2026年1月、YouTubeショートを中心に大規模な収益停止が発生しています。その主な原因は、生成AIを活用したまとめ動画や解説動画の粗製濫造にあります。YouTubeは2025年7月のポリシー改定以降、「量産型コンテンツ」や「不誠実なコンテンツ」に対する取り締まりを強化しており、テンプレート化された動画や人間の関与が希薄なAI生成コンテンツが収益化停止の対象となっています。本記事では、なぜ今このタイミングで多くのチャンネルが収益停止に追い込まれているのか、その背景にあるポリシー変更の詳細、そして収益化を維持・復活させるための具体的な対策について詳しく解説します。

- YouTubeショート収益停止とは何が起きているのか
- YouTubeショート収益停止の原因となった「粗製濫造」の定義
- 2025年7月ポリシー改定が収益停止に与えた影響
- まとめ動画やゆっくり解説が収益停止の標的になる理由
- 生成AIコンテンツの開示義務と「AIスロップ」判定の恐怖
- 著作権と生成AIの法的リスク
- 「再利用されたコンテンツ」判定の真意と誤解
- YouTubeショート収益停止から復活するための具体的対策
- まとめ動画チャンネルのリブランディング戦略
- 映画レビューや切り抜き動画の「変革的利用」とは
- AIツールの正しい使い方とアシスタントとしての活用
- 「真正性」の時代への回帰とYouTubeの未来
- 収益化停止からの復活ロードマップ
- まとめ
YouTubeショート収益停止とは何が起きているのか
YouTubeショート収益停止とは、YouTubeパートナープログラム(YPP)から除外され、広告収益を得られなくなる状態を指します。2026年1月以降、特に「生成AI」を活用した「まとめ動画」や「解説動画」を運営するクリエイターの間で、この収益停止が急増しています。
この現象は単なるアルゴリズムの一時的な不具合や誤検知ではありません。YouTubeというプラットフォームが「コンテンツの価値」を根本から再定義しようとする構造的な転換点にあることを示しています。SNS上では「粗製濫造判定」という言葉が飛び交い、これまで効率的に再生数を稼げるとされてきたビジネスモデルが崩壊の危機に瀕しています。
背景にあるのは、生成AI技術の爆発的な普及による「コンテンツ制作の民主化」と、その副作用としての「デジタル空間の汚染」です。誰でも容易に高品質な動画を作成できるようになった結果、プラットフォームは人間が消費しきれないほどの膨大なコンテンツで溢れかえりました。YouTubeは「視聴者の時間」と「広告主の信頼」を守るために、極めて厳格なフィルタリングを実施せざるを得ない状況に追い込まれたのです。
YouTubeショート収益停止の原因となった「粗製濫造」の定義
粗製濫造という言葉は、かつての工業製品における品質低下を指す言葉でした。しかし、現在のYouTubeにおいては「視聴者のエンゲージメントを無視し、アルゴリズムハックのみを目的としたコンテンツの大量生産」を意味します。
YouTubeのビジネスモデルは、視聴者がプラットフォームに長く滞在し、満足度の高い体験を得ることで成立しています。AIによって自動生成された均質で低品質なコンテンツがフィードを占拠すれば、視聴者は飽きてプラットフォームから離脱してしまいます。GoogleおよびYouTubeは、この「AIによるスパム化」を深刻な脅威と捉えています。
2025年以降の方針として、低品質な動画チャンネルを単に検索順位から下げるだけでなく、「悪質でスパムとみなされるもの」として収益化の対象から完全に排除する動きが強まっています。これはAI技術そのものを否定するものではなく、AIを「手抜き」のために利用する行為への明確な拒絶なのです。
2025年7月ポリシー改定が収益停止に与えた影響
2025年7月15日に行われたYouTubeパートナープログラムのポリシー改定は、多くのクリエイターにとって大きな転機となりました。この改定において、YouTubeは従来「繰り返しの多いコンテンツ」と呼ばれていたポリシー項目を、「量産型のコンテンツ」または「不誠実なコンテンツ」へと名称変更し、その適用範囲を大幅に拡張しました。
この名称変更は単なる言葉の綾ではありません。「繰り返し」という言葉は従来、同じ映像素材を何度も使い回す、あるいは他者の動画をコピーするといった「物理的な重複」を指す傾向がありました。しかし、新しい定義における「量産型」や「不誠実」は、コンテンツ制作の「プロセス」そのものに焦点を当てています。
