パスポート手数料が9,000円に値下げ!2026年7月施行の改定内容を解説

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パスポートの発行手数料は、2026年7月から約9,000円に引き下げられる見込みです。現行の約16,000円から約7,000円もの大幅値下げとなり、約半世紀ぶりの歴史的な改定となります。この改革では、成人向け5年用パスポートの廃止や未成年者の手数料統一も同時に実施され、日本のパスポート制度は大きな転換点を迎えます。

今回の手数料引き下げは、単なる値下げではありません。出国税(国際観光旅客税)の増税とセットで行われる「パッケージ施策」であり、インバウンド対策の財源確保やオーバーツーリズム対策、行政手続きのデジタル化推進といった複数の政策課題を同時に解決しようとする取り組みです。本記事では、パスポート手数料の改定内容から施行時期、申請のタイミング、損益分岐点のシミュレーションまで、2026年度の制度改革について詳しく解説します。

  1. パスポート発行手数料の改定内容とは
    1. 10年用パスポートの手数料が約9,000円に大幅値下げ
    2. 成人向け5年用パスポートは廃止へ
    3. 未成年者の手数料は一律約4,500円に統一
  2. パスポート手数料引き下げはいつから適用されるのか
    1. 施行目標時期は2026年7月
    2. 法的プロセスと実現までのロードマップ
    3. 申請を待つべきか、すぐ申請すべきかの判断基準
  3. 出国税の増税と損益分岐点のシミュレーション
    1. 出国税は1,000円から3,000円へ3倍増
    2. なぜ出国税を増税するのか
    3. 10年間で何回海外旅行すると損になるのか
  4. 2025年3月からのパスポート制度の変更点
    1. プラスチック基材の「2025年旅券」が登場
    2. 交付までの期間が2週間に延長
    3. オンライン申請の全面解禁とキャッシュレス決済
    4. オンライン申請と窓口申請の価格差
  5. パスポート手数料の国際比較
    1. 世界で高額なパスポートを発行する国
    2. G7諸国との比較
    3. 改定後の日本の立ち位置
  6. パスポート手数料の歴史的な変遷
    1. 日本のパスポート制度の始まり
    2. 約半世紀ぶりの大幅値下げの意義
  7. インバウンド政策の転換:ビザ手数料とJESTA
    1. 訪日ビザ手数料の引き上げ
    2. 日本版ESTA「JESTA」の導入
  8. パスポート申請のタイミングと具体的なアドバイス
    1. 2026年問題への備え
    2. 更新時期をコントロールして節約する方法
    3. 中高生のいる家庭へのアドバイス
    4. パスポートの「常備」が新常識に
  9. まとめ:2026年度パスポート制度改革の全体像

パスポート発行手数料の改定内容とは

10年用パスポートの手数料が約9,000円に大幅値下げ

パスポート発行手数料の改定において最も注目すべきは、10年用パスポートの手数料が現行の約16,000円から約9,000円へと引き下げられる点です。引き下げ幅は約7,000円に達し、現行価格から見て40%以上の大幅なディスカウントとなります。

2025年12月時点での10年用パスポート取得費用は、都道府県手数料と国手数料(収入印紙代)を合わせて約16,000円かかります。窓口での書面申請の場合は16,300円、オンライン申請の場合は15,900円(2025年3月24日以降の改定価格)となっています。家族でパスポートを取得する場合、この費用は家計にとって大きな負担となっていました。

新しい手数料は1万円を切る約9,000円という設定になっています。この価格設定には明確な政策的意図があり、若年層やパスポートを未取得の層に対する心理的なハードルを取り除くことを目的としています。1万円札1枚で支払ってお釣りが来る価格は、海外旅行への心理的な距離を縮め、コロナ禍で落ち込んだ日本人の海外旅行需要を喚起する効果が期待されています。

成人向け5年用パスポートは廃止へ

手数料引き下げと同時に実施される重要な変更が、18歳以上の成人向け5年用パスポートの廃止です。

現行制度では、18歳以上の成人は「5年用(約11,000円)」と「10年用(約16,000円)」のいずれかを選択できます。コストを抑えたい場合や、結婚などで姓が変わる可能性がある場合に5年用が選ばれるケースがありました。しかし、改定後は10年用が約9,000円となるため、現行の5年用(約11,000円)よりも安くなります。有効期間が2倍でありながら価格も安い10年用が存在する中で、5年用を選択する経済的合理性がなくなります。

