資格確認書の有効期限は、加入している医療保険の種類によって異なりますが、多くの場合1年から最長5年の範囲で設定されています。後期高齢者医療制度や国民健康保険では1年更新が一般的で、協会けんぽなどの被用者保険では最長5年となっています。更新手続きは原則として不要で、有効期限が切れる前に新しい資格確認書が自動的に届く「プッシュ型交付」が採用されています。有効期限の確認方法は、資格確認書の券面に「有効期限 令和〇年〇月〇日」と明記されているため、そちらを見るのが最も確実です。
2024年12月2日から健康保険証の新規発行が停止され、マイナ保険証を基本とする新制度がスタートしました。この大きな制度変更に伴い、マイナンバーカードを持っていない方や、マイナ保険証の利用登録をしていない方が医療を受けられなくなることがないよう、「資格確認書」という新しい仕組みが導入されています。資格確認書は従来の健康保険証と全く同じように使えるため、特別な対応は必要ありません。この記事では、資格確認書の有効期限がいつまでなのか、更新手続きはどうすればいいのか、そして有効期限の確認方法について、わかりやすく解説していきます。

資格確認書とは何か?従来の健康保険証との違い
資格確認書とは、マイナ保険証を保有していない被保険者に対して、各医療保険者が交付する公的な証明書です。健康保険法や国民健康保険法などの法律に基づいて発行されるもので、従来の健康保険証と同等の効力を持っています。医療機関や薬局の窓口でこの資格確認書を提示すれば、これまで通り保険診療を受けることができ、窓口負担も年齢や所得に応じて1割、2割、または3割となります。
資格確認書が導入された背景には、2024年12月2日からの健康保険証廃止という大きな制度変更があります。政府はマイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」への移行を進めていますが、すべての国民がマイナンバーカードを取得しているわけではありません。高齢者やデジタル機器の操作に不安がある方、あるいはマイナンバーカードの取得を希望しない方もいらっしゃいます。こうした方々が医療保険の恩恵を受けられなくなることを防ぐため、セーフティネットとして資格確認書が設計されました。
資格確認書と「資格情報のお知らせ」の違いに注意
制度を理解する上で最も混同しやすいのが、「資格確認書」と「資格情報のお知らせ(資格情報通知書)」の違いです。この2つは名前が似ているため間違えやすいのですが、役割が全く異なります。
資格確認書は、これ単体で医療機関を受診できる「証明書」です。プラスチックカード型や紙型など、従来の保険証に近い形態で発行され、窓口でこれを見せれば保険診療を受けられます。
一方、資格情報のお知らせは、マイナ保険証を持っている方に対して、被保険者記号・番号や負担割合などの情報を通知するための「お知らせ文書」に過ぎません。原則として、この文書だけでは医療機関を受診することはできません。マイナ保険証の読み取りトラブルが発生した際に、マイナンバーカードとセットで提示することで資格確認を補完する機能はありますが、単体での使用は想定されていません。
この違いを理解していないと、「資格情報のお知らせ」だけを持って医療機関に行き、窓口で全額自己負担を求められるといったトラブルが起きる可能性があります。病院に行く際は、必ず「資格確認書」または「マイナ保険証(マイナンバーカード)」を持参するようにしましょう。
資格確認書は誰に届くのか?プッシュ型交付の仕組み
資格確認書の大きな特徴は、対象者に対して自動的に届く「プッシュ型交付」を採用していることです。本人が申請しなくても、保険者が対象者を自動的に抽出し、住民票の住所へ郵送してくれます。これは、制度変更を知らない方やデジタルに不慣れな方が医療から取り残されることを防ぐための重要な措置です。
申請不要で自動的に届く方
プッシュ型交付の対象となるのは、以下のいずれかに該当する方です。
マイナンバーカード未取得者は、マイナンバーカード自体を持っていない方です。カードを作っていなければ当然マイナ保険証も使えないため、資格確認書が自動的に届きます。
マイナ保険証未登録者は、マイナンバーカードは持っているものの、健康保険証としての利用登録を行っていない方です。カードを持っているだけでは医療機関で保険証として使えないため、利用登録をしていない方には資格確認書が届きます。
マイナ保険証の登録解除者は、一度マイナ保険証の利用登録を行った後に、利用登録の解除(利用停止)を申請した方です。「やはり紙の証明書の方が安心」と考え直した方も、解除手続きをすれば資格確認書を受け取れます。
電子証明書の有効期限切れの方は、マイナンバーカードに搭載されている電子証明書の有効期限が切れており、更新手続きをしていない方です。電子証明書の有効期限は発行から5回目の誕生日までとなっており、更新しないとマイナ保険証として使用できなくなります。
マイナンバーカード返納者は、カードを自主返納した方や、紛失等により失効させた方です。
これらの情報は、各医療保険者が管理する被保険者台帳と、オンライン資格確認等システムの登録状況を照合することで自動的に判別されます。該当する方は特に手続きをしなくても、従来通り自宅に資格確認書が届くことになります。
申請が必要なケース
一方で、例外的に本人の申請が必要となるケースもあります。