つまり、異なるテーマやテキストを扱っていても、動画の構成、テンポ、使用されるボイス、編集テンプレートが画一的であり、視聴者が「チャンネル内の動画の違いを識別するのが難しい」場合、それは量産型とみなされるようになりました。
「不誠実なコンテンツ」とはどのような動画を指すのか
英語圏のポリシー文書で用いられる「Inauthentic(不誠実・非真正)」という言葉には、YouTubeがクリエイターに求める「実存性」への問いが含まれています。YouTubeは、クリエイターが情熱を持って独自の視点で制作した「本物」のコンテンツに報酬を支払いたいと考えています。逆に言えば、「再生数を稼ぐことのみを目的として、最小限の労力で大量生産されたコンテンツ」は不誠実であるとみなされます。
この「不誠実さ」の判定基準は、顔出しの有無や声の有無だけの問題ではありません。「その動画を作るのに、人間ならではの工夫や思考が介在したか?」というプロセスが問われているのです。例えば、ChatGPTで生成した台本をそのままVoicevoxで読み上げさせ、Midjourneyで生成した画像をスライドさせるだけの動画は、たとえ情報が正確であっても、「制作プロセスにおける人間の関与」が希薄であるため、「不誠実」と判定されるリスクが極めて高くなります。
2026年1月以降の「信頼できないコンテンツ」判定の急増は、この「不誠実さ」をAIが見抜く精度が飛躍的に向上した結果であると考えられます。
生成AIコンテンツがスパム扱いされる境界線
YouTubeのガイドラインにおいて、生成AIの使用は「スパム」と紙一重の扱いを受けています。Googleは2025年、クリエイター向けのポリシー更新において「AIツール活用はOKだが、合成・改変時の開示が必須」とする一方で、「マスプロ的なスパム的コンテンツは従来通り収益化対象外」であると強調しました。
ここで重要なのは、AIを「道具」として使用するか、「主体」として使用するかの違いです。人間が主体となり、AIを補助的に使って表現の幅を広げることは推奨されます。しかし、AIが主体となり、人間が単なるオペレーターとしてボタンを押すだけの関係性で制作された動画は、YouTubeの目には「スパム」として映ります。特に、テンプレートを使って自動的に生成しているような動画や、スライドショーなどでどこかから持ってきたコンテンツを自動生成している動画は、明確に禁止事項としてリストアップされています。
まとめ動画やゆっくり解説が収益停止の標的になる理由
「2chまとめ」や「ゆっくり解説」といったジャンルは、日本独自のYouTube文化として大きく成長し、一時は「稼げるジャンル」の代名詞とされてきました。しかし、これらのフォーマットは、新しい「量産型コンテンツ」規制に対して構造的に極めて脆弱です。
テンプレート依存による構造的脆弱性
まとめ動画が収益停止の標的となる最大の理由は、「テンプレート依存度が高い」ことにあります。まとめ動画の多くは、掲示板のスレッドを転載し、背景にフリー素材やゲーム画面を流し、霊夢と魔理沙などの合成音声キャラクターが掛け合いを行うという、極めて固定化されたフォーマットを持っています。
視聴者が「どのチャンネルを見ても同じに見える」「またこのパターンの動画か」と感じる状態は、まさにYouTubeが排除しようとしている「繰り返しの多いコンテンツ」の定義そのものです。さらに、2025年以降のアルゴリズムは、動画の視覚的な類似性だけでなく、構成の類似性も検知するようになっています。
例えば、「タイトルコール→本編導入→スレ読み上げ→結論→エンディング」という画一的な構成が、数百、数千の動画で繰り返されている場合、それらは個別の作品ではなく「量産品」として一括りにされ、評価を下げられる傾向にあります。
情報の再利用と付加価値の欠如
まとめ動画が抱えるもう一つの致命的な問題は、情報のソースが「他者の著作物」である点です。YouTubeの「再利用されたコンテンツ」ポリシーでは、他者のコンテンツを利用する場合、独自の解説や教育的価値を「十分に」付加することが求められます。