この変更により、成人のパスポートは原則として10年ごとの更新に統一されます。申請者にとっては更新の手間が半減し、行政側にとっては事務処理の頻度が減少するという、双方にとって合理的な改革といえます。

未成年者の手数料は一律約4,500円に統一

未成年者のパスポート手数料についても、大きな変更が行われます。

現行制度では、12歳を境界線として手数料が分かれています。12歳以上は大人に近い約11,000円(5年用)、12歳未満は約6,000円(5年用)という設定です。未成年者は成長に伴う容貌の変化が著しいため、10年用パスポートの発行は認められておらず、5年用のみの発行となっています。

新制度では、この12歳という区分を撤廃し、18歳未満の未成年者全員を一律の料金体系に統合します。新しい手数料は一律約4,500円となる見込みです。

この変更による恩恵が最も大きいのは、中学生・高校生(12歳〜17歳)を持つ家庭です。これまで大人並みの11,000円がかかっていたものが、半額以下の4,500円になります。高校生の子供2人を連れて家族旅行に行く場合、子供分だけで約13,000円の節約となります。修学旅行での海外渡航においても、保護者の負担軽減につながる施策として歓迎されるでしょう。12歳未満の子供にとっても、現行の6,000円から約1,500円の値下げとなります。

パスポート手数料引き下げはいつから適用されるのか

施行目標時期は2026年7月

新しい手数料体系の適用時期は、2026年(令和8年)7月が目標とされています。これは2026年度の途中からの実施となります。

2025年の年末年始や、2026年の春休みに海外旅行を計画している場合は、まだ現行の高い手数料が適用されることになります。手数料引き下げの恩恵を受けるためには、2026年7月以降にパスポートを申請する必要があります。

法的プロセスと実現までのロードマップ

パスポートの手数料は、行政庁が自由に変更できるものではなく、旅券法という法律に基づき、国会の承認を経て決定されます。

2025年12月に政府・与党が方針を決定し、発表を行いました。2026年1月召集の通常国会に、政府は「旅券法改正案」を提出する予定です。この国会で法案が審議され、可決・成立すれば、公布を経て準備期間を置いた後に施行されます。この一連の流れが順調に進んだ場合の最短スケジュールとして、2026年7月からの実施が目指されています。

なお、法案審議の状況によっては施行時期がずれる可能性もあるため、最新情報を確認することが重要です。

申請を待つべきか、すぐ申請すべきかの判断基準

パスポートの残存期間が1年を切っている方や、新たに取得を検討している方にとって、「待つべきか、すぐ申請すべきか」は重要な問題です。

次回の海外渡航予定が2026年の夏以降であり、緊急性がない場合は、2026年7月の施行を待ってから申請することで大きな節約効果が得られます。家族4人(両親と中高生の子供2人など)で申請する場合、現行料金であれば合計約54,000円かかるところが、新料金では合計約27,000円で済み、約27,000円もの節約が可能です。

一方で、パスポートの残存期間が半年を切っている場合や、2026年7月以前に渡航の可能性がある場合は、施行を待たずに更新・取得する必要があります。多くの国では入国時に「残存有効期間が6ヶ月以上あること」を求めているため、有効期限ギリギリまで待つことはリスクを伴います。自身の渡航計画と照らし合わせた慎重な判断が求められます。

出国税の増税と損益分岐点のシミュレーション

出国税は1,000円から3,000円へ3倍増

パスポート手数料の大幅値下げには、明確な財源の裏付けが存在します。それが国際観光旅客税(出国税)の増税です。

現在、日本から出国するすべての旅客(日本人・外国人を問わず)は、航空券や船賃に上乗せされる形で、1回につき1,000円の出国税を支払っています。政府の方針では、パスポート手数料引き下げとセットで、この出国税を現行の1,000円から3,000円へと引き上げる計画です。3倍の増税となります。