要配慮者は、マイナ保険証を持っているものの、高齢による認知機能の低下や障害などにより、暗証番号の入力や顔認証が困難で、支援者による同行も難しい場合です。このような場合、本人や家族からの申請に基づき、マイナ保険証を持っていても資格確認書が交付されます。
マイナンバーカードの紛失・更新中の方は、カードを紛失して再発行待ちの期間や、カードの追記欄が満杯になり更新手続き中の期間など、手元に有効なカードがない場合です。一時的な利用のために資格確認書の交付を申請できます。
資格確認書の有効期限はいつまで?保険の種類別に解説
資格確認書の有効期限は、加入している医療保険の種類や保険者によって異なります。法律上は「5年を超えない範囲」で各保険者が設定することになっていますが、実際の運用は保険者ごとに違いがあります。
後期高齢者医療制度の場合(75歳以上の方)
75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度では、資格確認書の有効期限は1年が一般的です。これは、医療費の窓口負担割合(1割、2割、3割)が前年の所得に応じて毎年変動するためです。負担割合が変わる可能性があることから、毎年新しい資格確認書を発行して情報を更新する必要があります。
東京都内の自治体(足立区、府中市など)の事例を見ると、2025年8月1日から使用開始となる資格確認書の有効期限は、2026年7月31日までと設定されています。つまり、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間が有効期間となります。
また、有効期限の管理を容易にするため、年度ごとに証の色を変更する運用が行われています。東京都では2026年7月31日まで有効な証は「藤色」というように、色で年度を識別できるようになっています。古い証と新しい証を間違えないよう、色による視覚的な区別がつけられているのです。
国民健康保険の場合
自営業者や無職の方などが加入する国民健康保険でも、資格確認書の有効期限は1年から2年程度で設定されることが多いです。健診や所得区分の見直しに合わせて更新を行う自治体が多数派となっています。
国民健康保険で特に注意が必要なのは、75歳の誕生日を迎える方です。75歳になると国民健康保険から後期高齢者医療制度へ自動的に移行するため、75歳到達時には国保の資格確認書の有効期限は誕生日の前日までとなります。75歳の誕生日以降は、後期高齢者医療制度から新しい資格確認書が届くことになります。
協会けんぽ・健康保険組合の場合(会社員の方)
会社員が加入する協会けんぽや各企業の健康保険組合では、資格確認書の有効期限を最長5年とする方針が示されています。これは制度上の上限であり、実際にはマイナ保険証への移行状況を見ながら、より短い期間で更新される可能性もあります。
被用者保険の場合、退職すると当然その保険の資格を喪失するため、有効期限内であっても資格確認書を返納する必要があります。転職して別の健康保険に加入する場合は、新しい保険者から新たな資格確認書が交付されます。
従来の健康保険証はいつまで使える?経過措置について
2024年12月2日に健康保険証の新規発行は停止されましたが、すでに発行済みの健康保険証がすぐに使えなくなるわけではありません。法律上の経過措置として、最長で2025年12月1日までは、現在手元にある保険証を引き続き使用できます。
ただし「最長で」という点に注意が必要です。保険証に記載されている有効期限が2025年12月1日より前に到来する場合は、その有効期限までしか使えません。
国民健康保険や後期高齢者医療の場合、多くの自治体では毎年7月31日や8月1日を更新日としています。例えば、2024年8月1日に発行された保険証の有効期限が「2025年7月31日」となっている場合、その保険証は2025年7月31日で失効します。2025年12月1日を待たずに、資格確認書またはマイナ保険証への切り替えが必要になります。
協会けんぽや健康保険組合の保険証には有効期限の記載がないものも多く存在します。この場合は、経過措置の規定により一律で2025年12月1日まで有効とみなされます。
資格確認書の更新手続きは必要?基本は「待つだけ」
資格確認書の更新について、多くの方が気になるのは「何か手続きが必要なのか」という点でしょう。結論から言えば、更新手続きは原則として不要です。
プッシュ型交付の対象者に対しては、有効期限が切れる前に新しい資格確認書が自動的に郵送されます。例えば、2025年7月31日に有効期限を迎える後期高齢者の場合、2025年7月中旬頃から順次、住民票の住所へ新しい資格確認書が発送されます。
利用者側で必要なアクションは、「郵便受けを定期的に確認すること」と「簡易書留等で届く場合は確実に受け取ること」の2点だけです。特別な申請書類を提出したり、役所の窓口に出向いたりする必要はありません。
2025年7月・8月は特に注意が必要
2024年12月の制度開始時点では、手元の健康保険証がまだ使えるため、大きな混乱は起きにくいと考えられます。しかし、実際に多くの方に影響が出るのは2025年の夏(7月・8月)です。
多くの後期高齢者医療制度や国民健康保険の有効期限がこの時期に切れるため、資格確認書への切り替えが一斉に発生します。この時期は郵便物のチェックが特に重要になります。「重要なお知らせ」と書かれた封筒や、自治体によっては目立つ色(オレンジ色など)の封筒で届くことがありますので、見落とさないよう注意しましょう。
届かない場合はどうする?
