2026年1月から電気・ガス料金支援が再開!3ヶ月で約7,000円お得に

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2026年1月から電気・ガス料金支援が再開され、標準的な世帯では3ヶ月間で約7,000円の負担軽減が見込まれます。具体的な支援単価は、電気代が1キロワット時(kWh)あたり4.5円、都市ガスが1立方メートル(㎥)あたり18.0円の値引きとなります。この支援は2026年1月使用分から3月使用分まで実施され、申請手続きは不要で自動的に料金から差し引かれる仕組みです。

2025年11月21日、政府は「物価高の克服」と「経済の好循環」の実現を目指した総合経済対策を閣議決定しました。この経済対策の中核として、国民生活に直結する電気・ガス料金の負担軽減策が盛り込まれ、厳冬期に向けた緊急支援が正式に決定されています。本記事では、2026年1月からの支援で実際にいくら安くなるのか、世帯タイプ別のシミュレーション、LPガス利用者への自治体別対応、そして支援終了後の注意点まで詳しく解説します。

2026年1月からの電気・ガス料金支援の概要

2026年1月から実施される電気・ガス料金支援とは、政府が小売電気事業者や都市ガス事業者に補助金を交付し、消費者の料金負担を軽減する施策です。対象期間は2026年1月使用分から3月使用分までの3ヶ月間となっており、エネルギー消費が年間で最も多くなる厳冬期に焦点を当てた短期集中型の支援策として設計されています。

この施策が実施される背景には、2022年以降続く国際エネルギー市場の不安定さがあります。資源を輸入に依存する日本は、円安の進行も相まって深刻なエネルギーコストの上昇に直面してきました。政府はこれまでも「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を通じて支援を行ってきましたが、2025年後半にかけての気温低下に伴う暖房需要の増加と、それが家計に与える影響への懸念から、厳冬期限定の緊急措置として支援の再開を決定しました。

消費者が注意すべき点として、「使用分」と「請求分」のタイムラグがあります。電力や都市ガスの検針システムでは、「1月使用分」とは一般的に前月の検針日から当月の検針日前日までの期間を指します。そのため、実際に消費者が支援の恩恵を目にするのは、早くて2026年2月中旬以降に届く請求書からとなります。

2026年1月・2月の電気・ガス支援単価はいくらか

政府は寒さが最も厳しくなる1月と2月の使用分に対し、手厚い支援単価を設定しました。低圧電力、高圧電力、都市ガスそれぞれの支援内容を詳しく見ていきます。

一般家庭が契約する低圧電力に対しては、1キロワット時(kWh)あたり4.5円の値引きが適用されます。この単価は、2024年夏の「酷暑乗り切り緊急支援」における4.0円/kWhや、2025年夏の2.0円〜2.4円/kWhと比較しても高い水準です。冬場はエアコン暖房のみならず、給湯や照明、調理などによる電力消費が夏場以上に増加する傾向にあるため、単価を高めに設定することで総額としての支援効果を最大化する狙いがあります。

企業向けの高圧電力契約に対しても、1kWhあたり2.3円の支援が行われます。製造業や商業施設など、電力コストが経営を圧迫しやすい事業者にとって、この支援はコスト増加を抑制する効果が期待されます。

都市ガスに関しては、家庭および年間契約量が1,000万立方メートル未満の企業等を対象に、1立方メートルあたり18.0円という大幅な値引きが実施されます。2025年夏の支援では最大10.0円/㎥であったことを踏まえると、ガス消費が主役となる冬場に特化した強力な支援策といえます。特に給湯やガスファンヒーターを使用する家庭にとっては、この単価設定が請求額の抑制に大きく貢献します。

対象1月・2月の支援単価
低圧電力(一般家庭)4.5円/kWh
高圧電力(事業者向け)2.3円/kWh
都市ガス18.0円/㎥

3月の支援単価と激変緩和措置

3月使用分については、支援がいきなりゼロになることによる家計への衝撃を和らげるため、支援額を縮小した上で継続する措置がとられます。これは「クリフエッジ効果」と呼ばれる急激な負担増を緩和するための段階的な終了方式です。

