ミラノ五輪日本代表ウエアのデザインとブランドを徹底解説

社会

ミラノ五輪の日本代表ウエアは、アシックスが公式服装であるデレゲーションウェアを手がけ、日本の伝統的な流水文様を現代的に昇華した「RYUSUI」グラフィックと、情熱を象徴する赤のグラデーションが特徴的なデザインとなっています。競技別ウエアでは、ゴールドウイン、ミズノ、デサント、ヨネックスといった国内トップブランドがそれぞれの専門技術を結集し、機能性と日本文化の融合を実現しました。2026年2月に開幕したミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピックは、ファッションの都ミラノでの開催とあって、各国が威信をかけたデザイン合戦を繰り広げる中、日本代表チーム「TEAM JAPAN」のウエアは「伝統の抽象化」と「先端技術の融合」という独自路線で世界の注目を集めています。この記事では、各ブランドのデザインコンセプトから最新素材技術、さらに日本文化に根差した色彩やグラフィックの意味まで、ミラノ五輪日本代表ウエアの全貌を詳しくお伝えします。

  1. ミラノ五輪日本代表の公式ウエアを手がけるブランドの全体像
  2. アシックスが手がけるミラノ五輪デレゲーションウェアのデザインコンセプト
    1. 「パフォーマンスとサステナビリティの両立」を軸にした3つのテーマ
    2. 日本の伝統文様「流水」を現代に昇華した「RYUSUI」グラフィック
    3. 「サンライズレッド」のグラデーションに込めた情熱と一体感
  3. ブランド史上初のランウェイショーが示すミラノ五輪ウエアの新しい価値
  4. ミラノ五輪日本代表ウエアに搭載された最新テクノロジーと機能
    1. 「ボディサーモマッピング」による精密な体温管理
    2. 極寒と室内を行き来するためのポディウムジャケットの設計
  5. ミラノ五輪ウエアにおけるサステナビリティへの取り組み
  6. 競技別ウエアのブランドとデザインの特徴
    1. ゴールドウインの「紅辰砂」が映えるスキー日本代表「SNOW JAPAN」のウエアデザイン
    2. ミズノ「テックフィルブレスサーモ」の保温技術とスピードスケートウエアの空力設計
    3. デサント「6Dパターン」が支えるスキージャンプウエアの革新
    4. ヨネックス「ヒートカプセル」搭載のスノーボードウエアの技術
  7. ミラノ五輪で注目される世界各国代表ウエアとの比較
  8. ミラノ五輪日本代表ウエアを日常のファッションとして楽しむ方法
  9. ミラノ五輪日本代表ウエアに隠された日本文化のストーリー

ミラノ五輪日本代表の公式ウエアを手がけるブランドの全体像

ミラノ・コルティナダンペッツォ2026冬季オリンピックにおいて、日本代表選手団「TEAM JAPAN」のウエアは複数の国内ブランドが分担して提供しています。公式服装であるデレゲーションウェアは、ゴールドパートナーであるアシックスが東京2020大会、パリ2024大会に続いて担当しました。開閉会式や表彰式、選手村での着用を想定したこのウエアは、チームの「顔」としての役割を担う重要な存在です。

競技別ウエアについては、スキーのモーグル、スキークロス、エアリアル競技をゴールドウインが「SNOW JAPAN」ブランドとして展開しています。スキージャンプ、コンバインド、クロスカントリー、スピードスケートはミズノが担当し、スキージャンプ分野ではデサントも長い歴史を持つサプライヤーとして参画しています。スノーボード日本代表のウエアはヨネックスがサポートしており、テニスやバドミントンの印象が強いヨネックスですが、スノーボードギアにおいても世界的な評価を獲得しています。いずれのブランドも日本のスポーツウエア開発を牽引してきた存在であり、今大会ではファッションの都ミラノという開催地にふさわしく、機能性だけでなくデザイン性にもこだわった製品を送り出しています。

アシックスが手がけるミラノ五輪デレゲーションウェアのデザインコンセプト

「パフォーマンスとサステナビリティの両立」を軸にした3つのテーマ

アシックスのデレゲーションウェアは、パリ2024大会から継承された「パフォーマンスとサステナビリティの両立」をメインコンセプトに掲げています。冬季大会特有の厳しい環境に対応するため、今大会ではさらに「コンディショニング」「サステナビリティ」「ダイバーシティ」という3つのテーマが設定されました。

