2025年10月から始まるふるさと納税の大きな変化について、多くの利用者が疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。これまで多くの方にとって魅力的だった「返礼品+ポイント還元」という二重のメリットが、間もなく終了を迎えることになります。総務省が2024年6月28日に発表した制度改正により、楽天ふるさと納税、さとふる、ふるさとチョイス、ふるなびなど、すべての主要ポータルサイトにおけるポイント還元が全面的に禁止されることが決定しました。この変更は単なる制度調整ではなく、ふるさと納税制度の本来の趣旨である「ふるさとへの応援」に回帰させる重要な転換点となります。利用者にとっては確実にマイナスの影響となりますが、一方で自治体がより多くの寄附金を地域振興に活用できるようになるなど、制度の健全化という側面もあります。この大きな変化を前に、今何をすべきか、そして制度改正後はどのように対応すべきかを正しく理解することが重要です。

Q1: ふるさと納税のポイント廃止はいつから実施されるの?具体的なスケジュールを教えて
ふるさと納税のポイント付与廃止は、2025年10月1日から実施されます。この日を境に、楽天ふるさと納税、さとふる、ふるさとチョイス、ふるなびなど、すべての主要ポータルサイトは寄附者に対してポイントを付与することが一切できなくなります。
重要なポイントは、2025年9月30日までは現行通りポイント付与が可能であることです。つまり、ポイント還元を活用したい利用者は、2025年9月末までに寄附を完了させる必要があります。これまで年末に集中していた寄附が、今年は9月に駆け込み需要として発生することが予想されています。
モッピーやハピタスといったポイントサイト経由でのポイント還元も同様に禁止対象となります。ただし、クレジットカード決済によるカード会社のポイントは規制の対象外となる見込みです。例えば、楽天カードで楽天ふるさと納税を利用した場合の通常ポイント(1%)などは継続して付与される予定です。
この制度改正の背景には、ポータルサイト間のポイント付与競争の過熱化があります。各サイトが利用者獲得のため、高率のポイント還元キャンペーンを競うように実施した結果、本来の「ふるさとを応援する」という制度趣旨から逸脱した状況が生まれていました。総務省は、この構造により自治体がサイトに支払う手数料が増大し、本来地域振興に使われるべき財源が減少していることを問題視したのです。
2024年現在、各ポータルサイトは最後の大型キャンペーンを展開しています。楽天ふるさと納税では最大32%のポイント還元、ふるなびは最大100%相当のふるなびコイン還元、ふるさとプレミアムでは最大250%相当のAmazonギフトカード還元など、ポイント付与禁止前の最後の機会として、各サイトが総力を挙げてキャンペーンを展開しています。
Q2: なぜふるさと納税のポイント付与が禁止されることになったの?総務省の狙いとは
総務省がふるさと納税のポイント付与禁止に踏み切った背景には、大きく分けて二つの重要な理由があります。
第一の理由は、ポータルサイト間のポイント付与競争の過熱化です。各サイトが利用者獲得のため、高率のポイント還元キャンペーンを競うように実施した結果、本来の「ふるさとを応援する」という制度趣旨から大きく逸脱した状況が生まれていました。利用者の中には、返礼品の魅力よりもポイント還元率を重視して寄附先を選ぶケースが増えており、「地域への応援」ではなく「お得な買い物」としてふるさと納税を捉える傾向が強まっていたのです。
第二の理由は、自治体の財政負担の問題です。ポータルサイトは自治体から掲載手数料を受け取り、その一部をポイント還元の原資としています。現在、多くの自治体は寄附額の10%前後を手数料として支払っていますが、ポイント還元競争がこの手数料率の上昇圧力となっていました。総務省は、この構造により自治体がサイトに支払う手数料が増大し、本来地域振興に使われるべき財源が減少していることを深刻な問題として捉えました。
総務省が期待している効果は多岐にわたります。まず、自治体の手数料負担の軽減です。ポイント付与が禁止されることで、手数料率の上昇圧力が緩和され、自治体はより多くの寄附金を地域振興事業に活用できるようになります。
次に、寄附金のより効果的な活用が可能になります。手数料負担が軽減されれば、その分を地域振興事業や返礼品の充実に充てることができ、本来のふるさと納税の目的である「地域活性化」により多くの資金を投入できるようになります。
