マイナポータルの医療費通知はいつ反映される?2月9日の更新時期を徹底解説

社会

マイナポータルで確認できる医療費通知は、確定申告で医療費控除を受ける際に非常に便利な機能として注目されています。しかし、いつ情報が反映されるのか、特に確定申告に必要な年間データが2月9日に更新される理由について、正確に理解している方は意外と少ないかもしれません。医療費通知の反映時期を把握しておくことで、確定申告の準備をスムーズに進めることができますし、思わぬトラブルを避けることにもつながります。本記事では、マイナポータルの医療費通知がいつ反映されるのか、毎月の更新スケジュールから2月9日の特別な更新日まで、詳しく解説していきます。また、医療費通知が反映されない場合の対処法や、マイナポータル連携を活用した確定申告の方法についても、実践的な視点からお伝えします。

マイナポータルの医療費通知とは

マイナポータルは、政府が運営するオンラインサービスで、マイナンバーカードを使って様々な行政サービスにアクセスできる便利なシステムです。その中でも、医療費通知情報の確認機能は、確定申告を行う多くの方にとって重要な機能となっています。この機能を使うことで、自分や家族が1年間にどれだけの医療費を支払ったのかを、インターネット上で簡単に確認することができます。

医療費通知情報には、診療を受けた医療機関の名称、診療年月、医療費の総額、そのうち自己負担した金額などが記載されています。これらの情報は、各健康保険組合や審査支払機関が管理しているデータをもとに作成されており、マイナポータル上で一元的に確認できる仕組みになっています。

従来は、確定申告で医療費控除を受けるために、1年間の領収書をすべて保管し、手作業で集計する必要がありました。しかし、マイナポータルの医療費通知情報を活用することで、この作業が大幅に効率化されます。特に、マイナポータル連携を利用すれば、確定申告書等作成コーナーに医療費データを自動的に取り込むことができ、入力の手間やミスを減らすことができます。

医療費通知の通常の更新スケジュール

マイナポータルの医療費通知情報は、定期的に更新されています。通常の更新スケジュールとしては、毎月11日に前々月分の診療データが反映される仕組みとなっています。この更新パターンを理解しておくことで、自分がいつの診療分を確認できるのかを把握できます。

具体的な例を挙げると、1月に受けた医療サービスの情報は3月11日に反映され、2月に受けた医療サービスの情報は4月11日に反映されます。同様に、3月分は5月11日、4月分は6月11日といった具合に、常に2ヶ月遅れで情報が更新されていきます。

この2ヶ月のタイムラグが生じる理由は、医療機関から審査支払機関へのレセプト提出と、その審査処理に時間がかかるためです。医療機関は、診療を行った月の翌月10日までに、レセプト(診療報酬明細書)を審査支払機関に提出することになっています。審査支払機関では、提出されたレセプトの内容を確認し、適正な診療報酬かどうかをチェックした上で、各健康保険組合に送付します。

このレセプトには、患者の情報、診療内容、使用した薬剤、実施した検査や処置などの詳細が記載されており、審査には一定の時間を要します。審査が完了すると、その情報がマイナポータルに医療費通知情報として掲載されるため、診療月から約2ヶ月後の反映となるわけです。

毎月11日という更新日が設定されているため、定期的にマイナポータルにアクセスすることで、自分の医療費の推移を把握することができます。特に、継続的な治療を受けている方や、家族の医療費を管理している方にとっては、この定期更新は便利な機能です。

確定申告のための特別な更新日:2月9日

毎月11日の定期更新とは別に、確定申告に利用するための年間データの一括提供が2月9日に行われます。この日付は、確定申告を予定している方にとって非常に重要です。

2月9日には、前年1月から12月までの1年間分の医療費通知情報がXML形式のデータとして一括で提供されます。例えば、2025年2月9日には、2024年1月から12月までの医療費データが利用可能になります。2026年2月9日には、2025年分のデータが提供されるという形で、毎年同じパターンで更新が行われています。

では、なぜ2月9日という日付が設定されているのでしょうか。その理由は、確定申告の受付期間との関係にあります。確定申告の通常の受付期間は2月16日から3月15日までですが、還付申告については2月16日より前から提出が可能です。実際には、1月1日から還付申告を受け付けている税務署もあります。

しかし、マイナポータル連携を利用した自動入力機能を使って確定申告を行うためには、年間の医療費データが必要です。そのデータが提供される日が2月9日であるため、マイナポータル連携を活用して確定申告を行いたい場合は、2月9日以降に手続きを行う必要があります。

