マイナポータル連携で医療費控除が自動入力に!令和7年分確定申告の手順を解説

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令和7年分(2025年分)の確定申告において、マイナポータル連携による医療費控除の自動入力機能が大幅に進化しました。マイナポータルと連携することで、保険診療に基づく医療費通知情報がe-Taxの確定申告書等作成コーナーに自動的に反映され、従来必要だった領収書の集計や手入力の手間が大幅に削減されます。令和8年(2026年)2月から3月にかけて実施される令和7年分の確定申告では、iPhoneでも生体認証による電子署名が全面的に利用可能となり、物理的なマイナンバーカードをかざす必要がなくなったことで、スマートフォンだけで申告を完結できる環境が整いました。

この記事では、マイナポータル連携を活用した医療費控除の自動入力について、システムの仕組みから具体的な操作手順、家族の医療費を合算する方法、さらには11月・12月の診療分がデータに反映されない場合の対処法まで、令和7年分確定申告に必要な情報を網羅的に解説します。確定申告期間は2026年2月16日から3月16日までとなりますが、マイナポータル連携を活用するためには事前の準備が重要となりますので、申告をスムーズに進めるためのポイントを確認していきましょう。

マイナポータル連携による医療費控除の自動入力とは

マイナポータル連携による医療費控除の自動入力とは、健康保険組合や協会けんぽなどの保険者が保有する医療費通知情報を、マイナポータルを経由してe-Taxに取り込み、確定申告書に自動反映させる機能のことです。この機能を利用することで、病院や薬局で支払った医療費の情報が自動的に申告書に入力されるため、領収書を1枚1枚確認して金額を集計するという従来の煩雑な作業から解放されます。

医療費通知情報がマイナポータルに集約される仕組みは、日本の医療保険制度全体を貫くデータ連携ネットワークによって支えられています。私たちが医療機関で診療を受け、窓口で一部負担金を支払うと、その情報はレセプト(診療報酬明細書)として社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会へ送られます。審査を経て各保険者へ確定データとして送付された後、この情報がデジタル庁が管轄するマイナポータルのAPIを通じて集約され、国税庁のe-Taxシステムへと受け渡される流れになっています。

自動入力の対象となる医療費

マイナポータル連携で自動入力される医療費は、保険診療に基づき保険者が把握している費用に限られます。具体的には、病院や診療所での診療費、処方箋に基づく薬局での薬剤費、柔道整復師による施術費のうち保険適用分などが該当します。これらの費用については、マイナポータル連携を実行するだけで自動的に申告書へ反映されるため、個別に領収書を保管して金額を転記する必要がありません。

一方で、自動入力の対象外となる医療費も存在します。自由診療(保険適用外の治療)については、医療機関から保険者へ請求が行われないため、マイナポータル上にデータとして存在しません。視力回復のためのレーシック手術、保険適用外の歯列矯正やインプラント治療、不妊治療の一部などがこれに該当し、高額になるケースも多いため医療費控除において重要な項目となりますが、必ず領収書に基づく手入力が必要です。また、医師の診察を受けるための電車やバスなどの公共交通機関の運賃(通院費)も控除対象ではありますが、これは医療データではないため連携されません。

データ反映のタイミングと注意点

マイナポータル連携を利用する際に最も理解しておくべき点は、診療を受けてからデータが反映されるまでのタイムラグです。医療機関がレセプトを請求し、審査機関がそれを審査し、保険者がデータを確定させるまでには、通常2〜3ヶ月の期間を要します。

例年、確定申告に必要な医療費通知情報がマイナポータル上で一括取得可能になるのは2月9日頃とされており、令和7年分の申告においてもこのスケジュール感は維持される見込みです。この日付がデジタル申告における実質的な開始日となるため、2月9日以前にマイナポータル連携を実行しても十分なデータが取得できない可能性があります。

令和7年1月から10月までの診療分については、2月上旬のデータ取得開始時点でほぼ確実に反映されています。しかし、11月および12月の診療分については、確定申告期間の開始時点でまだマイナポータル上のデータに含まれていないケースが頻発します。これはシステムの欠陥ではなく、適正な医療費支払いを担保するための審査プロセスに必要な時間によるものです。

令和7年分申告の注目点「iPhone用電子証明書」の対応開始

令和7年分確定申告における最大の変化は、iPhoneにおけるスマホ用電子証明書の実装と、それによるe-Tax利用の簡素化です。Android端末においては先行して実装されていた機能でしたが、日本国内で高いシェアを持つiPhoneへの対応が完了したことで、事実上ほとんどのスマートフォンユーザーが物理的なマイナンバーカードをかざすという行為から解放されることになりました。