「コンディショニング」は、氷点下の屋外と暖房の効いた屋内という寒暖差の激しい環境で、アスリートが常に快適な体温を維持できることを目指すものです。単なる防寒ではなく、体温調整によるパフォーマンス維持を意味しています。「サステナビリティ」は、素材選びや製造工程における環境負荷の低減を徹底する方針であり、アイテム数を絞り込むことで物理的な資源消費を抑えるアプローチも取られました。「ダイバーシティ」は、多様な背景を持つ選手たちがチームとして団結しつつ個々の個性も尊重されるデザインを追求するもので、後述するグラフィックの手法で巧みに具現化されています。これら3つのテーマは相互に関連し合いながら、製品の隅々にまで反映されています。

日本の伝統文様「流水」を現代に昇華した「RYUSUI」グラフィック

今回のデザインの核となったのは、日本の伝統柄である「流水文様(りゅうすいもんよう)」です。流水文様とは、絶えず形を変えながら流れ続ける水を表現した意匠であり、「清らかさ」「苦難を流し去る」「永遠」といった意味を持っています。古くから武具や着物に用いられてきたこの文様には厄除けや火伏せの意味合いもあり、過酷な勝負に挑む選手を守る願いが込められています。

アシックスはこの伝統柄を「RYUSUI」というオリジナルグラフィックへと昇華させました。厳しい寒さやプレッシャーの中でも水のように柔軟に、しかし力強く突き進むアスリートの「芯の強さ」を表現しています。特筆すべきは、このグラフィックの配置に「ダイバーシティ」の概念が組み込まれている点です。「RYUSUI」柄がプリントされた一枚の大きな生地から無作為にパーツを裁断して縫製することで、一着ごとに柄の出方が微妙に異なるように設計されています。チームとしての統一感を保ちながら選手一人ひとりの個性を尊重するという哲学的メッセージが、デザインそのものに込められているのです。大量生産品でありながら「一点物」の性格を持たせるという、工業製品としての新たな挑戦でもあります。

「サンライズレッド」のグラデーションに込めた情熱と一体感

カラーリングには、情熱と勝利を象徴する鮮やかな「サンライズレッド」と、深みのある「チームジャパンレッド」の2色が使用されています。この2色をグラデーションで表現することで、単色の赤では出せない揺らぎや変化を持たせ、選手の燃え上がる闘志や身体の内側から湧き上がるエネルギーを視覚化しました。パリ大会と同じカラーパレットを採用することで、夏から冬へと続く「TEAM JAPAN」の一貫した連帯感を醸成する狙いもあります。選手からは「夏と冬が繋がっている感覚があり、チームとしての一体感を感じる」という声が上がっており、視覚的な美しさだけでなく心理的な効果も発揮しています。

ブランド史上初のランウェイショーが示すミラノ五輪ウエアの新しい価値

アシックスは大会開幕に先駆けて、東京タワーメディアセンター「スタジオアース」にて「ASICS PRESENTS: TEAM JAPAN RUNWAY SHOW 2026」を開催しました。本格的なファッションショー形式で公式ウエアを披露するというのは、スポーツブランドとしては異例の試みです。

ショーの構成はアシックスの創業哲学「Sound Mind, Sound Body(健全な身体に健全な精神があれ)」をベースに、アスリートの日常から大舞台までのストーリーを5つのシーンで表現するドラマティックなものでした。会場には開催地コルティナ・ダンペッツォに降り注ぐ雪をイメージした紙吹雪が舞い、フィナーレを華やかに演出しました。

このショー形式の採用には明確な戦略的意図があります。それは、オリンピックウエアを「競技のための特別な服」から「日常のライフスタイルにも取り入れられるファッション」へと昇華させることです。ショーの中では公式ウエアだけでなく、ストライプシャツやスラックス、ジーンズ、ローファーといったカジュアルなアイテムと組み合わせたスタイリングが提案されました。観戦するサポーターに「多様なスタイルで応援を楽しむ」ことを促すとともに、スポーツウエアの機能美を都市生活に馴染ませる提案でもあります。これまでのオリンピックウエア発表会が機能説明や選手による試着会に留まっていたのに対し、今回は明確に「カルチャー」としてウエアを発信した点が画期的でした。