国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、この2月9日から年間の医療費通知情報を取得できるようになります。早期に確定申告を済ませたい方は、2月9日になったらすぐにマイナポータルにアクセスし、年間データをダウンロードすることをお勧めします。

もし2月9日より前に確定申告を行いたい場合は、マイナポータル連携による自動入力は利用できません。その場合は、手動で医療費の明細を入力するか、医療機関から発行される領収書を基に医療費控除の明細書を作成する必要があります。また、健康保険組合から郵送される「医療費のお知らせ」が手元にあれば、それを利用することも可能です。

医療費通知情報が反映されるまでの流れ

医療費通知情報がマイナポータルに反映されるまでには、いくつかの段階を経る必要があります。この流れを理解しておくことで、なぜ2ヶ月のタイムラグが生じるのかが明確になります。

まず、患者が医療機関で診療を受けると、医療機関は診療内容を記録します。診療月が終了すると、医療機関は診療月の翌月10日までにレセプトを作成し、審査支払機関に提出します。審査支払機関とは、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会などの組織で、医療機関から提出されたレセプトを審査する役割を担っています。

審査支払機関では、提出されたレセプトの内容を詳細にチェックします。診療内容が適切か、診療報酬の算定に誤りがないか、保険適用のルールに則っているかなどを確認するのです。この審査プロセスには、専門的な知識と時間を要します。

審査が完了すると、審査支払機関は各健康保険組合に審査済みのレセプト情報を送付します。健康保険組合では、この情報をもとに医療費通知データを作成し、マイナポータルで閲覧できるように登録します。この一連のプロセスを経て、診療月から約2ヶ月後の11日にマイナポータルに情報が反映されるという仕組みになっています。

例えば、4月15日に病院で診療を受けた場合、医療機関は5月10日までにレセプトを提出し、5月中に審査が行われ、6月11日にマイナポータルで確認できるようになるというわけです。

マイナポータルで確認できる医療費通知の範囲

マイナポータルで医療費通知情報を確認できるサービスは、令和3年(2021年)9月から開始されました。そのため、令和3年8月以前の診療分については、マイナポータルでは確認できません。これは重要なポイントですので、覚えておいてください。

確認できるデータの期間は、最大で過去5年分です。つまり、2025年現在であれば、2021年9月以降の医療費通知情報を確認することができます。過去の確定申告を修正する場合や、医療費の履歴を振り返りたい場合には、この5年分のデータが役立ちます。

ただし、すべての医療費が必ずマイナポータルに反映されるわけではありません。医療費通知情報は、医療機関が審査支払機関に提出したレセプトを基に作成されるため、以下のようなケースでは情報が反映されない、または反映が遅れることがあります。

医療機関からのレセプト提出が遅れている場合、小規模な医療機関では事務処理の都合で提出が遅れることがあります。保険証の資格取得の登録が遅れている場合、特に転職直後などは、新しい保険者の登録が完了していないことがあります。保険適用外の診療や自由診療を受けた場合、レセプトが提出されないため、マイナポータルには反映されません。柔道整復師や鍼灸師などの施術を受けた場合、これらの施術は医療機関での診療とは異なる扱いとなるため、反映されないことがあります。

更新日である11日になっても前々月分以前の医療費通知情報が表示されない場合は、医療機関からのレセプト提出の遅れや、審査支払機関での処理の遅れが原因である可能性が高いです。このような場合は、次回以降の更新で反映されることが多いですが、心配な場合は加入している健康保険組合に問い合わせることをお勧めします。

医療費通知が反映されない場合の原因と対処法

更新日になっても医療費通知情報が表示されない、あるいは受診したはずの医療機関の情報が反映されていない場合、焦る必要はありません。いくつかの原因が考えられますので、順番に確認していきましょう。

最も多い原因は、医療機関からのレセプト提出の遅れです。医療機関は診療月の翌月10日までにレセプトを提出することになっていますが、小規模な医療機関や診療所では、事務スタッフの人数が限られているため、提出が遅れるケースもあります。この場合、通常の更新スケジュールより遅れて反映されることになりますが、いずれは情報が登録されます。

保険証の資格取得の登録が遅れている場合も、医療費通知情報の反映が遅れます。転職や結婚などで健康保険が変わった直後などは、新しい保険証の情報がシステムに反映されるまでに数週間から1ヶ月程度かかることがあります。この間に受診した場合、レセプトの処理が保留になり、反映が遅れる可能性があります。