これまでのe-Tax(マイナンバーカード方式)では、ログインするたび、あるいは電子署名を行うたびに、スマートフォン等の背面にマイナンバーカードを密着させ、読み取りが完了するまで静止する必要がありました。このプロセスは、スマホケースの厚みや読み取り位置のズレによってエラーが頻発し、多くのユーザーにとってストレスの要因となっていました。

スマホ用電子証明書の仕組み

新しいシステムでは、マイナンバーカードに搭載されている利用者証明用電子証明書と署名用電子証明書の機能を、スマートフォンのセキュア領域に安全に格納します。iPhoneの場合はSecure Elementと呼ばれる領域がこれに該当します。これにより、確定申告書等作成コーナーへのログインや申告データの送信時に、物理カードを取り出す必要がなくなり、iPhoneの生体認証(Face IDやTouch ID)とパスワード入力のみで、本人確認と法的効力のある電子署名が完了します。

スマホ用電子証明書を利用するためのセットアップ手順は、マイナポータルアプリを使用して行います。まずApp Storeからマイナポータルアプリの最新版を入手し、アプリ内の「スマホ用電子証明書の利用申請」または「スマホ用電子証明書を登録する」を選択します。ここで一度だけ物理的なマイナンバーカードを使用し、カードをiPhoneの上部背面にかざして利用者証明用パスワード(4桁)と署名用パスワード(6〜16桁)を入力することで、電子証明書情報がスマートフォンへコピーされます。最後にFace ID等の生体認証機能との連携を許可すれば、セットアップは完了です。

事前登録の重要性

この登録作業は、申告直前ではなく余裕を持った時期に行うことが推奨されます。特に申告期限間際はマイナポータルへのアクセスが集中するため、システムの応答が遅くなったり、エラーが発生しやすくなったりする可能性があります。令和7年中(2025年中)にセットアップを済ませておくことが、トラブル回避の鍵となります。

医療費控除の計算方法と家族分の合算

医療費控除は、その年に支払った医療費の総額が一定額を超えた部分について、所得控除を受けられる制度です。控除額の計算において重要なのは、この計算が世帯単位で行える点です。納税者本人だけでなく、生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費を合算して申告することができます。

医療費控除の計算式

医療費控除の対象となるのは、その年に支払った医療費の総額から保険金などで補填された金額を差し引いた額のうち、10万円を超える部分です。ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%を超える部分が控除対象となります。

たとえば、年間の医療費総額が25万円で、保険金等の補填がなく、総所得金額等が400万円の場合、25万円から10万円を引いた15万円が医療費控除の額となります。この15万円に所得税率を掛けた金額が還付される(または納税額から差し引かれる)仕組みです。

税率が高い(所得が多い)家族がまとめて医療費控除を申告することで、還付される税金額または軽減される住民税額が最大化される傾向があります。マイナポータル連携は、この家族分のデータ収集という最も煩雑な作業を劇的に効率化する機能を持っています。

代理人設定によるデータ一括取得

マイナポータルは原則として個人ごとのアカウント管理となりますが、代理人設定を行うことで家族のデータを一人のアカウントに集約できます。令和7年分申告において家族の医療費をスムーズに合算するためには、まず申告を行う代表者(例:夫)を代理人、医療費データを提供する家族(例:妻、子供)を委任者として登録します。

代理人のマイナポータルにログインし、「代理人の登録」メニューから「新たに代理人になる」を選択します。対面での認証が最も簡単な方法で、家族のマイナンバーカードを代理人の端末で読み取るか、それぞれの端末でQRコードを表示・読み取りすることで相互認証を行います。委任設定の際には、医療費通知情報や税務・確定申告に関する情報の権限を「委任する」に設定することが重要です。この設定が漏れていると、確定申告書等作成コーナーでデータが取得できません。

15歳未満の子供については、親権者が法定代理人として子供のマイナンバーカードを用いて一方的に代理人登録を行うことが可能です。

確定申告書等作成コーナーでの操作

代理人設定が完了していれば、実際の申告書作成画面での操作はシンプルです。マイナポータル連携を選択した後の画面で、「家族分(代理人)の情報も取得する」というオプションが表示されます。ここで連携したい家族全員を選択することで、本人分と家族分の医療費通知情報が一括でダウンロードされ、自動的に合算・集計されて申告書の明細欄に反映されます。数十枚、時には百枚を超える領収書と格闘していた過去と比べ、この機能による時間短縮効果は非常に大きなものです。

