年末年始旅行費用2025-2026徹底比較!JTB予測で過去最高の値上げ率に

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2025年から2026年にかけての年末年始旅行費用は、JTBの予測によると過去最高水準に達し、国内旅行で一人当たり平均44,000円、海外旅行で275,000円となりました。前年比で国内は102.3%、海外は108.7%の値上げ率を記録しており、円安や物価高騰の影響が顕著に表れています。この記事では、JTBが2024年12月4日に発表した旅行動向見通しをもとに、年末年始の旅行費用の詳細な比較データ、値上げの背景、そして賢く旅行するための具体的な戦略までを徹底解説します。旅行を検討している方にとって、予算計画の参考となる情報を網羅的にお届けします。

年末年始旅行2025-2026の市場規模とJTB予測の全体像

2025年12月20日から2026年1月5日までの年末年始期間における旅行市場は、総旅行人数3,987万人、総旅行消費額1兆9,858億円という大規模な市場となることがJTBにより予測されています。総旅行人数は対前年比102.5%の増加を示しており、旅行意欲自体は堅調に推移しています。しかし注目すべきは、旅行人数の伸び率2.5%に対して、消費額の伸び率が8.4%と3倍以上も高いという点です。この差は、旅行市場が「単価上昇」によって牽引されていることを明確に示しています。

物価高騰により否応なく出費が増えているコストプッシュ型のインフレが、市場全体を押し上げる支配的な要因となっています。新型コロナウイルス感染症の法的位置づけ変更から十分な時間が経過し、社会的な移動制限や心理的な障壁がほぼ完全に払拭された中で迎えるこのシーズンは、旅行需要の完全復活を試す試金石となる一方で、世界的なインフレと歴史的な円安基調という経済的逆風が消費者の行動様式に深く影を落としています。

2025-2026年の年末年始はカレンダーの並びも旅行需要に大きな影響を与えています。一般的な企業の仕事納めが12月26日または27日となり、仕事始めが1月5日となるケースが多いため、最大で9連休を取得しやすい日並びとなっています。この長期休暇の可能性が、特に海外旅行や遠距離の国内旅行への意欲を後押ししています。

国内旅行費用の詳細分析と過去最高値の実態

国内旅行市場において、旅行人数は3,886万人と対前年比102.0%の微増にとどまる一方で、一人当たりの平均費用は44,000円に達し、対前年比102.3%の増加となりました。この44,000円という数値は、JTBが調査を開始して以来の過去最高額であり、国内旅行におけるデフレマインドの終焉とインフレの定着を象徴しています。

宿泊費高騰が費用上昇の主因

費用上昇の内訳を詳細に見ると、宿泊費の高騰が主因であることがわかります。ホテルや旅館では清掃スタッフや調理スタッフなどの人手不足が深刻化しており、人材確保のための賃上げが宿泊料金に転嫁されています。さらに食材費やエネルギーコストの上昇も加わり、特に夕食・朝食付きのプランでは顕著な値上げが見られます。

インバウンド需要の回復も価格上昇の要因となっています。東京、大阪、京都、北海道、沖縄といった人気観光地では、宿泊価格が国際基準に引き上げられ、日本人の感覚からすると「割高」に感じる価格設定が常態化しています。外国人観光客の増加により、これまで国内需要のみで価格が形成されていた市場が、世界標準の価格帯へとシフトしているのです。

旅行日数の短縮化と「安近短」への回帰

費用上昇への対抗策として、消費者は旅行日数を短縮する傾向にあります。調査によると、国内旅行の日数は「1泊2日」が最も多く、全体の35.8%を占めています。これは前年から5.9ポイントも増加しており、長期休暇が取りやすいカレンダーであるにもかかわらず、あえて宿泊数を減らすことで総予算を抑制しようとする心理が働いています。