具体的には、1月・2月の支援単価の約3分の1程度に設定されています。低圧電力については4.5円から1.5円/kWhへ、高圧電力は2.3円から0.8円/kWhへ、都市ガスは18.0円から6.0円/㎥へと、それぞれ段階的に引き下げられます。

対象1月・2月3月
低圧電力4.5円/kWh1.5円/kWh
高圧電力2.3円/kWh0.8円/kWh
都市ガス18.0円/㎥6.0円/㎥

この縮小幅は、気温の上昇に伴うエネルギー消費量の減少と概ね連動するように設計されています。ただし、寒冷地など3月でも暖房需要が高い地域においては、実質的な負担増を感じる可能性があります。

標準世帯で約7,000円の負担軽減効果

標準的な世帯において、今回の3ヶ月間の支援策による負担軽減総額は約7,000円に達すると見込まれています。この数値は電気と都市ガスの両方の支援を合算したもので、平均的なエネルギー消費モデルに基づいて算出されています。

具体的に、電気使用量を月400kWh、都市ガス使用量を月30㎥と仮定した標準モデルケースで計算してみます。最も支援が厚い1月と2月について見ると、電気料金は400kWhに対し4.5円の補助が適用されるため、月額1,800円の軽減となります。都市ガス料金は30㎥に対し18.0円の補助で、月額540円の軽減です。これらを合わせると1ヶ月あたり2,340円、2ヶ月合計で4,680円の負担軽減となります。

続いて支援が縮小される3月分は、電気が400kWh×1.5円で600円、ガスが30㎥×6.0円で180円となり、合計780円の軽減です。これらを単純合計すると5,460円となりますが、冬場のガス使用量は地域や給湯の使用頻度によって30㎥を大きく上回ることが一般的です。実際には50〜70㎥程度使用する家庭も多く、ガス部分の軽減額が上振れすることで、結果として総額7,000円前後の恩恵を受ける世帯が多くなると推計されています。

世帯タイプ別の支援効果シミュレーション

世帯人数やライフスタイルによってエネルギー消費量は大きく異なるため、支援の影響度も一様ではありません。主要な世帯タイプ別に、具体的な軽減額をシミュレーションします。

単身世帯(一人暮らし)の場合

冬期の平均的な使用量を電気250kWh、都市ガス15㎥と想定した場合の計算です。1月・2月は電気が1,125円(250kWh×4.5円)、ガスが270円(15㎥×18.0円)で、月額合計1,395円の軽減となります。3月分を含めた3ヶ月間の総支援額は約3,200円〜3,500円程度です。単身世帯の場合、絶対額としては小さくなりますが、冬場の光熱費が1万円〜1万5千円程度になることを考えると、約2割程度の圧縮効果が見込め、生活防衛上の意義は大きいといえます。

4人世帯(戸建て・ガス併用)の場合

エネルギー消費が多いファミリー層、特に戸建て住宅の場合は冬期の消費量が大きくなります。電気500kWh、都市ガス70㎥を使用すると仮定した場合、1月・2月の支援額は電気が2,250円(500kWh×4.5円)、ガスが1,260円(70㎥×18.0円)となり、月額合計3,510円に達します。3月分(電気750円、ガス420円)を加えると、3ヶ月間で約8,200円近い負担軽減となります。エネルギー多消費世帯ほど従量制支援のメリットを大きく享受できる構造となっています。

オール電化住宅の場合

ガス契約がなく、すべての熱源を電気で賄うオール電化住宅では、冬期の電力消費量が極めて多くなります。平均して800kWhを使用する家庭を想定した場合、ガス補助はありませんが、電気代に対する支援額は月額3,600円(800kWh×4.5円)となります。1月・2月の2ヶ月間で7,200円、3月の1,200円(800kWh×1.5円)を加えると、合計8,400円の支援となります。ガス併用世帯と比較しても遜色のない支援額ですが、オール電化住宅は昨今の電気料金単価上昇の影響を最も強く受けているため、この支援があってもなお以前と比較して負担増を感じる可能性は残ります。