多くのまとめ動画は、スレッドの内容をただ読み上げるだけ、あるいはネット上の情報を要約するだけにとどまっており、この「十分な付加価値」の基準を満たしていないと判定されやすくなっています。かつては、スレッドを面白おかしく編集すること自体が付加価値とみなされていましたが、AIによる要約技術が普及した現在、単なる「情報の圧縮」や「転載」は、人間ならではの付加価値とはみなされなくなりました。YouTubeは、単なる情報の運び手ではなく、情報の解釈者を求めているのです。
AI音声と教育的価値の乖離
まとめ動画やゆっくり解説の多くは、合成音声を使用しています。かつてはAquesTalkが主流でしたが、現在はVOICEVOXなどの高品質なAI音声も普及しています。しかし、問題は音質ではなく「語り」の質にあります。
AIが生成した台本や、ネット上のテキストをそのまま流し込んだだけの音声は、抑揚や感情の機微、文脈に応じた間の取り方が人間に比べて単調になりがちです。2026年のアルゴリズムは、こうした「機械的な読み上げ」を敏感に察知します。YouTubeは、単調な読み上げ動画を「教育的価値が低い」とみなす傾向があり、これは2025年のポリシー改定で明示的に収益化対象外の例として挙げられています。
特に、「スライドショー+AI音声」の組み合わせは、YouTubeが最も警戒する「低品質コンテンツ」の典型例とされています。画像が動かず、音声も機械的である場合、視聴者は動画としての没入感を得られず、単なる「情報の羅列」を見せられていると感じます。
YMYL領域における信頼性の問題
「まとめ動画」は情報の出典が曖昧になりがちであり、これが2026年1月以降の「信頼できないコンテンツ」判定の急増に繋がっています。特に医療、健康、政治、金融などのYMYL(Your Money Your Life)領域において、出所不明なネットの書き込みを「事実」のように拡散するまとめ動画は、誤情報対策の観点からも厳しく取り締まられています。
2026年のガイドラインでは、医療や政治に関する誤情報の拡散は即座に収益化停止の対象となります。例えば、科学的根拠のない健康情報や、選挙に関する陰謀論を、掲示板の書き込みをソースとして動画化する行為は、プラットフォームの信頼性を損なう重大な違反行為とみなされます。まとめ動画という形式上、「これはスレ主の意見です」という逃げ道を用意しがちですが、YouTubeは動画全体の発信責任をチャンネル運営者に問う姿勢を強めています。
生成AIコンテンツの開示義務と「AIスロップ」判定の恐怖
2025年から、YouTubeは生成AIを使用したコンテンツに対する開示義務を厳格化しました。クリエイターは、動画のアップロード時に「改変されたコンテンツまたは合成コンテンツ」であることを申告するチェックボックスにチェックを入れる必要があります。これには、実在の人物が実際には発言していないことを発言しているように見せる場合や、実際の出来事や場所の映像を改変している場合、実在するように見えるリアルな人物や風景を生成した場合などが含まれます。
この開示義務は、視聴者に対する透明性を確保するためのものですが、同時にクリエイターにとっては「諸刃の剣」ともなります。開示を行わなければ、検知された際に収益化停止や動画削除のペナルティを受けます。一方で、開示を行ったとしても、それが「AIで作った低品質な動画」であると判断されれば、やはり収益化は認められません。つまり、開示は「収益化の条件」ではなく「土俵に上がるための最低限のルール」に過ぎず、その上で「人間が見るに値する価値があるか」という、より高いハードルが課されることになります。
AIスロップとは何か
「AIスロップ」とは、AIによって生成された低品質なコンテンツを指す造語で、2025年7月のポリシー更新以降、YouTube対策の文脈で頻繁に使われるようになりました。スロップとは本来「家畜のエサ」や「残飯」を意味する言葉であり、AIがネット上の情報を無作為にかき集め、意味をなさなかったり、価値が低かったりするコンテンツを大量に吐き出す様を揶揄しています。
YouTubeのAIは、このスロップを検知するために、動画のメタデータ、視聴維持率、エンゲージメント、そして動画の中身を総合的に分析しています。特にショート動画においては、AI生成の美女画像が延々とスライドするだけの動画や、ChatGPTが出力した一般的な雑学を読み上げるだけの動画が、この「スロップ」判定を受け、収益停止の対象となっています。