ミラノ五輪日本代表ウエアに搭載された最新テクノロジーと機能

「ボディサーモマッピング」による精密な体温管理

ミラノ・コルティナ大会では、選手は極寒の雪山と空調管理された選手村やスタジアム内部を頻繁に行き来します。この温度差によるヒートショックや発汗による冷えは、選手の体調管理における最大のリスクです。アシックスはこの課題に対し、「アシックスボディサーモマッピング」技術を採用しました。人体の発熱箇所や発汗しやすい部位を科学的に分析し、温めるべき場所には保温材を配置し、熱を逃がすべき場所には通気孔を設けるという精密な設計が施されています。

極寒と室内を行き来するためのポディウムジャケットの設計

アウトドア用ポディウムジャケットには防水透湿素材が採用され、縫い目にはシームテープ加工が施されて完全防水を実現しています。バッフル構造(中綿の隔壁)を工夫することで動きやすさと保温性を両立させており、フードや裾に搭載された一体型の調整システムは厚手のグローブをしたままでも操作できるように設計されています。極寒環境下で素手にならずに済むという細やかな配慮が、選手のコンディション維持に貢献しています。

インドア用ポディウムジャケットは、生地に厚みを持たせつつマルチレイヤー構造で通気性を確保しています。選手村でのリラックスタイムや移動中の快適性を追求しており、選手からは「非常に軽くて着心地が良い」「リラックスして過ごせる」と高い評価を得ています。開催地チロル地方の民族衣装に見られる「チロルテープ」から着想を得た装飾が施されている点も特徴で、開催国イタリアへの敬意が表されています。

ミラノ五輪ウエアにおけるサステナビリティへの取り組み

環境問題への配慮は現代のオリンピックにおいて不可欠な要素となっています。アシックスのウエア開発では、国際的な環境認証「GRS(Global Recycled Standard)」を取得したリサイクルダウンが使用されています。ファスナーの引き手などには製造過程で出た廃材を再利用し、一部のアイテムには製品のライフサイクル全体で排出される温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント)をプリントして環境負荷を可視化しています。これは選手自身が環境問題を意識するきっかけを作ると同時に、サポーターに対しても企業の透明性をアピールするものです。

さらに注目すべきは、アイテム数そのものを削減するという大胆な決断です。一着で複数の気候条件に対応できるジャケットを開発することで、一人当たりの提供アイテム総数を減らし、資源の浪費を抑えています。持ち込む荷物の量が減ることで輸送にかかるエネルギーコストも削減されました。リサイクル素材を使用しながらも防水性や保温性は過去最高レベルを維持しており、「環境にやさしい選択が実は最も高機能な選択でもある」ということを体現しています。

競技別ウエアのブランドとデザインの特徴

ゴールドウインの「紅辰砂」が映えるスキー日本代表「SNOW JAPAN」のウエアデザイン

ゴールドウインはスキー日本代表「SNOW JAPAN」のモーグル、スキークロス、エアリアル競技のウエアを提供しています。2026年モデルのために選ばれた色は「紅辰砂(べにしんしゃ)」と呼ばれる深く鮮やかな赤色です。この色の選定には深い歴史的背景があり、戦国時代の武将たちが自らの武勇や強さを誇示するために用いた「変わり兜」や陣羽織の色からインスピレーションを得ています。「日本の伝統」「精鋭」「強者」というメッセージを込めたこの独特の赤色は、単なる「日の丸の赤」とは一線を画す鉱物的な深みと歴史の重みを感じさせ、雪上の白銀の世界で強烈な存在感を放っています。

モーグルやエアリアルといった採点競技において、ウエアのシルエットは勝敗を左右する重要な要素です。特にモーグルではターン時の膝の密着度や上体の安定性が厳しく審査されるため、ゴールドウインはウエアのデザインに「錯視効果」を取り入れました。脚のラインや身体の軸が美しくダイナミックに見えるよう、色の切り替え位置やラインの太さをミリ単位で計算しています。これは物理的な機能性を超えた、視覚心理学を応用した「勝つためのデザイン」です。選手に提供されるアイテムはウォームジャケットやサイドジップパンツ、レインコートなど多岐にわたり、一般のスキーヤー向けのレプリカモデルも展開されています。

ミズノ「テックフィルブレスサーモ」の保温技術とスピードスケートウエアの空力設計

ミズノはスキージャンプ、コンバインド、クロスカントリー、スピードスケートのウエアを担当しています。スキー競技のウエアにおける最大の課題は「濡れ」による体温低下です。汗や雪解け水で中綿が濡れると保温力が急激に低下し、特にスキージャンプ競技ではスタートゲートでの待機時間に体温が下がると筋肉の反応速度が鈍り、致命的なミスにつながります。