なぜ出国税を増税するのか

出国税増税の背景には、爆発的に増加するインバウンド(訪日外国人旅行者)への対応があります。

京都や富士山、ニセコなどの主要観光地では、外国人観光客の急増により、交通機関の混雑、ゴミ問題、騒音、自然環境の破壊といった「オーバーツーリズム(観光公害)」が深刻化しています。これらの問題に対処するためには、警備員の配置、多言語対応、インフラ整備、清掃活動などに多額の予算が必要です。

政府は、これらの対策費用を広く旅行者自身に負担してもらう「受益者負担」の考えに基づき、出国税の増収分を充てる方針を固めました。現在の税収は年間500億円規模ですが、これを3倍にすることで1,500億円規模の安定財源を確保し、地方への観光分散や高付加価値化への投資を加速させる狙いがあります。

10年間で何回海外旅行すると損になるのか

出国税は外国人観光客だけでなく、海外へ行く日本人からも徴収されます。パスポート値下げの恩恵と出国税増税のデメリットを比較した場合、どちらが大きいのでしょうか。パスポートの有効期間である10年間でシミュレーションを行います。

項目金額
パスポート値下げ額(メリット)7,000円の得
出国税増税額(デメリット)1回につき2,000円の負担増(1,000円→3,000円の差額)
損益分岐点値下げ額7,000円 ÷ 増税差額2,000円 = 3.5回

この計算から導き出される結論は以下の通りです。

10年間に3回までの海外旅行の場合、パスポート値下げの恩恵(7,000円)が、出国税の増額分(2,000円×3回=6,000円)を上回るため、トータルではになります。

10年間に4回以上の海外旅行の場合、出国税の増額分(2,000円×4回=8,000円)が、パスポート値下げの恩恵(7,000円)を上回るため、トータルでは負担増となります。

数年に一度ハワイや韓国に行く程度の「ライト層」にとっては実質的な値下げとなりますが、毎年海外旅行に行く旅行好きや、頻繁に出張するビジネスパーソンにとっては実質的な増税となります。これは、手数料という「行政手続きの初期費用」を下げ、出国税という「移動ごとの従量課金」を上げることで、負担の構造を「利用頻度に応じた負担」へとシフトさせる政策といえます。

2025年3月からのパスポート制度の変更点

プラスチック基材の「2025年旅券」が登場

2026年の手数料改定に先立ち、2025年3月24日からパスポートの仕様や申請手続きが大きく変わります。

2025年3月24日から発行される新しいパスポート「2025年旅券」の最大の特徴は、顔写真や氏名が記載されている身分事項ページが、従来の紙製からプラスチック基材(ポリカーボネート)に変更されることです。この変更は、国際民間航空機関(ICAO)の推奨に基づくもので、レーザー刻印技術を用いることで偽造・変造を極めて困難にし、セキュリティレベルを格段に向上させます。欧米諸国ではすでに一般的となっており、日本も世界標準に追いつく形となります。

交付までの期間が2週間に延長

プラスチック基材の導入に伴い、パスポートの作成場所が変わります。これまでは各都道府県のパスポートセンターで作成していましたが、プラスチックへのレーザー刻印には高度な設備が必要となるため、国立印刷局での「集中作成」に一本化されます。

作成されたパスポートは国立印刷局から各都道府県へ配送されるため、申請から交付(受け取り)までにかかる日数が伸びます。従来は申請から土日祝日を除いて1週間程度で受け取れましたが、2025年3月以降は「原則2週間程度」が必要になります。

「旅行の直前に申請しても間に合わない」事態が予想されるため、これまで以上に余裕を持った申請が不可欠になります。

オンライン申請の全面解禁とキャッシュレス決済

手続きのデジタル化も加速します。2025年3月24日からは、パスポートの更新(切替申請)だけでなく、初めての申請(新規申請)も含めたすべての手続きがマイナポータルを通じてオンラインで行えるようになります。

オンライン申請を利用すれば、窓口へ行くのは「新しいパスポートを受け取る時の1回だけ」で済みます。申請のために平日の昼間に窓口に並ぶ必要がなくなるのは大きなメリットです。

また、オンライン申請の場合、手数料の支払いもキャッシュレス化されます。従来のような「収入印紙と現金を窓口で用意する」手間はなくなり、専用サイトでクレジットカード情報を登録することで支払いが完結します。