セルフメディケーション税制との選択

医療費控除には特例としてセルフメディケーション税制が存在します。これは、健康診断を受けていることを条件に、対象となるOTC医薬品(スイッチOTC薬など)の年間購入額が1万2,000円を超えた場合、その超過分(上限8万8,000円)を所得控除できる制度です。

通常の医療費控除との併用不可

セルフメディケーション税制について最も重要なルールは、通常の医療費控除と併用できないという点です。納税者はどちらか一方を選択しなければなりません。一般的に、入院や手術などで医療費が高額になった場合は通常の医療費控除が有利です。一方、病院にはほとんど行かず、ドラッグストアで風邪薬や鎮痛剤、アレルギー薬などを頻繁に購入している家庭では、セルフメディケーション税制の方が有利になる可能性があります。

どちらが有利かを判断するためには、年間の医療費総額とOTC医薬品の購入額をそれぞれ集計し、控除額を比較する必要があります。マイナポータル連携を活用すれば、保険診療分の医療費は自動で把握できるため、この比較検討が容易になります。

ドラッグストア連携の進化

令和7年分申告においては、マイナポータル連携の対象が公的な医療保険データだけでなく、民間のドラッグストアや薬局の購入履歴にも広がっています。これを実現するのがe-私書箱(電子私書箱)機能です。

マツモトキヨシ、ウエルシア薬局、ココカラファインといった大手ドラッグストアチェーンは、自社の会員基盤とマイナポータル等の連携を進めています。事前に各社のアプリやウェブサイトでマイナンバーカードを用いた連携手続きを行っておくことで、対象医薬品の購入履歴がデジタルデータとして蓄積されます。確定申告時には、このデータをマイナポータル経由で取得し、セルフメディケーション税制の明細書に自動入力することが可能です。

ただし、全てのドラッグストアが対応しているわけではありません。連携未対応の店舗で購入した医薬品や、連携設定前に購入した履歴については、従来通りレシート(領収書)の保管と手入力が必要です。レシートにはセルフメディケーション税制対象商品であることを示すマーク(★印など)が印字されているため、これを確認しながら入力作業を行うことになります。

確定申告書等作成コーナーの操作手順

国税庁は令和7年1月から、確定申告書等作成コーナーのスマートフォン向け画面を大幅に拡充しました。これまでは所得税申告の一部機能や複雑な入力画面に入ると、PC版の画面がそのままスマホに縮小表示され、操作しづらい場面がありました。しかし、令和7年分申告からは所得税の全ての画面がスマートフォンに最適化されたデザインに統一されています。文字の大きさ、ボタンの配置、入力フォームの挙動がタッチ操作に最適化されており、PCを持たないユーザーでもストレスなく申告を完結できる環境が整いました。

ログインから送信までの流れ

確定申告の具体的な操作は、まず準備段階としてiPhoneまたはAndroidにマイナポータルアプリをインストールし、利用者証明用電子証明書等のパスワードを確認します。源泉徴収票や、連携されない医療費の領収書も手元に用意しておきます。

国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスし、「作成開始」をタップします。会社員であれば「所得税」を選択し、連携機能を利用するかどうかの質問に対し「マイナポータルと連携する」を選択します。マイナポータルアプリが起動し、生体認証またはパスワード入力で本人確認を行います。ここで、本人分および代理人設定済みの家族分のデータを一括取得します。

自動入力された医療費の合計額が表示されたら、内容を確認します。11月・12月分の不足や、連携されていない自由診療分・交通費がある場合は、「追加入力」ボタンから手動でデータを追加します。また、誤ったデータが含まれている場合は、連携データを削除して手入力に切り替えることも可能です。ふるさと納税や生命保険料控除なども、マイナポータル連携に対応している場合は自動入力されます。

全ての入力が完了したら、計算結果(還付金額または納税額)を確認し、最後に再び電子署名を行ってデータを送信します。

よくあるトラブルと対処法

カード読み取りエラーは、iPhoneユーザーが物理カードを読み取る際に頻発することがあります。原因の多くは、読み取り完了前にカードを動かしてしまった、金属製の机の上で行った、スマホケースが干渉している、のいずれかです。対策として、ケースを外し、カードを机に置かず手に持った状態で、iPhoneの上部をカード中心に当て、読み取り完了のバイブレーションがあるまで数秒間静止させることが有効です。