この課題を解決するために開発されたのが「テックフィルブレスサーモ」です。テックフィルブレスサーモとは、人体から発生する水分を吸収して発熱するミズノ独自の「ブレスサーモ」素材と、天然ダウンのような保温性を持ちながら水に濡れてもへたりにくい化繊中綿「テックフィル」を複合させたハイブリッド中綿です。ブレスサーモ繊維自体にも疎水加工(水を弾く加工)が施されており、汗をかいても発熱機能が維持される設計となっています。極薄のシートを多層構造にすることで、動きを妨げない薄さでありながらダウンを凌駕する保温性を実現しました。濡れに強く洗濯も容易でありながら、過酷な環境下で「発熱し続ける」という理想的なウエアです。

スピードスケートのレーシングスーツでは空気抵抗の削減が最重要課題となります。ミズノは国立スポーツ科学センター(JISS)や日本スケート連盟と共同で風洞実験を繰り返し、新たなニット素材を開発しました。風速12〜16m/s(トップ選手の滑走速度域)における空気抵抗を、前回北京大会モデルと比較して平均約3%削減することに成功しています。わずか数千分の一秒を争う世界において、この3%という数字はメダルの色を変え得る決定的な差です。デザインはホワイトとブラックを基調に勝利を象徴するゴールドのロゴを配し、選手の集中力を阻害しない禁欲的かつ力強い印象に仕上げられています。

デサント「6Dパターン」が支えるスキージャンプウエアの革新

デサントはスキージャンプ日本代表のウエアサプライヤーとして長い歴史を持つブランドです。同社が近年注力している独自のパターン設計技術「6Dパターン」は、従来の立体裁断(3D)に時間軸と動作解析を加えた概念です。動作中の身体の皮膚の伸縮や筋肉の動きを解析し、ウエアが身体の動きに追従するように設計する技術となっています。

スキージャンプは助走時のクラウチング姿勢からテイクオフの爆発的な伸展、空中でのV字姿勢、そして着地と、極めてダイナミックかつ繊細な身体操作が要求される競技です。ウエアの突っ張りや抵抗は致命的であり、「6Dパターン」の思想が組み込まれたジャンプスーツは、まるで「第二の皮膚」のように選手の動きと同化し、空中での姿勢維持をサポートしています。デサントは2026年1月にイタリア・コルティナに期間限定のブランドハウス「CASA DESCENTE」を開設しました。現地での選手サポート体制を盤石にし、ウエアの微調整やメンテナンスを即座に行える環境を整えています。この体制は選手のメンタル面でも大きな支えとなっています。

ヨネックス「ヒートカプセル」搭載のスノーボードウエアの技術

スノーボード日本代表のウエアはヨネックスがサポートしています。ヨネックスのウエアに採用されている「ヒートカプセル」は、太陽光や人体から出る赤外線を吸収し熱に変換して蓄える赤外線充熱システムです。従来の防寒素材に比べてプラス3℃の暖かさを実現しています。

ハーフパイプなどの競技では空中で複雑な回転技を行うため、ウエアの重さや厚みは動作の妨げになります。厚着は着地時のバランス感覚を鈍らせる要因にもなるため、「薄さ・軽さ」と「暖かさ」の両立が不可欠です。ヨネックスの「ヒートカプセル」はこの相反する要素を高次元で実現しており、戸塚優斗選手や平野流佳選手といったトップライダーからは「着込まなくても暖かいので動きやすい」「生地のツッパリを感じず、ストレスなく技が出せる」という高い評価を得ています。身軽な状態で高難度のトリックに挑めることは、競技成績に直結する大きなアドバンテージです。

ミラノ五輪で注目される世界各国代表ウエアとの比較

ファッションの国イタリアでの開催とあり、各国が著名ブランドを起用して威信をかけたデザイン合戦を繰り広げています。開催国イタリアは巨匠ジョルジオ・アルマーニが手掛ける「EA7 エンポリオ アルマーニ」が公式ウエアを担当しています。イタリア国旗のトリコローレ(緑・白・赤)を大胆に使いつつ全体を黒や濃紺で引き締めた「スポーティエレガンス」なデザインは、ファッション大国の底力を感じさせます。アメリカ代表は長年のパートナーであるラルフ ローレンが担当し、開会式用にはウィンターホワイトのウールコート、閉会式用には星条旗カラーのパファージャケットという、アメリカン・トラディショナルの王道を行くスタイルです。NASAの宇宙服技術を応用した断熱素材を使用するなど、クラシックな見た目にハイテクを忍ばせています。