さらに、返礼品の質の向上も期待されています。ポイント還元という付加価値がなくなることで、自治体は返礼品そのものの魅力で寄附者を引き付ける必要が生じます。これにより、地域の特産品開発や品質向上への取り組みが活発化することが予想されます。
この制度改正に対して、楽天グループは強い反対姿勢を示しており、ふるさと納税へのポイント付与を禁止する総務省告示の無効確認を求める行政訴訟を東京地方裁判所に提起しています。一方、さとふるやふるさとチョイスなどの他の大手ポータルサイトは、総務省の方針に理解を示しており、業界内でも対応が分かれている状況です。
Q3: ポイント廃止前の2025年9月末までに何をすべき?駆け込み寄附のコツは
2025年9月末までの期間は、ポイント還元を受けられる最後のチャンスです。この貴重な期間を最大限に活用するために、計画的な対応が重要となります。
まず最も重要なのは、年間の寄附限度額を正確に把握することです。ふるさと納税の控除限度額は年収や家族構成によって大きく異なります。各ふるさと納税サイトのシミュレーションツールを活用し、自身の控除限度額を詳細に計算しましょう。年収500万円で独身の場合は約61,000円、夫婦の場合は約49,000円が目安となりますが、他の控除を受けている場合は限度額が変動するため、詳細な計算が必要です。
次に、高率還元キャンペーンの活用が重要です。2024年現在、各サイトが最後の大型キャンペーンを展開しています。楽天ふるさと納税では、お買い物マラソンやSPU、5と0のつく日などのキャンペーンを組み合わせることで最大32%のポイント還元が可能です。ふるなびの「メガ還元祭」では最大100%相当のふるなびコインが、ふるさとプレミアムでは最大250%相当のAmazonギフトカードが還元されています。
返礼品選びでは、還元率の高い商品を狙うことがポイントです。2025年の人気ランキングでは、還元率129%という驚異的な数値を記録している商品も存在しています。通常、還元率30%を超える返礼品は非常にお得とされますが、50%以上の還元率を誇る「掘り出し物」的な返礼品も数多く見つけることができます。肉類では別海牛の焼肉、海産物ではホタテ貝柱、お米では佐賀県産の「さがびより」などが特に人気を集めています。
寄附のタイミングも戦略的に考える必要があります。これまで年末に集中していた寄附が、2025年は9月に駆け込み需要として発生することが予想されるため、人気商品の品切れや配送遅延が懸念されます。可能な限り早めの寄附を心がけ、特に高額の寄附を予定している場合は、複数回に分けて実行することをお勧めします。
ワンストップ特例制度の手続きも忘れずに行いましょう。給与所得者で寄附先が5団体以内の場合は確定申告が不要となりますが、申請期限は寄附を行った翌年の1月10日必着です。オンライン申請も可能となっているため、手続きの簡素化を図ることができます。
クレジットカードの選択も重要な要素です。ポータルサイトのポイントが廃止されても、カード会社のポイントは継続されるため、高還元率のクレジットカードを使用することで、一定の還元を維持することが可能です。
Q4: 2025年10月以降もふるさと納税にメリットはある?ポイント以外の還元方法は
2025年10月以降、ポイント付与は禁止されますが、ふるさと納税の基本的な税制上のメリットは変わりません。実は、ポイント還元以外にも多くの価値が残されており、制度改正後も十分に魅力的な制度として活用できます。
最も重要なのは、税制上の控除効果が継続されることです。選んだ自治体に寄附を行うと、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から控除が受けられる仕組みは全く変わりません。年収500万円の方であれば約61,000円まで、実質2,000円の自己負担で様々な返礼品を受け取ることができます。
クレジットカード決済によるポイント還元は継続されます。楽天カードで楽天ふるさと納税を利用した場合の通常ポイント(1%)などは規制の対象外となる見込みです。高還元率のクレジットカードを選択することで、一定のポイント還元を維持することが可能です。年間10万円の寄附を行う場合、1%還元のカードでも1,000円相当のポイントを獲得できます。
返礼品そのものの価値がより重視されるようになります。ポイント還元がなくなる分、自治体は返礼品の質や魅力で勝負する必要が生じるため、より良い商品が提供される可能性が高まります。地域の特産品開発や品質向上への取り組みが活発化することで、利用者にとってもメリットとなるでしょう。