電子証明書のパスワードについては、利用者証明用(4桁)は3回、署名用(6〜16桁)は5回連続で間違えるとロックされます。ロック解除には市区町村の窓口へ行く必要がありますが、4桁の暗証番号が有効であれば、コンビニのキオスク端末等で署名用パスワードの初期化が可能な場合もあります。

iPhoneのSafariでプライベートブラウズモードを使用していると、正常に動作しない場合があります。確定申告書等作成コーナーを利用する際は、必ず通常のブラウズモードでアクセスしてください。

11月・12月の医療費データが反映されない場合の対処法

マイナポータル連携における最大の注意点は、直近の受診データが申告開始時点に間に合わない可能性がある点です。特に11月診療分はギリギリ反映されるかどうか、12月診療分はほぼ確実に間に合わないというのが通例です。

このタイムラグをシステムのエラーと捉えて反映を待ち続けると、申告期限に遅れるリスクがあります。国税庁もこのラグを認識しており、連携データと手入力データの併用(ハイブリッド申告)を公式に認めています。

ハイブリッド申告の手順

最も効率的かつ確実な方法は、まずマイナポータル連携を実行し、反映されている分(例:1月〜10月分)を取り込みます。次に、手元の領収書と画面上のデータを照らし合わせ、どの月のデータが欠けているかを確認します。医療費の入力画面にある「領収書から入力」等の機能を使用し、未反映の11月・12月分の医療費を入力します。この際、病院ごとに合計額を入力することも可能です。

手動で入力した分の領収書については、自宅で5年間保管する義務があります。提出は不要ですが、税務署から求められた際に提示する必要があります。一方、マイナポータル連携で自動入力された分については、領収書の保管義務自体が免除されます。

この「連携分は保管不要、手入力分は要保管」というルールの違いを理解し、11月以降の領収書だけは専用の封筒等に入れて確実に管理しておくことが、事後調査等への備えとして重要です。

令和7年分確定申告に向けた準備のポイント

令和7年分の確定申告をスムーズに進めるためには、事前の準備が重要です。申告期間が始まってから慌てて準備を始めると、システムへのアクセス集中や窓口の混雑に巻き込まれる可能性があります。

電子証明書の有効期限確認

マイナンバーカードの電子証明書には有効期限があり、発行から5回目の誕生日が期限となります。有効期限が切れていると、マイナポータルへのログインやe-Taxでの電子署名ができません。マイナポータルアプリで有効期限を確認し、更新が必要な場合は年末の混雑前に市区町村窓口で手続きを済ませることが推奨されます。

スマホ用電子証明書の登録

iPhoneユーザーの場合、スマホ用電子証明書の登録を申告直前ではなく、早い段階で済ませておくことが重要です。一度登録してしまえば、以降は物理的なマイナンバーカードを取り出す必要がなくなり、生体認証だけで全ての操作が完了します。

家族の代理人設定

家族の医療費を合算して申告する場合は、年末年始など家族が集まる機会を利用してマイナポータルでの代理人登録(委任設定)を行っておくことで、申告直前の混乱を回避できます。代理人設定には委任者本人のマイナンバーカードが必要となるため、離れて暮らす家族がいる場合は帰省時などに設定を済ませておくと便利です。

マイナポータル連携で変わる確定申告の未来

令和7年分の確定申告において、iPhone対応とマイナポータル連携の深化がもたらすメリットは、単なる入力の手間削減にとどまりません。医療費通知情報、給与所得の源泉徴収票、ふるさと納税、公的年金等のデータが自動で集約されることにより、確定申告は書類を作成する作業から、自分の経済活動のデータを確認する作業へと質的に変化しています。

これにより、これまで計算が面倒だから、領収書をなくしたからという理由で医療費控除の申告を諦めていた方も、本来受け取るべき還付金を適正に受け取ることができるようになります。また、税務署に行かずに自宅から24時間いつでも申告できる環境は、多忙な現役世代にとって大きな利便性をもたらすものです。

マイナポータル連携を最大限に活用するためには、申告期間が始まる前の準備が鍵となります。電子証明書の有効期限確認、スマホ用電子証明書の登録、そして家族の代理人設定という3つの準備を早めに済ませておくことで、令和7年分確定申告をスムーズに完了させることができます。

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