移動手段についても変化が見られます。新幹線や航空機を利用した遠距離旅行も一定の人気を保っていますが、自家用車を利用した近場へのドライブ旅行や、居住地と同じ地域内を観光する「域内旅行」の比率が高まっています。関東在住者が箱根や熱海へ、関西在住者が有馬や白浜へといった、移動コストを抑えられる範囲での旅行が選好されています。高騰する宿泊費や食費に予算を配分するために、交通費を削減するという合理的な判断の結果といえるでしょう。

国内人気エリアランキングと穴場スポットの台頭

国内の旅行先としては、依然として「関東」が23.1%、「近畿」が17.7%、「九州」が11.9%といった主要エリアが上位を占めています。これには帰省需要も含まれていますが、東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパンといった強力な集客コンテンツを持つエリアへの集中も見逃せません。

しかし新たなトレンドとして、混雑を避けた「穴場」や特定の魅力を持つ地域への注目が集まっています。楽天トラベルのデータによれば、前年同期比で予約泊数の伸び率が高い都道府県として、宮城県、石川県、長崎県が挙げられています。

宮城県は仙台を中心とした都市観光と、秋保・作並といった温泉地へのアクセス性の良さが評価されています。特に首都圏から新幹線で短時間でアクセスできる利便性は、短期旅行トレンドと合致します。石川県は北陸新幹線の延伸効果が持続していることに加え、金沢の文化的魅力や冬の味覚であるカニなどが、質の高い体験を求める層を引きつけています。長崎県はハウステンボスなどのテーマパークにおける新エリアオープンや、リゾートホテルの充実が家族連れの支持を集めています。これらの地域は、大都市圏の過度な混雑を避けつつ、満足度の高い旅行体験が得られる「第2の都市」として再評価されているのです。

海外旅行費用の高騰と燃油サーチャージの影響

海外旅行市場は国内旅行以上に劇的な変化の渦中にあります。旅行人数は100万人と推計され、対前年比131.5%という大幅な回復を見せていますが、これはコロナ禍での激減からの反動増であり、2019年水準への完全回復には至っていません。

最大の障壁となっているのは歴史的な水準にある旅行費用です。一人当たりの平均費用は275,000円となり、対前年比で108.7%、2000年以降で最高額を記録しています。この費用高騰の背景には、円安による現地滞在費の上昇に加え、航空運賃と燃油サーチャージの高止まりがあります。

2025年12月から2026年1月発券分における燃油サーチャージは、依然として高い水準で推移しています。JALやANAの発表によると、日本発の欧米路線では片道数万円規模のサーチャージが必要となり、往復では家族4人で数十万円の追加コストが発生します。円安(1ドル=150円前後)の影響で、燃油の基準価格となるシンガポールケロシンの円換算額が下がらないため、原油価格が安定していてもサーチャージが下がりにくい構造になっています。

海外旅行先の二極化:近距離アジアと憧れの欧米・ハワイ

コスト環境が厳しい中で、海外旅行の行き先は明確に二極化しています。一方の極は予算を抑えられる近距離アジアです。HISの予約数ランキングでは「ソウル(韓国)」が1位、「台北(台湾)」が2位、「バンコク(タイ)」が3位を占めています。これらの国・地域はフライト時間が短く、燃油サーチャージも比較的安価(韓国線は片道数千円程度)で済むため、円安下でも手の届く海外旅行として圧倒的な支持を得ています。

もう一方の極は、費用がかかっても「行きたい場所」へ行く層による、ハワイや欧米への回帰です。JTBの分析ではハワイやヨーロッパなどの遠距離方面が増加傾向にあり、平均費用を押し上げる要因となっています。ハワイに関しては3泊5日のツアー価格が30万円台後半から50万円超となるケースも珍しくなく、現地での食事代や宿泊税(約19%)を含めると、かつてないほどの高額出費となります。それでもなお予約が入る背景には、数年間我慢した反動による「リベンジ消費」や、富裕層を中心とした底堅い需要が存在します。