カナダ代表はルルレモンが担当し、メープルリーフ(カエデの葉)を抽象化したグラフィックやモダンで構築的なシルエットが若い世代の支持を集めています。そして近年のオリンピック開会式で世界中のSNSを席巻しているモンゴル代表は、ブランド「Michel & Amazonka」による伝統的なデール(民族衣装)をベースにした精緻な刺繍と金糸をあしらった衣装で、文化的アイデンティティを極限まで強調しています。

国名ブランドデザインの特徴
日本アシックス流水文様「RYUSUI」グラフィック、サンライズレッドのグラデーション、伝統の抽象化と先端技術の融合
イタリアEA7 エンポリオ アルマーニトリコローレを活かしたスポーティエレガンス
アメリカラルフ ローレンアメリカン・トラディショナル、NASA技術の断熱素材
カナダルルレモンメープルリーフの抽象化グラフィック、モダンなシルエット
モンゴルMichel & Amazonka伝統衣装デールをベースにしたオートクチュール的デザイン

こうした世界の潮流の中で、日本のデザインは「伝統の抽象化」と「ハイテクの融合」という独自の路線に立っています。モンゴルのような伝統衣装の直球勝負やイタリアのようなハイブランドの洗練とは異なり、一見するとモダンなスポーツウエアでありながら背景に深い文化的ストーリーを持たせるというアプローチです。SNSやメディアでは「品がある」「スマートだ」という評価が国内外から集まっており、日常着としても成立する汎用性の高さがサステナビリティの観点からも注目されています。

ミラノ五輪日本代表ウエアを日常のファッションとして楽しむ方法

今回のアシックスの提案で革新的なのは、「観戦スタイル」のファッショナブル化です。公式のポディウムジャケットはそのまま街中で着ても違和感のないデザインに仕上がっており、ランウェイショーで披露されたようにスラックスや革靴と合わせたり、スカートとコーディネートしたりすることで、スポーティー・ミックスなスタイルが完成します。「選手と同じ服を着て応援する」だけでなく「選手と同じ服をファッションとして楽しむ」という新しい楽しみ方が提案されているのです。

サンライズレッドのグラデーションは、暗くなりがちな冬のコーディネートの差し色として非常に優秀です。公式ライセンス商品として一般販売されるアイテムも多く、帽子やTシャツなどを取り入れるだけでもオリンピック気分を味わいつつおしゃれを楽しむことができます。ゴールドウインのスキーウエアにもレプリカモデルが展開されており、トップアスリートが着用するのと同じ技術を搭載したウエアを一般のスキーヤーも体感できるようになっています。

ミラノ五輪日本代表ウエアに隠された日本文化のストーリー

一見するとスタイリッシュなグラデーションのウエアですが、その中には日本古来の深いストーリーが隠されています。アシックスのサンライズレッドには朝日のエネルギーとチームの情熱が、ゴールドウインの紅辰砂には戦国武将の強さと誇りが込められています。そして流水文様には、苦難を流し清らかに強くあり続けるという精神が宿っています。

アシックスの赤が表現するのは、日出ずる国の太陽の力と選手たちの燃え上がる闘志です。一方、ゴールドウインの紅辰砂は鉱物由来の深みある赤で、戦国武将が戦場で身に纏った猛々しさと誇りを現代のスキーウエアに蘇らせました。流水文様が表す「絶えず流れ、形を変えながらも本質を失わない水」のイメージは、どんな困難にも柔軟に対応しながら力強く前に進むアスリートの精神そのものです。

これらのストーリーを知ることで、テレビの前で応援する際に選手の姿がより輝いて見えることでしょう。ミラノ五輪の日本代表ウエアは、単なる防寒具やユニフォームの枠を超え、日本の先端技術(テクノロジー)、伝統文化(トラディション)、環境への配慮(サステナビリティ)が三位一体となった高度なプロダクトです。ファッションの本場イタリアに対し、表面的な派手さではなく内側から滲み出る「機能美」と「ストーリー」で勝負を挑む各ブランドの姿勢は、世界の観客に日本という国の精神性を雄弁に語りかけています。2026年の冬、これらのウエアを纏った日本のアスリートたちが雪と氷の舞台で最高のパフォーマンスを見せてくれることを、私たちはウエアに込められた想いとともに見届けましょう。

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