有効期限が近づいているのに新しい資格確認書が届かない場合は、以下の点を確認してください。
まず、住所変更の届出が済んでいるか確認しましょう。引っ越し後に住所変更の手続きをしていないと、旧住所に送られてしまう可能性があります。特に会社員の方は、会社への住所変更届を忘れていないか確認が必要です。
次に、郵便物の転送期間が切れていないか確認しましょう。郵便局への転送届は通常1年間有効ですが、期間が過ぎると転送されなくなります。
それでも届かない場合は、加入している保険者(市区町村役場、協会けんぽ、健康保険組合など)に直接問い合わせてください。
資格確認書の有効期限を確認する方法
手元の資格確認書がいつまで使えるか確認する方法は、シンプルで確実です。
券面の記載を確認する
最も基本的な確認方法は、資格確認書の券面を見ることです。カードまたは紙の表面に、「有効期限 令和〇年〇月〇日」と明記されています。この日付までが有効期間となります。
有効期限が近づいている場合は、新しい資格確認書が届いていないか郵便物を確認し、届いていなければ保険者に問い合わせましょう。
証の色で確認する(自治体国保・後期高齢者医療)
前述の通り、国民健康保険や後期高齢者医療制度では、更新ごとに証の色が変わることがあります。自治体の広報誌やウェブサイトで「今年度の証の色」を確認することで、手元の証が最新のものかどうか判断できます。古い色の証を使い続けていないか、定期的にチェックすると安心です。
同封の案内文を確認する
資格確認書が郵送されてきた際の封筒には、台紙や同封のリーフレットが入っています。これらには有効期限や使用開始日が大きく記載されていることが多いため、捨てずに保管しておくと便利です。
医療機関での確認
医療機関の窓口で資格確認書を提示すると、スタッフがオンライン資格確認システムを使って、その資格確認書が現在も有効かどうかをリアルタイムでチェックします。これにより、「退職して資格を失ったのに古い証を使ってしまった」といった、いわゆる「資格喪失後受診」を防止できます。正しい資格で受診しているという安心感が得られる仕組みになっています。
住所変更や紛失時の手続き方法
資格確認書は自動的に届きますが、人生の様々な場面では自分から手続きが必要になることもあります。具体的なケースごとに対応方法を説明します。
住所が変わったとき(引っ越し)
引っ越しをした場合、住所変更の手続きは必ず行いましょう。資格確認書はプッシュ型で届きますが、届け先は登録されている住所です。住所変更をしないと、新しい資格確認書が届かなくなってしまいます。
国民健康保険の場合は、旧住所地で転出届を出して資格喪失の手続きを行い、新住所地で転入届を出すと同時に国民健康保険の加入手続きを行います。新しい住所地での手続きが完了すると、その場で、または後日郵送で新しい資格確認書が交付されます。自治体をまたぐ引っ越しの場合は保険者が変わるため、「古い証の返納」と「新しい証の取得」がセットになります。
協会けんぽ・健康保険組合の場合は、会社に住所変更届を提出します。資格確認書の表面に住所記載欄がある場合、自分で二重線を引いて余白に新住所を記入することで対応可能な場合があります。保険者によっては証の差し替え(再発行)を行う場合もあるため、勤務先の担当者に確認してください。
氏名が変わったとき(結婚・離婚など)
結婚や離婚などで氏名が変わった場合も、手続きが必要です。
国民健康保険・後期高齢者医療の場合は、居住地の市区町村役場で手続きを行います。変更から原則14日以内に届け出が必要で、新しい氏名が確認できる本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)、印鑑、古い資格確認書を持参します。代理人が申請する場合は委任状が必要です。
協会けんぽ・健康保険組合の場合は、勤務先の事業主を通じて手続きを行います。従業員が事業主に申し出を行い、事業主が「被保険者氏名変更届」を日本年金機構や健保組合に提出します。新しい資格確認書は後日、会社経由または自宅への郵送で届きます。
紛失・破損したとき(再交付)
資格確認書をなくしてしまった場合や、洗濯してしまうなどで破損した場合は、再交付の申請が必要です。これは自動では届かないため、自分で申請する必要があります。