審査支払機関での処理が遅れている場合や、レセプトの内容に不備があって再提出が必要になった場合なども、反映が遅れる原因となります。レセプトの内容に疑義がある場合、審査支払機関から医療機関に問い合わせが行われ、その回答を待つ間、処理が一時停止することがあります。

これらの理由で医療費通知情報が反映されていない場合でも、医療費控除は受けられます。医療機関から発行された領収書を保管しておき、それを基に医療費控除の明細書を作成すれば、確定申告で控除を受けることができます。領収書があれば、マイナポータルに情報がなくても問題ありません。

医療費通知情報に記載されていない医療費がある場合は、確定申告書の医療費控除の明細書に手動で追加し、必要に応じて領収書を提示できるようにしておきましょう。税務署から問い合わせがあった場合に備えて、領収書は5年間保管しておくことが推奨されています。

マイナポータル連携を使った確定申告の方法

マイナポータル連携を利用すると、確定申告書等作成コーナーで医療費控除の申請を行う際に、医療費通知情報を自動的に取り込むことができます。これにより、手動での入力作業が大幅に削減され、入力ミスも防ぐことができるという大きなメリットがあります。

マイナポータル連携を利用するためには、まずマイナンバーカードが必要です。さらに、ICカードリーダーまたはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンも必要になります。最近では、多くのスマートフォンがマイナンバーカードの読み取りに対応しているため、ICカードリーダーを別途購入する必要がないケースも増えています。

確定申告の手順としては、まず国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスします。作成開始のボタンをクリックし、「マイナポータルと連携する」を選択します。マイナンバーカードで認証を行うと、マイナポータルに保存されている医療費通知情報を取得できます。

取得したデータは自動的に確定申告書の医療費控除の欄に反映されるため、非常に便利です。画面に表示される医療費の一覧を確認し、問題がなければそのまま申告手続きを進めることができます。

ただし、マイナポータルに反映されている医療費通知情報と、実際に支払った医療費が一致しない場合もあります。例えば、マイナポータルには保険適用後の自己負担額が記載されますが、差額ベッド代や入院時の食事代の一部など、保険適用外の費用は含まれません。また、薬局で購入した市販薬なども医療費控除の対象になる場合がありますが、これらはマイナポータルには反映されません。

そのため、マイナポータル連携で取得したデータだけでなく、領収書を確認して、漏れがないかチェックすることが重要です。追加で医療費がある場合は、確定申告書等作成コーナーで手動で入力する必要があります。この作業を丁寧に行うことで、適正な医療費控除を受けることができます。

転職時など保険が変わった場合の注意点

転職や結婚、退職などで健康保険が変わった場合、マイナポータルで医療費通知情報が一時的に閲覧できなくなることがあります。これは、新しい保険者が資格情報をシステムに登録する作業に一定の期間を要するためです。

健康保険の資格情報は、加入者が変わるたびに保険者から登録されますが、この登録作業には数週間から1ヶ月程度かかる場合があります。登録が完了するまでの間は、マイナポータルや医療機関等で保険資格や医療費通知情報を閲覧しようとしても表示されないことがあります。

特に年度末や年度初めは、転職や異動が多い時期であるため、システムへの登録が遅れがちです。3月や4月に保険が変わった場合、5月や6月になってもまだ医療費通知情報が表示されないケースも報告されています。これは、多くの人が同時期に保険の切り替えを行うため、保険者側の処理が追いつかないことが原因です。

このような場合でも、時間が経過して登録が完了すれば、過去の医療費通知情報も含めて閲覧できるようになります。ただし、確定申告の時期と重なる場合は、登録完了を待たずに領収書を基に申告書を作成することをお勧めします。

また、保険者が変わった直後に医療機関を受診した場合、旧保険証を使って受診してしまうと、レセプトの処理でエラーが発生し、医療費通知情報への反映がさらに遅れることがあります。保険証が変わったら、必ず新しい保険証を使って受診するようにしましょう。

マイナ保険証(マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組み)を使っている場合でも、保険者の変更登録が完了するまでは、医療機関で資格確認ができない場合があります。この場合、一時的に10割負担で支払い、後日、保険者に療養費の請求を行う必要があります。この療養費についても、通常の医療費控除の対象となりますので、領収書を保管しておきましょう。