手続きの流れは、まずマイナポータルでパスポート申請を行い、審査完了後にマイナポータルに届く「交付予定・納付依頼通知」を確認します。通知に記載された「クレジットカード納付専用サイト」にアクセスしてカード情報を登録し、窓口でパスポートを受け取る際に端末処理によって決済が実行されます。

注意点として、クレジットカード払いの場合は領収書が発行されません。出張費精算などで証憑が必要な場合は、カード会社の利用明細を使用するか、窓口での現金払いや収入印紙払いを選択する必要があります。

オンライン申請と窓口申請の価格差

デジタル化を促進するため、手数料にも差がつけられています。2025年3月24日以降の価格設定(値下げ前)では、10年用の窓口申請が16,300円、オンライン申請が15,900円となり、オンライン申請の方が400円安く設定されています。2026年7月の値下げ後も、同様にオンライン申請を優遇する価格差が維持される見込みです。

パスポート手数料の国際比較

世界で高額なパスポートを発行する国

日本の改定後のパスポート手数料9,000円は、世界的に見てどの程度の水準なのでしょうか。

世界で最もパスポートが高い国の一つとして知られるのがオーストラリアです。2025年時点で、オーストラリアの10年用パスポート手数料は400オーストラリアドルを超えており、日本円換算で約4万円近い高額設定となっています。メキシコも同様に高く、約230米ドル(約35,000円)程度かかります。

これらに比べれば、日本の現行手数料(約16,000円)は決して異常に高いわけではありませんが、中程度からやや高めの部類に入ります。

G7諸国との比較

主要先進国(G7)のパスポート手数料(大人10年用)を比較します。為替レートは2025年時点の概算です。

国名手数料(日本円換算)
イギリスオンライン申請で88.50ポンド(約17,000円)、郵送申請で100ポンド(約19,000円)
アメリカ130ドル(約20,000円)
カナダ160カナダドル(約17,000円)
イタリア約116ユーロ(約18,000円)
ドイツ24歳以上で101ユーロ(約16,000円)
フランス86ユーロ(約13,500円)

G7諸国は概ね15,000円〜20,000円のレンジに収まっており、日本の現行価格(16,000円)はこのグループの平均的な位置にあります。

改定後の日本の立ち位置

日本の手数料が予定通り約9,000円(約60ドル、55ユーロ)になった場合、G7諸国の中で圧倒的に最安値となります。フランス(約13,500円)をも大きく下回る水準です。

9,000円という価格帯は、韓国(約36ドル=約5,500円)やスペイン(33ユーロ=約5,000円)などの比較的安価なグループに接近することになります。

日本のパスポートは、ビザなしで渡航できる国・地域の数において世界トップクラスの「最強パスポート」の一つです。その強力なパスポートが、先進国の中で最も安いコストで取得できるようになることは、日本国民にとって大きなメリットといえます。

パスポート手数料の歴史的な変遷

日本のパスポート制度の始まり

日本のパスポートの歴史は、幕末の1866年(慶応2年)に始まります。当時は「旅券」ではなく「印章」を押した書状形式であり、ごく一部のエリートや商人のみが手にするものでした。

現在のような手帳型のパスポートが登場したのは1926年(大正15年)のことです。その後、1989年(平成元年)の旅券法改正により、一度の申請で何度でも渡航できる「数次旅券」が一般的となり、海外旅行の大衆化を支えました。

1992年には機械読取式(MRP)が、2006年にはICチップを搭載したバイオメトリック・パスポートが導入され、セキュリティ機能の向上とともに手数料も改定されてきました。

約半世紀ぶりの大幅値下げの意義

現行の16,000円という手数料は、長らく維持されてきたものです。かつての手数料はもっと安価でしたが、ICチップの導入などパスポートの高機能化、偽造対策の強化に伴うコスト増を背景に、段階的に値上げされてきました。

これまでの歴史において、パスポート手数料は基本的に「右肩上がり」または「現状維持」であり、今回のような約4割もの大幅値下げが行われるのは極めて異例の出来事です。

これは、パスポート発行業務を行政サービスとしての「実費徴収」の枠組みから一部切り離し、インバウンド財源(出国税)を活用した「政策的な価格設定」へと転換したことを意味します。