AIツールは「効率化」のために使われるべきであり、「手抜き」のために使われると、YouTubeのアルゴリズムは見抜きます。人間の手による監修が入っていないAI動画は、文脈がおかしかったり、画像の手足が破綻していたりと、細部に違和感が残ります。視聴者はこうした違和感を敏感に感じ取り、即座にスワイプします。この「低い視聴維持率」というデータが、アルゴリズムによる「低品質」判定をさらに加速させるという負のスパイラルが生じています。
著作権と生成AIの法的リスク
生成AIと著作権の問題は、2025年から2026年にかけて法的にも大きな争点となっています。米国の判例では、AIのトレーニング自体は「フェアユース(公正利用)」と認められる傾向にありますが、生成された「出力物」が既存の著作物と酷似している場合、それは著作権侵害となります。
YouTubeにおいてこれは、「映画レビュー」や「アニメ切り抜き」にAI音声やAI字幕をつけただけの動画で特に問題となります。AIを使って映画のシーンを要約したり、キャラクターを生成して解説させたりしても、元の映像や物語への依存度が高すぎる場合、「再利用されたコンテンツ」としての判定は免れません。また、AIが生成した画像が、特定のアニメキャラや芸能人に酷似している場合、肖像権や著作権の侵害として警告を受けるリスクもあります。
文化庁の見解でも、AI生成物が特定のクリエイターの需要を代替するような「粗製濫造」は、著作権者の利益を害する可能性があると指摘されています。YouTubeは、こうした法的リスクを回避するため、著作権侵害の疑いがあるAI生成コンテンツに対して、予防的に収益化を停止する措置をとることがあります。特に、映画やアニメの映像を大量に使用し、AIで字幕をつけただけの「ファスト映画」的なコンテンツは、たとえ要約であっても「市場への悪影響」があるとみなされ、フェアユースが認められない可能性が高いです。
「再利用されたコンテンツ」判定の真意と誤解
多くのクリエイターが誤解しているのが「再利用されたコンテンツ」の定義です。これは単に「他人の動画を使った」ことだけを指すのではありません。YouTubeの公式ヘルプには、「独自の解説や教育的な価値を十分に付加せずに他者のコンテンツを再利用しているチャンネル」と定義されています。
ここで重要なのは「独自の」かつ「十分な」という修飾語です。例えば、映画の予告編をつなぎ合わせただけの動画や、スポーツの好プレー集などは、たとえ編集の手間がかかっていても「独自の価値」がないとみなされます。編集作業そのものは「価値」ではなく「手段」に過ぎないからです。一方で、そのシーンの演出意図を専門的な視点で解説したり、独自のユーモアを交えてリアクションしたりする動画は、元のコンテンツに新たな意味を与えているため、収益化が認められます。
しかし、2026年の基準では、このハードルが格段に上がっています。単にテロップを入れるだけ、あるいは簡単な感想を一言添えるだけでは「不十分」と判定されるケースが増えています。AI生成のナレーションで一般的な事実を述べるだけの場合も、「独自性がない」とみなされ、再利用コンテンツとして処理されます。YouTubeは「クリエイター本人の存在感」や「独自の見解」を求めており、AIによって誰でも作れるような解説は、もはや「独自の価値」とは認められないのです。
チャンネル全体評価とメタデータの重要性
収益化の審査およびAIによる定期巡回は、個々の動画だけでなく、チャンネル全体を対象に行われます。審査員およびAIは、チャンネルの主なテーマ、最も再生されている動画、最新の動画、総再生時間の大部分を占める動画、そして動画のメタデータを総合的にチェックします。
もし、チャンネル内の動画の多くが同じようなテンプレートで作られていたり、タイトルがキーワードの羅列であったりする場合、チャンネル全体が「量産型」あるいは「スパム」と判定され、収益化が停止されます。特にショート動画では、ハッシュタグの乱用や、中身と関係のない釣りタイトルも収益停止の大きな要因となります。
また、「過去の動画」も審査対象となります。かつて収益化基準が緩かった時代に投稿した「量産型動画」や「転載動画」が残っている場合、それらが足を引っ張ってチャンネル全体の収益化が停止されることもあります。すでにYPPに参加しているチャンネルであっても、定期的な再審査が行われており、過去の遺産がリスク要因となるのです。