申請先は、国民健康保険の場合は市区町村役場、被用者保険の場合は勤務先または健保組合・協会けんぽ支部です。
必要書類は「資格確認書再交付申請書」で、被保険者の記号・番号、氏名、生年月日、再交付の理由(紛失、破損など)を記入します。本人確認書類(運転免許証のコピー等)の添付が求められます。
屋外での紛失や盗難の場合は、警察に遺失届や盗難届を出し、「受理番号」を控えておくことが推奨されます。健保組合によっては、再交付申請書に受理番号の記載欄がある場合があります。
再交付を受けた後に古い証が見つかった場合は、古い方を速やかに保険者へ返納してください。
マイナ保険証の登録を解除したいとき
一度マイナ保険証を利用登録したものの、「やはり資格確認書の方が安心」「カードを持ち歩きたくない」と考え直した場合、利用登録の解除申請を行うことができます。
加入している保険者(市区町村や健保組合)に対して、登録解除の申請書を提出します。解除処理が完了すると、マイナ保険証としての利用ができなくなります。登録解除者としてシステム上で認識されるため、次回の更新時や申請直後に、資格確認書が届きます。
注意点として、解除申請から資格確認書が届くまでにタイムラグが生じる可能性があります。医療機関にかかる予定がある場合は、事前に「資格確認書がいつ届くか」を保険者に確認するか、一時的な被保険者資格証明書の発行を相談してください。
高齢の親御さんがいる方へのアドバイス
ご自身の親御さんの保険証管理を心配されている方も多いのではないでしょうか。特に高齢者世帯では、届いた郵便物を見落としたり、重要書類を誤って捨ててしまったりするリスクがあります。
親御さんの家に届く郵便物を定期的にチェックしてあげてください。特に「重要なお知らせ」と書かれた封筒や、目立つ色の封筒は、絶対に捨てないように伝えておくことが大切です。
マイナ保険証の管理(暗証番号の管理)に不安がある場合は、無理にマイナンバーカードを作らせず、送られてくる資格確認書を活用することも合理的な選択です。介護施設などでも、暗証番号の管理や顔認証の対応が難しいケースでは、資格確認書の方が運用しやすい場合があります。
また、会社に勤めている方で親御さんを扶養に入れている場合は、親御さんの分の資格確認書も会社経由または直接届くことになりますので、届け先の住所が正しく登録されているか確認しておきましょう。
資格確認書制度の今後の見通し
政府は資格確認書のプッシュ型交付について、「当面の間」実施すると説明しています。現時点での政府方針では、この「当面の間」は最大で5年程度を目処としていると解釈されています。これは、マイナンバーカードの普及と定着には一定の期間が必要であるという判断に基づくものです。
5年後にプッシュ型交付が廃止され、完全な申請主義(必要な人だけが申請する仕組み)に移行するのか、あるいは制度が恒久化されるのかについては、今後の政治判断や社会情勢に委ねられています。現時点では、マイナ保険証を持っていない方には自動的に資格確認書が届く仕組みが続きますので、過度な心配は不要です。
まとめ:資格確認書について知っておくべきポイント
資格確認書は、マイナ保険証を持っていない方が医療機関を受診するために必要な証明書です。従来の健康保険証と同じように使えるため、特別な対応は必要ありません。
有効期限は保険の種類によって異なり、後期高齢者医療制度や国民健康保険では1年更新が一般的で、協会けんぽなどでは最長5年となっています。券面に「有効期限 令和〇年〇月〇日」と明記されているので、そちらで確認できます。
更新手続きは原則不要で、有効期限が切れる前に新しい資格確認書が自動的に届きます。ただし、住所変更をしていないと届かなくなるため、引っ越しの際は必ず届出を行いましょう。
現在手元にある健康保険証は、記載されている有効期限まで、最長で2025年12月1日まで使用できます。2025年の夏(7月・8月)に多くの方の切り替えが発生するため、この時期は郵便物のチェックを特に念入りに行ってください。
お住まいの自治体や加入している健康保険によって細かな運用が異なる場合がありますので、不明な点がある場合は、市区町村役場や勤務先の担当者、加入している健康保険組合などに確認することをおすすめします。


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