転職が多い方や、配偶者の扶養に入ったり外れたりする方は、保険証の切り替え時期を記録しておくと、後々の確認がスムーズになります。

審査支払機関で取り扱われない医療費の詳細

マイナポータルの医療費通知情報には、審査支払機関で取り扱われない医療費は反映されません。この点を理解しておかないと、確定申告で医療費控除を受ける際に、実際に支払った医療費との差額に戸惑うことになります。

高額療養費として支給された分については、マイナポータルには反映されますが、実際に支払った金額とは異なります。高額療養費制度を利用した場合、医療機関では通常の自己負担額を一旦支払い、後日、保険者から高額療養費が払い戻されます。マイナポータルには、医療機関が請求した金額(払い戻し前の金額)が表示されるため、確定申告の際には、実際の負担額(払い戻し後の金額)に修正する必要があります。

療養費については、保険資格を確認できずに全額自己負担で受診した場合や、コルセット等の治療用装具を購入した場合など、一旦全額を自己負担し、後日、保険者に請求する費用です。これらは、通常の診療報酬請求とは異なる手続きで処理されるため、マイナポータルの医療費通知情報には反映されないことが多いです。

鍼灸、あんま・マッサージ・指圧の施術費用についても、保険適用で受けた場合でも、審査支払機関での取り扱いが通常の医療費とは異なるため、マイナポータルに反映されない場合があります。これらの施術を受けた場合は、領収書を必ず保管し、確定申告時に手動で入力する必要があります。

整骨院・接骨院での柔道整復療養費についても、同様に反映されないケースがあります。整骨院や接骨院は、医療機関ではなく施術所として扱われるため、レセプトの処理方法が異なります。保険適用で施術を受けた場合でも、マイナポータルには表示されないことがあるので注意が必要です。

保険適用外の費用は、当然ながらマイナポータルには一切反映されません。自由診療、先進医療、差額ベッド代、入院時の特別食、美容目的の治療などは、保険適用外のため、審査支払機関を通さず、医療費通知情報には表示されません。ただし、これらの中にも医療費控除の対象となるものがあるため、領収書は保管しておく必要があります。

健康保険組合からの医療費通知との違い

多くの健康保険組合では、年に1回または数回、紙の「医療費のお知らせ」を郵送しています。この紙の医療費通知と、マイナポータルの医療費通知情報は、基本的には同じ情報源から作成されていますが、いくつか違いがあります。

まず、タイミングが異なります。紙の医療費通知は、健康保険組合によって送付時期が異なり、年1回まとめて送られる場合もあれば、数ヶ月ごとに送られる場合もあります。一方、マイナポータルの医療費通知情報は、毎月11日に更新されるため、より頻繁に最新の情報を確認できます。

また、紙の医療費通知には、確定申告で使用するための要件を満たしていない場合があります。確定申告で医療費控除を受けるために医療費通知を使用する場合、以下の項目が記載されている必要があります。被保険者の氏名、療養を受けた年月、療養を受けた者の氏名、療養を受けた病院・診療所・薬局等の名称、被保険者が支払った医療費の額、保険者の名称です。

これらの項目がすべて記載されていない医療費通知は、確定申告では使用できません。マイナポータルの医療費通知情報は、これらの要件を満たした形式で提供されるため、確定申告での利用に適しています。

さらに、マイナポータル連携を利用すると、データを電子的に取り込むことができるため、紙の医療費通知を手動で入力する手間が省けます。紙の医療費通知を使う場合は、記載されている内容をひとつひとつ確定申告書に転記する必要がありますが、マイナポータル連携なら自動的に入力されます。

ただし、紙の医療費通知の方が、マイナポータルよりも対象期間が長い場合があります。例えば、1月から12月までの1年間分がまとめて記載されている場合などです。マイナポータルでは2月9日まで年間データが提供されないため、それ以前に確定申告を行いたい場合は、紙の医療費通知を利用する方が便利かもしれません。

マイナポータル利用時の注意点

マイナポータルを利用する際には、いくつか注意すべき点があります。これらを事前に把握しておくことで、スムーズに利用できます。

まず、対応ブラウザとOSを確認する必要があります。マイナポータルは、すべてのブラウザやOSで動作するわけではありません。推奨環境以外では、正しく動作しない場合があります。2025年現在、一般的にはGoogle Chrome、Microsoft Edge、Safariなどの主要ブラウザが対応していますが、最新の対応状況は公式サイトで確認することをお勧めします。