誤検知と異議申し立ての難しさ
YouTubeの検知システムは完全ではありません。オリジナルのコンテンツであっても、AIの誤検知によって収益停止になるケースは存在します。しかし、一度「再利用」「量産型」のラベルを貼られると、それを覆すのは容易ではありません。
再審査請求では、制作プロセスを示す動画を送ることが求められますが、ここで多くのクリエイターが失敗します。例えば、AIツールを使ってワンクリックで動画を生成している様子を見せてしまえば、逆に「量産型であることの証明」になってしまい、再審査は却下されます。また、編集ソフトの画面を見せるだけでは不十分で、そこにどのような「意図」や「工夫」があったのかを、自分の言葉で説明する必要があります。
成功する再審査請求とは、脚本執筆における独自の思考プロセスや、編集における細かいこだわり、素材選定の意図など、「人間が深く関与している証拠」を提示することです。「私はこの動画を作るためにこれだけ苦労した」という情熱ではなく、「この動画にはこれだけの独自の価値が含まれている」という客観的な事実を証明しなければなりません。
YouTubeショート収益停止から復活するための具体的対策
2026年以降、YouTubeで生き残るための唯一解は、コンテンツに圧倒的な「人間味」を付加することです。これは必ずしも顔出しを意味しません。「非属人」チャンネルであっても、人間味を出すことは可能です。
独自の視点と体験談の導入
一般論やWikipediaの要約ではなく、「私はこう思う」「私の経験では」という主観的なナラティブを台本に組み込むことが重要です。AIには実体験がないため、個人のエピソードは強力な差別化要因になります。単なる情報の羅列ではなく、その情報に対する自分なりの解釈や感想を加えることで、動画に独自性が生まれます。
ナレーションの工夫
AI音声を使う場合でも、一本調子ではなく、感情パラメーターを調整したり、人間的なノイズを意図的に入れたりする工夫が求められます。可能であれば、肉声によるナレーションへの切り替えが最も安全で効果的です。肉声には、AIには真似できない微細なニュアンスや人柄が含まれており、それが「ファン化」を促進し、チャンネルの信頼性を高めます。
編集のリズムを変える
テンプレート通りの画一的な編集を止め、動画の内容に合わせて緩急をつけることが重要です。視聴者の感情を動かすための「間」や「演出」を意図的に組み込むことで、量産型動画との差別化を図ることができます。常に同じテンポで進行する動画は「機械的」と判断されやすく、逆に緩急のある編集は「人間の意図」を感じさせます。
まとめ動画チャンネルのリブランディング戦略
既存のまとめ系チャンネルが収益化を復活させる、あるいは維持するためには、抜本的なリブランディングが必要です。
「まとめ」から「キュレーション・解説」へのシフト
スレをそのまま紹介するのではなく、そのトピックについて徹底的にリサーチし、スレの内容はあくまで「世間の反応の一例」として引用する形式に変えることが求められます。メインはあくまで投稿主による分析や解説とし、スレへの依存度を下げることで、「再利用コンテンツ」判定を回避できます。
オリジナルキャラクターの強化
既存の「ゆっくり」素材だけでなく、独自の立ち絵やキャラクター設定を作り込み、チャンネル固有のブランドを確立することが効果的です。キャラクターに固有の性格や口癖、バックグラウンドを持たせ、視聴者に「情報の面白さ」だけでなく「キャラクターの魅力」で動画を見てもらうようにします。これにより、他チャンネルとの差別化が図れるだけでなく、著作権的な独自性も確保できます。
情報の裏取りと信頼性向上
ネットの噂をそのまま流すのではなく、複数のソースを確認し、「検証」の要素を入れることが重要です。特にYMYL領域では、公的な情報源や論文などを引用し、情報の正確性を担保します。これにより「信頼できないコンテンツ」判定を回避し、動画の「教育的価値」を高めることができます。
映画レビューや切り抜き動画の「変革的利用」とは
著作権リスクの高い映画レビューや切り抜き動画においては、「変革的利用」の概念を徹底する必要があります。これは米国のフェアユース法理に基づく考え方で、元の作品に新たな意味やメッセージを加える利用を指します。