新たなサービスの充実も期待されます。ポータルサイトは、ポイント還元以外の付加価値提供に注力することになります。例えば、寄附金の使途についての詳細な報告、地域との交流機会の提供、返礼品生産者のストーリー紹介など、寄附者と地域をつなぐコンテンツの充実が図られる予定です。
地域との継続的な関係構築という新しい価値も生まれます。単発の寄附ではなく、応援したい地域との長期的な関係を築くことで、その地域の発展を継続的に支援できます。一部の自治体では、寄附者限定のイベントや情報提供なども行われており、こうした取り組みが拡大することが予想されます。
定期便やリピート寄附の活用も有効です。ポイント還元がなくなっても、品質の高い返礼品を定期的に受け取れる定期便は、継続的な価値を提供します。お米や果物などの定期便は、日常生活に直接役立つため、ポイント以外の実質的なメリットを感じやすくなります。
ふるさと納税の本来の意味を再発見することもできます。これまでは「お得な買い物」として利用していた方も、地域応援という本来の目的を意識することで、より充実した体験を得ることができるでしょう。寄附金がどのように使われているかを知ることで、社会貢献の実感を得ることも可能です。
制度改正後は、効率性よりも「応援したい地域を選び、その地域の魅力的な返礼品を受け取る」という、制度本来の趣旨に沿った利用が重要になります。この変化により、より持続可能で健全なふるさと納税制度が実現することが期待されています。
Q5: 楽天ふるさと納税の訴訟はどうなる?制度改正への反対の行方は
楽天グループは、ふるさと納税のポイント付与禁止に対して最も強い反対姿勢を示している企業です。2024年8月7日の記者会見で制度改正への反対見解を表明し、さらに具体的な法的措置として、楽天グループ株式会社がふるさと納税へのポイント付与を禁止する総務省告示の無効確認を求める行政訴訟を東京地方裁判所に提起しました。
楽天側の法的主張の核心は、地方税法の委任範囲に関する解釈です。楽天は「地方税法が委任しているのは寄附金の募集方法に関する事項であり、国民の権利を制限する内容は含まれていない」と主張しています。つまり、総務省がポイント付与を禁止する法的根拠が不十分であり、告示そのものが違法であるという立場を取っています。
楽天の反対運動は法廷闘争にとどまらず、100万人を超える署名を集めたオンライン署名活動も展開されています。これは利用者の声を背景に制度改正への反対を訴える取り組みであり、相当な規模の支持を集めていることがわかります。楽天にとって、ふるさと納税事業は重要な収益源の一つであり、ポイント還元は同社の楽天経済圏戦略の中核を成すサービスです。
一方で、業界内では対応が大きく分かれている状況です。さとふるやふるさとチョイスなどの他の大手ポータルサイトは、総務省の方針に理解を示しており、制度改正に向けた準備を進めています。これは、各社のビジネスモデルや戦略の違いを反映したものと考えられます。
訴訟の行方を予測する際の重要なポイントがいくつかあります。まず、地方税法の解釈に関する法的議論です。総務省の告示が法的に適切な手続きに基づいて行われたかどうか、そして委任の範囲内であるかどうかが争点となります。行政法の専門家の間でも見解が分かれる複雑な問題であり、判決までには相当な時間を要すると予想されます。
2025年10月の実施スケジュールへの影響も注目されています。仮に楽天が仮処分申請を行い、それが認められた場合、制度改正の実施が延期される可能性があります。しかし、総務省は既に方針を決定し、自治体や他のポータルサイトも準備を進めているため、大幅な変更は困難と見られています。
楽天以外のサイトへの影響も考慮すべき点です。楽天が単独で訴訟を継続した場合、仮に勝訴したとしても、それが他のサイトにどの程度の影響を与えるかは不明確です。他のサイトが総務省方針に従って既にポイント付与を停止している場合、楽天だけが継続できる法的根拠があるかどうかが問題となります。
長期的な展望として、この訴訟はふるさと納税制度の将来に大きな影響を与える可能性があります。楽天が勝訴した場合、ポイント付与競争が再び過熱化する可能性があり、総務省は別の手法で制度の健全化を図る必要が生じるかもしれません。一方、楽天が敗訴した場合、制度改正が確定的となり、業界全体がポイント以外の価値提供に注力することになるでしょう。
現在のところ、2025年10月1日からの実施予定に変更はないとの総務省の姿勢は変わっていません。利用者としては、訴訟の行方に関わらず、9月末までにポイント還元の恩恵を受けられる最後の機会を活用することが賢明な判断と言えるでしょう。
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