インバウンド政策の転換:ビザ手数料とJESTA

訪日ビザ手数料の引き上げ

政府は、訪日外国人向けのビザ(査証)発給手数料についても、大幅な引き上げを検討しています。現在、一般的な一次有効ビザ(シングルビザ)の手数料は約3,000円ですが、これを約15,000円へと5倍近く値上げする方向で調整が進んでいます。

日本のビザ手数料は40年以上改定されておらず、諸外国と比較しても極めて安価でした。円安により外国人にとっての日本旅行の割安感が高まっている現在、ビザ手数料を国際標準並みに引き上げても訪日意欲への影響は限定的であると判断されています。この増収分もまた、領事体制の強化や迅速な審査プロセスの構築に充てられます。

日本版ESTA「JESTA」の導入

2028年度を目処に、新たな入国管理制度「JESTA(ジェスタ)」の導入が予定されています。これは、アメリカのESTA(エスタ)をモデルにした「電子渡航認証制度」です。

現在、アメリカ、韓国、台湾、イギリスなど60以上の国・地域の旅行者は、短期滞在であればビザなし(査証免除)で日本に入国できます。しかし、JESTA導入後は、これらのビザ免除対象者であっても、渡航前にオンラインで氏名や旅券情報などを申告し、渡航認証を受けることが義務付けられます。

このJESTA申請時にも手数料が徴収される見込みであり、その額はアメリカのESTA(21ドル)などを参考に設定されると考えられます。これにより、ビザが必要な国からは「ビザ手数料」、ビザが不要な国からは「JESTA手数料」、そしてすべての出国者からは「出国税」と、国境を越える移動のあらゆるフェーズで財源を確保する仕組みが構築されます。

パスポート申請のタイミングと具体的なアドバイス

2026年問題への備え

2026年は、日本の海外渡航環境にとって大きな節目の年となります。旅行者は、以下の3つの変化が同時に、しかし微妙に時期をずらして進行することを理解しておく必要があります。

2025年3月以降、パスポートがプラスチック化し、受け取りまで2週間かかるようになります。また、オンライン申請で窓口に行かなくて済むようになります。

2026年7月以降(予定)、パスポート手数料が約9,000円に下がり、同時に出国税が3,000円に上がります。

更新時期をコントロールして節約する方法

パスポートの有効期限が2026年〜2027年頃に切れる予定の場合、2026年7月以降に更新することで確実に7,000円の節約になります。可能であれば、それまでの海外旅行を控えるか、今のうちに短期の旅行を済ませておくなどの調整が有効です。

中高生のいる家庭へのアドバイス

お子さんの修学旅行や家族旅行が2026年夏以降にある場合、申請を2026年7月以降にすることで、子供一人あたり約6,500円の節約が可能です。

ただし、夏休み直前は申請が混み合う上、発行まで2週間かかるため、7月に入ったら早めにオンライン申請を行うことをおすすめします。

パスポートの「常備」が新常識に

今後、「来週急に海外出張が入った」という場合、パスポートを持っていなければ間に合いません。2週間というリードタイムを考慮し、パスポートは「使う予定がなくても常に有効な状態にしておく」ことが、これからの常識となるでしょう。手数料が安くなることは、この「常備」を後押しする要因となります。

まとめ:2026年度パスポート制度改革の全体像

2026年度の改革は、日本を「観光立国」としてさらに成熟させるための大きな転換点です。インバウンドから得られる収益を原資として、日本人のパスポート取得コストを劇的に下げ、国民が世界へ出るハードルを下げる施策といえます。

改定のポイントを整理すると、10年用パスポートは現行の約16,000円から約9,000円へと7,000円の値下げとなり、成人向け5年用パスポートは廃止されます。未成年者は年齢区分が撤廃され、一律約4,500円となります。施行時期は2026年7月が目標で、財源確保のため出国税は1,000円から3,000円に増税されます。

10年間に3回までの海外旅行であれば値下げの恩恵を受けられますが、4回以上になると出国税増税分の負担が上回ります。自身の旅行頻度を考慮した上で、申請のタイミングを検討することをおすすめします。

世界最強クラスの日本のパスポートが、先進国の中で最も安い水準で取得できるようになるこの機会を活かし、より多くの方が海外との接点を持てることを期待します。

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