世帯タイプ想定使用量3ヶ月間の軽減額
単身世帯電気250kWh・ガス15㎥約3,200〜3,500円
4人世帯(戸建て)電気500kWh・ガス70㎥約8,200円
オール電化電気800kWh約8,400円

支援の適用方法と請求書での確認方法

本支援制度の最大の特徴は、消費者による申請手続きが一切不要である点です。支援は小売電気事業者および都市ガス事業者が、国からの補助金を原資として、毎月の料金計算プロセスの中で自動的に適用します。

具体的な計算メカニズムとしては、「燃料費調整額」の単価から支援額を差し引く方式が一般的です。通常、電気料金は「基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金」で構成されますが、このうち燃料費調整単価をマイナス方向に調整することで、最終的な請求額が減額されます。例えば、本来であれば燃料費調整単価がプラス2.0円/kWhである場合、そこから4.5円を差し引いてマイナス2.5円/kWhとして計算するといった処理が行われます。

請求書や検針票、Web明細における表示方法は事業者によって異なりますが、多くのケースでは「政府支援による値引き額」や「激変緩和対策値引き済」といった注釈とともに、適用された単価や総値引き額が明記されます。消費者は請求書の「燃料費調整額」の欄や特記事項の欄を確認することで、自身がどれだけの恩恵を受けたかを把握できます。

LPガス(プロパンガス)の支援は自治体ごとに異なる

電気や都市ガスへの支援が国主導の統一単価で実施されるのに対し、LPガス(プロパンガス)への支援は全く異なるアプローチがとられています。LPガス業界は中小零細事業者が多く、料金体系も自由料金制であるため、全国一律のシステム改修や値引き対応が困難という事情があります。そのため、LPガスへの支援は「電気・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」などを財源として、各都道府県が地域の実情に合わせて実施する間接支援の形式をとっています。

この仕組みの結果、居住する自治体によって支援の有無、金額、実施時期がそれぞれ異なる現状が生じています。LPガス利用者は、国の発表だけでなく自身が住む都道府県の情報を能動的に確認する必要があります。

北海道の支援状況

寒冷地であり暖房用燃料としてのLPガス依存度が高い北海道では、積極的な支援策が展開されています。LPガス利用者に対して最大2,000円〜2,000円超の補助を行う枠組みが整備されており、灯油価格高騰対策とセットでの支援も実施されています。地域特性に応じた手厚い対応が見られます。

青森県の支援状況

青森県では「LPガス料金負担軽減生活者緊急支援事業」が実施されています。第4弾の支援として、2025年12月分のガス料金から定額1,000円(税抜)の値引きが行われます。また業務用利用者向けには、使用量に応じた従量的な支援単価(1㎥あたり17円〜21円など)を設定する動きもあり、家庭用と業務用の双方に配慮した制度設計となっています。

福岡県の支援状況

福岡県では、2026年1月から3月までの使用分に対して、1世帯・事業者あたり合計1,500円(税抜)の支援を行う計画が進められています。月平均にすると500円程度の支援ですが、2025年夏・秋にも別途支援が行われており、年間を通じた切れ目のないサポートを目指しています。支援金は販売事業者を通じて料金から差し引かれる形式が一般的です。

大阪府の支援状況

大阪府の「LPガス利用者価格高騰対策支援事業」では、1契約あたり3,300円を上限とする比較的高額な値引き支援が実施されました。請求額が3,300円未満の場合はその全額が値引き対象となります。実施タイミングが自治体予算の執行時期に左右される点が特徴です。