エジプト人気急上昇の背景

特筆すべきトレンドとして、エジプト(カイロ)の人気急上昇が挙げられます。HISのデータではエジプトへの予約が前年比194.2%と驚異的な伸びを見せています。これは大エジプト博物館のグランドオープンという強力な観光コンテンツがフックとなっていることに加え、円安やインフレで全体的に旅行費用が上がる中で、「どうせ高いお金を払うなら、他では得られない特別な体験をしたい」という消費者心理が働いていることを示唆しています。定番のリゾートでのんびりするだけでなく、知的好奇心を満たす「体験」への投資意欲が高まっているのです。

消費者心理の変化:メリハリ消費の定着

2025-2026年の旅行者を象徴するキーワードは「メリハリ消費」です。旅行全体の予算が増加傾向にある中で、消費者は全ての項目で贅沢をするのではなく、自分にとって重要な要素には惜しみなく投資し、そうでない部分は徹底的に削るという行動をとっています。

楽天トラベルの分析によると、「ラウンジアクセス付き」プランの予約が前年比1.3倍、「ビュッフェ」プランが1.2倍に増加しています。これは宿泊施設内での飲食やサービスを充実させることで、追加の外出や外食費を抑えつつ、滞在の満足度を高めようとする戦略です。移動はLCC(格安航空会社)や自家用車で済ませ、浮いたお金で高級ホテルに泊まるといったスタイルも定着しつつあります。

旅行目的の変化:「帰省」から「リラックス」へ

年末年始の旅行目的においても大きな地殻変動が起きています。かつては年末年始といえば「帰省」が主目的でしたが、JTBの調査では「帰省」の割合が低下し、「家族と過ごす」(45.4%)や「リラックスする・のんびりする」(29.9%)が上位を占めるようになりました。

これは形式的な親戚付き合いや義務的な帰省よりも、核家族やパートナー、あるいは自分自身を癒やすための時間を優先する価値観へのシフトを表しています。「何もしない贅沢」を求めて温泉宿に籠もる、あるいは日常を忘れるために絶景スポットを訪れるといった、精神的な充足を重視する傾向が強まっています。

ソロ活と女子旅の進化

ひとり旅(ソロ活)や女性グループによる旅行(女子旅)も、市場の重要な牽引役となっています。特に女性層においては「SNS映え」だけでなく、その場所で誰とどのような時間を共有したかという「共感」や「ストーリー」を重視する傾向があります。金沢の茶屋街での街歩きや、京都の奥座敷での静寂な時間など、感性を刺激するコンテンツが求められています。ひとり旅においては誰にも気を使わずに自分のペースで過ごせる自由さが評価され、年末年始を高級ホテルのシングル利用で過ごす層も増加しています。

2026年以降の旅行トレンド予測

Booking.comやスカイスキャナーなどの予測によれば、2026年の旅行トレンドは「The Era of YOU(自分らしさの時代)」へと突入します。これは一般的な観光地を巡るだけの旅から脱却し、個人の趣味嗜好、価値観、ライフスタイルを色濃く反映した旅への進化を意味します。

具体的には、映画やゲームの世界観に浸る「ファンタジー旅行」、睡眠の質を改善するための「スリープツーリズム」、美容や健康を追求する「ウェルネス・美容ツーリズム」などが挙げられます。AIを活用して自分だけのオリジナルプランを作成したり、まだ知られていない「第2の都市」を発掘したりする動きも加速するでしょう。

オーバーツーリズムと持続可能性への対応

2025年から2026年にかけて、観光地における混雑問題(オーバーツーリズム)への対策は避けて通れない課題となります。京都や富士山などではすでに深刻な状況となっており、京都市では「観光快適度マップ」による分散観光の啓発を行っています。

今後はハワイのように宿泊税を引き上げたり、入域料を徴収したりする動きが国内外で拡大する可能性があります。外国人観光客と居住者で価格を分ける「二重価格」の導入議論も現実味を帯びてきています。旅行者側には混雑時期を避ける、マナーを守る、環境に配慮した移動手段を選ぶといった「レスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)」の実践が求められるようになります。

