つ豊かな物語は、商品を単なる消費物から意味のある体験へと昇華させています。
洋菓子と和の素材が織りなす新しい可能性
今回リニューアルした洋菓子フロアで特に注目すべきは、洋菓子というフォーマットの中に抹茶や小豆といった日本の素材が大胆かつ創造的に取り入れられている点です。これは、自信に満ちた食文化の融合を象徴しています。
IKKYUのラングドシャには宇治抹茶が使われ、茶久利に至っては全商品が抹茶を核としています。菓子wabiyaの「料理長の帽子 あずき」、Hyde&Awayの抹茶モンブランタルトなど、和の素材を使った商品が各ブランドで展開されています。これらは単なる「和洋折衷」ではなく、それぞれの素材の特性を理解し、洋菓子の技法で最大限に引き出した結果です。
特に抹茶は、京都という土地柄もあり、多くのブランドが競うように使用しています。しかし、それぞれが独自のアプローチを取っています。IKKYUは低温焼成で香りを引き出し、茶久利は茶師監修のオリジナルブレンドを使用し、Hyde&Awayはモンブランという洋菓子の王道スタイルに取り入れています。同じ素材でも、ブランドの哲学と技術によって全く異なる表現が生まれるのです。
贈答文化に応える多彩な商品展開
京都という土地柄、お土産や贈答品としての需要も高く、今回のリニューアルではその点も十分に考慮された商品展開となっています。
IKKYUのラングドシャは5個入から15個入まで複数のサイズ展開があり、用途に応じて選べます。Hyde&Awayの「La Stick」は20本入3,980円と、贈答用として申し分ないボリュームと価格帯です。茶久利の商品は京都限定という希少性が贈り物としての価値を高めています。デメルのクリスマス限定パッケージは400個限定という特別感があり、大切な人への贈り物として最適です。
さらに、モンロワールの「サービス袋 ショコラッチリュクス」15個入1,296円や、メリーチョコレートの「濃幸キャラメル ミルフィーユ」10個入1,620円など、比較的手頃な価格帯の商品も充実しています。これにより、ちょっとした手土産から正式な贈答品まで、幅広いニーズに応えられる品揃えとなっています。
地域を超えた魅力の集積地として
生まれ変わった京都髙島屋S.C.の洋菓子フロアは、現代の京都そのものを映し出す縮図です。菓子wabiyaやHyde&Awayのような地域に深く根差したアイデンティティと、IKKYUや茶久利のような全国的な革新、そしてデメルのような世界的に評価される伝統が見事に共存しています。
デパ地下は、このリニューアルを経て単なるショッピングフロアから第一級のグルメデスティネーションへと見事な変貌を遂げました。他では手に入らない限定品、物語性豊かなスイーツの数々が揃うこの場所は、完璧な京土産を探す人々、自分へのご褒美を求める人々、そして日本の菓子の未来を味わいたいと願うすべての人々にとって、欠かすことのできない新たな出発点となっています。
明日11月5日のグランドオープンを迎えるにあたり、デメルをはじめとする新たなブランドの登場により、このフロアはさらに充実したものとなります。段階的に進化してきたこのリニューアルプロジェクトの完成形を、ぜひその目で確かめてみてください。京都のスイーツシーンは、間違いなく新しい時代を迎えようとしています。
  
  
  
  

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