また、マイナンバーカードのICカードリーダーまたは対応スマートフォンが必要です。パソコンで利用する場合は、ICカードリーダーを接続するか、スマートフォンを使った二次元バーコード認証を利用する方法があります。スマートフォンだけで完結させる場合は、マイナンバーカード読み取り対応の機種である必要があります。

マイナポータルにログインする際には、マイナンバーカードのパスワードが必要です。パスワードを一定回数以上間違えると、ロックがかかってしまいます。利用者証明用パスワード(数字4桁)は3回、署名用パスワード(英数字6文字以上)は5回間違えるとロックされます。ロックされた場合は、市区町村の窓口でロック解除の手続きが必要になるため、注意が必要です。

医療費通知情報は、あくまで保険診療分のみが対象です。保険適用外の診療、差額ベッド代、入院時の食事代、予防接種、健康診断、美容整形などは、マイナポータルには反映されません。これらも医療費控除の対象になる場合があるため、領収書を別途保管しておく必要があります。

また、マイナポータルに表示される金額は、あくまで医療機関が請求した金額であり、実際に支払った金額とは異なる場合があります。例えば、高額療養費制度を利用した場合や、医療費の助成を受けた場合などは、実際の支払額はマイナポータルに表示される額より少なくなります。確定申告では実際に支払った額を申告する必要があるため、この点にも注意が必要です。

確定申告に向けた準備

2025年の確定申告で2024年の医療費控除を受けるためには、以下のような準備をしておくと良いでしょう。

まず、2024年中に受診した医療機関の領収書をすべて保管しておきます。マイナポータルに反映されない医療費もあるため、領収書は重要な証拠書類です。確定申告で医療費控除を受ける場合、領収書の提出は不要になりましたが、5年間は保管しておく義務があります。税務署から提示を求められた場合に備えて、きちんと整理しておきましょう。

次に、マイナンバーカードの有効期限を確認します。マイナンバーカード本体の有効期限は発行から10回目の誕生日(20歳未満の場合は5回目の誕生日)までですが、電子証明書の有効期限は発行から5回目の誕生日までです。有効期限が切れている場合は、市区町村の窓口で更新手続きが必要です。

また、マイナンバーカードのパスワードを確認しておくことも重要です。長期間使っていないと、パスワードを忘れてしまうこともあります。確定申告の時期になって慌てないよう、事前に確認しておきましょう。

マイナポータルにアクセスできる環境を整えておくことも大切です。パソコンで利用する場合は、ICカードリーダーが正しく動作するか、必要なソフトウェアがインストールされているかを確認します。スマートフォンで利用する場合は、マイナポータルアプリをインストールし、動作確認をしておきましょう。

2月9日になったら、すぐにマイナポータルにアクセスして、2024年の医療費通知情報を確認します。反映されている医療費と、手元の領収書を照合し、漏れがないかチェックします。漏れがある場合は、その医療費については領収書を基に手動で入力する準備をします。

確定申告書等作成コーナーでの申告書作成は、2月9日以降であればいつでも可能です。マイナポータル連携を利用すれば、医療費通知情報を自動的に取り込むことができるため、作業が大幅に効率化されます。

医療費控除の対象となる費用の範囲

医療費控除を受けるためには、どのような費用が対象になるのかを理解しておく必要があります。正しく理解していないと、控除を受けられる費用を見逃してしまう可能性があります。

医療費控除の対象となる主な費用には、医師または歯科医師による診療または治療の対価、治療または療養に必要な医薬品の購入費用、病院や診療所、介護老人保健施設などへの入院費用、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術費用(ただし治療目的に限る)、保健師、看護師、准看護師による療養上の世話の対価、助産師による分べんの介助の対価などがあります。

また、通院のための交通費も医療費控除の対象になります。電車やバスなどの公共交通機関を利用した場合の運賃は、領収書がなくても、日付と区間、金額を記録しておけば控除の対象とすることができます。ただし、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は、控除の対象外です。タクシー代は、病状などからみて急を要する場合や、公共交通機関を利用できない場合に限り、控除の対象となります。

入院の際の部屋代や食事代も、基本的には医療費控除の対象ですが、個室などを希望して支払った差額ベッド代は対象外です。また、入院時に病院が提供する食事は対象ですが、出前や外食の費用は対象外です。

医師の処方箋に基づいて購入した医薬品だけでなく、薬局で購入した市販の風邪薬なども、治療目的であれば医療費控除の対象になります。ただし、ビタミン剤や健康増進のためのサプリメントなどは、治療目的でないため対象外です。