具体的には、映像の引用は必要最小限に留め、画面の大部分は解説者のアバターや図解、オリジナルの映像で構成します。動画の主役は「映画の映像」ではなく「あなたの批評」でなければなりません。映像を垂れ流して音声だけ消し、字幕で解説するようなスタイルは完全にNGです。
映像を一時停止して詳細に分析するパートを設けたり、シーンの意味を図解したりするなど、映像をあくまで「資料」として扱う姿勢を見せる必要があります。また、映画のあらすじをなぞるだけでなく、監督の作家性や時代背景、撮影技術など、映像だけではわからない周辺情報を付加することで、独自の教育的価値を生み出すことができます。
AIツールの正しい使い方とアシスタントとしての活用
AIは「クリエイター」ではなく「アシスタント」として使うべきです。ChatGPTに台本を書いてもらうのではなく、構成案の相談や、アイデア出しのパートナーとして使うことが推奨されます。出力された文章は必ず自分の言葉で書き直し、AI特有の不自然な言い回しや、無味乾燥な表現を排除することが重要です。
画像生成AIを使う場合も、生成された画像をそのまま使うのではなく、Photoshopなどで加工したり、文字を入れたり、複数の画像をコラージュしたりして、「素材の一部」として利用します。AI生成物は著作権保護の対象外となる場合が多いため、そのまま使うと他者に盗用されても文句が言えないリスクがあります。手を加えることで、自身の著作物としての権利を主張できるようになります。
そして最も重要なのが、品質チェックです。AIが作った文章や映像に、事実誤認や不自然さがないか、必ず人間の目で最終確認を行います。AIは平気で嘘をつく(ハルシネーション)ことがあるため、ファクトチェックを怠ると、誤情報の拡散者としてペナルティを受けることになります。
「真正性」の時代への回帰とYouTubeの未来
YouTubeが目指しているのは、AIを排除することではなく、AIによって薄まってしまった「コンテンツの真正性」を取り戻すことです。2026年以降、YouTubeは「誰が」「どのような意図で」作ったかが明確なコンテンツをより優遇するようになるでしょう。
「楽して稼ぐ」「完全自動化で不労所得」といった謳い文句で広まったYouTube攻略法は、完全に終焉を迎えました。これからの時代は、AIを使いこなしつつも、そこに「魂」を込められるクリエイターだけが生き残ります。視聴者は、AIが作った完璧すぎる映像よりも、人間が作った不完全だが熱量のある映像に価値を見出すようになります。YouTubeのアルゴリズムも、そうした人間の感情を揺さぶるコンテンツを学習し、評価する方向に進化していくでしょう。
収益化停止からの復活ロードマップ
もし収益化が停止された場合、段階的な対策が必要です。
まずは冷静な現状分析を行います。どの動画がポリシー違反に該当するかを分析し、アナリティクスを見て、視聴維持率が低い動画や、他チャンネルと酷似している動画を特定します。次に断捨離を実行します。疑わしい動画は非公開にするか削除します。特に、再生数を稼いでいる動画であっても、ポリシー違反の可能性が高い場合は削除する勇気が必要です。チャンネル全体の「健康状態」を良くすることが最優先です。
その後、「人間味」「独自性」「高付加価値」を意識した新しい動画を数本投稿します。これにより、チャンネルの方向性が変わったことをアルゴリズムと審査員に示します。最後に、30日後の再申請時には、変更点と改善努力を明確に示した動画を作成し、アピールします。このプロセスは一度で成功するとは限りませんが、粘り強く改善を続けることで、復活の道は開かれます。
まとめ
YouTubeショートの収益停止騒動は、クリエイターにとって試練ですが、同時に「本物のクリエイター」へと脱皮するための好機でもあります。生成AIは強力な武器ですが、それを扱う「使い手」の倫理観とクリエイティビティが、かつてないほど問われています。粗製濫造の時代が終わり、真の創造性の時代が始まろうとしているのです。
単に「AI動画はダメになった」と恐怖を煽るのではなく、「質の高いコンテンツ作りへの回帰」こそが最短の収益化ルートであることを理解することが重要です。AIに支配されるのではなく、AIを支配するクリエイターになること。それが、2026年以降のYouTubeで生き残るための唯一の道と言えるでしょう。

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