海外旅行における制度変更と隠れコストの注意点

海外旅行においては制度面の変更や新たな手数料にも注意が必要です。欧州への渡航に必要な事前認証システム「ETIAS(エティアス)」の導入は延期が続いていますが、2026年頃には導入される可能性があり、その場合は手数料(7ユーロ予定)が発生します。

クレジットカードの海外事務処理手数料についても注意が必要です。従来の2.2%程度から3.63%程度へと引き上げられる改定が相次いでいます。これは海外でのショッピングや現地通貨引き出しの際に地味ながら確実に負担増となるため、旅行者はキャッシュレス決済の選び方にも敏感になる必要があります。パスポート申請の手数料についてもオンライン申請の普及に伴い、窓口申請との価格差や利便性の違いを理解しておくことが重要です。

年末年始旅行の費用を抑えるための具体的戦略

2025-2026年の年末年始に、少しでも費用を抑えて満足度の高い旅行を実現するためには、いくつかの戦略が有効です。

日程のずらしについては、出発ピークである12月27日から30日を避け、可能であれば12月20日から25日、あるいは年明け1月4日以降に出発することで、航空運賃や宿泊費を大幅に抑えることができます。JTBの調査によれば、出発のピークは依然として年末に集中しているものの、年明けの1月4日以降に出発する層や、あえてピークを外した日程を選ぶ層も一定数存在します。混雑や価格高騰を回避するための「分散化」も進んでおり、消費者が「賢い旅行者」として振る舞う傾向が強まっています。

「第2の都市」の活用も効果的です。人気の京都や箱根ではなく、宮城県(仙台・秋保)、石川県(金沢・加賀)、長崎県など、満足度は高いがピーク時の価格高騰が比較的緩やかなエリア、あるいは付加価値の高い体験が得られるエリアを選択肢に入れることが賢明です。

早期予約とパッケージの活用も重要です。航空券と宿泊がセットになったダイナミックパッケージは、個別に手配するよりも割安になるケースが多く、特に燃油サーチャージ込みのツアー商品は総額が見えやすいため予算管理に適しています。

食事付きプランの精査も見落としがちなポイントです。ホテルの夕食ビュッフェやラウンジサービスが含まれるプランは一見高く見えても、現地での追加出費を抑えられるため、トータルコストではお得になる場合があります。

年末年始旅行費用2025-2026の比較まとめ

項目2024-2025年2025-2026年対前年比
総旅行人数約3,890万人3,987万人102.5%
総旅行消費額約1兆8,300億円1兆9,858億円108.4%
国内旅行人数約3,810万人3,886万人102.0%
国内旅行平均費用約43,000円44,000円102.3%
海外旅行人数約76万人100万人131.5%
海外旅行平均費用約253,000円275,000円108.7%

この表からわかるように、旅行人数の増加率に比べて費用の増加率が顕著に高く、インフレ型の成長パターンが明確になっています。国内旅行の平均費用44,000円、海外旅行の平均費用275,000円はいずれもJTB調査開始以来の過去最高額であり、旅行費用の値上げが今後も継続する可能性を示唆しています。

2025-2026年の年末年始旅行市場は、インフレと円安という厳しい経済環境下にありながらも、人々の「旅への渇望」がそれを上回る形で成長を続けています。しかしその中身はかつてのような「とりあえず旅行に行く」という単純なものではなく、費用対効果を厳しく見極め、自分にとって本当に価値のある体験を選択するという、成熟した消費行動へと進化しています。旅行者にとっては情報の取捨選択と早期の行動が満足度を左右する鍵となります。

観光事業者にとっては、単なる価格競争ではなく、選ばれるための明確な理由を提示できるかが勝負の分かれ目となるでしょう。独自の体験、圧倒的なリラックス、パーソナライズされたサービスといった付加価値が、今後ますます重要性を増していきます。この年末年始は、日本の旅行文化が新たなステージへと移行する重要な転換点として記憶されることになるでしょう。

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