妊娠・出産に関する費用も、医療費控除の対象です。妊娠と診断されてからの定期検診や検査の費用、出産費用、出産のための入院費用などが含まれます。ただし、実家で出産するために帰省する交通費などは対象外です。

歯の治療費も医療費控除の対象ですが、美容目的の歯列矯正や、金やポーセレンを使った歯の治療で一般的に使われる材料より高価な材料を使用した場合の差額部分などは、対象外となる場合があります。

一方で、医療費控除の対象とならない費用もあります。健康診断や人間ドックの費用(ただし、重大な疾病が発見され治療を行った場合は対象)、予防接種の費用、美容整形の費用、メガネやコンタクトレンズの購入費用(治療のために必要な場合を除く)、診断書の作成費用などは、控除の対象外です。

医療費控除の計算方法と節税効果

医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税や住民税が軽減される制度です。控除額の計算方法を理解しておくと、どの程度の節税効果があるのかを把握できます。

医療費控除額は、次の計算式で求めます。(実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補填される金額) - 10万円(または総所得金額等の5%のいずれか少ない方)

例えば、1年間に支払った医療費が30万円で、保険金などの補填がなく、総所得金額が400万円の場合、医療費控除額は 30万円 - 10万円 = 20万円 となります。

この20万円が所得から控除されることで、所得税と住民税が軽減されます。所得税率が20%の場合、所得税の軽減額は 20万円 × 20% = 4万円 となります。さらに、住民税(税率10%)の軽減額は 20万円 × 10% = 2万円 となるため、合計で6万円の節税効果が得られます。

保険金などで補填される金額には、生命保険や損害保険の入院給付金、健康保険から支給される高額療養費や出産育児一時金、損害賠償金などが含まれます。これらの金額は、支払った医療費から差し引く必要があります。

ただし、保険金などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費から差し引けば良く、引ききれない金額を他の医療費から差し引く必要はありません。例えば、入院費用が10万円で入院給付金が15万円だった場合、入院費用から10万円を差し引き、残りの5万円を他の医療費から差し引く必要はありません。

総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく、総所得金額等の5%を差し引きます。例えば、総所得金額が150万円の場合、150万円 × 5% = 7.5万円 を差し引きます。この場合、医療費が7.5万円を超えれば、医療費控除を受けられます。

医療費控除の上限額は200万円です。つまり、どんなに多くの医療費を支払っても、控除額は最大200万円までとなります。

セルフメディケーション税制との選択

医療費控除とは別に、セルフメディケーション税制という制度もあります。これは、健康の保持増進および疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種を受けている人が、特定の医薬品(スイッチOTC医薬品)を購入した場合に、所得控除を受けられる制度です。

セルフメディケーション税制では、1年間に購入したスイッチOTC医薬品の金額が12,000円を超えた場合、その超えた金額(上限88,000円)を所得から控除できます。

ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方しか選択できません。両方を同時に適用することはできないため、どちらが有利かを計算して選択する必要があります。

一般的に、医療費の支払いが多い年は通常の医療費控除を選択し、医療費はあまりかからなかったけれど市販薬を多く購入した年はセルフメディケーション税制を選択すると良いでしょう。

スイッチOTC医薬品とは、医師の処方箋が必要だった医薬品が、薬局で買えるようになった医薬品のことです。対象となる医薬品には、レシートや領収書に特定のマークが印刷されていることが多いので、購入時に確認すると良いでしょう。

セルフメディケーション税制を利用するためには、健康診査や予防接種を受けたことを証明する書類(健康診査の結果通知書や予防接種の領収書など)が必要です。

まとめ

マイナポータルの医療費通知は、毎月11日に前々月分が更新され、確定申告用の年間データは2月9日に一括提供されるという仕組みを理解しておくことで、確定申告をスムーズに行うことができます。

2025年2月9日には、2024年1月から12月までの医療費データが利用可能になるため、確定申告で医療費控除を受ける予定の方は、この日を覚えておきましょう。マイナポータル連携を利用すれば、医療費通知情報を自動的に取り込むことができ、手間を大幅に削減できます。

ただし、マイナポータルに反映されない医療費もあるため、領収書はきちんと保管しておくことが重要です。また、保険金などで補填された金額は差し引く必要があるため、給付金の記録も保管しておきましょう。

医療費控除は、所得税や住民税の軽減につながる重要な制度です。マイナポータルを活用して、賢く確定申告を行いましょう。更新時期を把握し、計画的に準備を進めることで、確定申告の負担を軽減し、適正な控除を受けることができます。

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