神奈川県の支援状況

神奈川県では「LPガス物価高騰対応支援金」として、1契約あたり1,500円の支援が設定されています。特筆すべきは、値引き実務を担う販売事業者に対し事務手数料(1営業所あたり15万円等)を支給している点です。これにより事務負担を嫌う事業者の離脱を防ぎ、確実に消費者に支援を届けるための工夫がなされています。

支援があっても安くならない場合がある理由

政府の補助金で4.5円安くなるという事実は、必ずしも請求額が昨年より安くなることを意味しません。電気料金の決定要因には補助金以外に大きな変動要素が存在するからです。

燃料費調整額の影響

燃料費調整額は、原油・LNG(液化天然ガス)・石炭の輸入価格と為替レートに基づいて毎月変動します。2025年から2026年にかけての国際エネルギー市場は、地政学的リスクによる高値圏での推移と円安基調による輸入コスト増が続いています。地域によっては本来の燃料費調整単価がプラス(値上げ方向)に作用しており、補助金の4.5円分の一部がこの燃料費の上昇分を相殺するために使われてしまう現象が起きています。補助金は「値下げ」ではなく「値上げの抑制」として機能している側面が強いのです。

再エネ賦課金の上昇

もう一つの重要なコスト要因が「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」です。これは太陽光や風力で発電された電気を買い取る費用を全利用者が負担する制度ですが、その単価は近年上昇傾向にあります。2024年度の1.4円/kWhから、2025年度には3.49円/kWh、さらには3.98円/kWhへと短期間で大幅に引き上げられました。2026年1月時点でもこの高い水準が適用されています。

例えば再エネ賦課金が前年から2円上がっている場合、政府の補助金が4.5円あっても実質的な値下げ効果は2.5円分に目減りします。消費者が「補助金が出ているはずなのに思ったほど安くなっていない」と感じる主たる原因は、この再エネ賦課金の上昇にあります。

2026年4月以降の「クリフエッジ」リスクに注意

本支援策で最も注意すべきリスクは、支援が完全に終了する2026年4月以降の展開です。

2026年2月使用分(4.5円補助)から3月使用分(1.5円補助)へ移行する際、消費者は実質的に3.0円/kWhの値上げを経験します。さらに4月使用分で補助がゼロになれば、そこからさらに1.5円、つまり2月の水準と比較して合計4.5円の実質値上げが一気に押し寄せます。

これに加えて、例年5月には再エネ賦課金の改定が行われます。もし2026年度の再エネ賦課金がさらに引き上げられれば、補助金終了と賦課金上昇のダブルパンチにより電気料金が急騰する「クリフエッジ(崖)」が発生する可能性が高いのです。政府の施策はあくまで一時的な激変緩和であり、恒久的な低価格を保証するものではないという事実を認識しておく必要があります。

消費者がとるべき賢明な行動

支援策が適用されている今こそ、消費者は支援終了後を見据えた行動をとるべきです。

まず請求書の内訳を確認し、補助金がなければいくらだったのか「真のエネルギーコスト」を把握することが重要です。支援額が明記されている欄を確認し、現在のエネルギー使用に対する本来のコストを理解しておきましょう。

次に、補助金で浮いた資金を消費に回すのではなく、省エネ家電への買い替えや住宅の断熱改修(内窓設置など)といった投資に回すことを検討してください。これらはエネルギー価格が高騰し続ける未来において、永続的な防衛策となります。

さらに、電力会社や料金プランの見直しを行うことも有効です。特に市場連動型プランのリスクや、燃料費調整額の上限撤廃プランの影響を再評価する良い機会といえます。

まとめ

2026年1月から実施される電気・ガス料金支援は、標準世帯で3ヶ月合計約7,000円という経済的恩恵をもたらす施策です。電気代4.5円/kWh、都市ガス18.0円/㎥という支援単価は、厳冬期の家計を守るための安全網として機能する水準といえます。

支援は申請不要で自動的に適用されますが、実際に請求書に反映されるのは2026年2月中旬以降からとなります。また、LPガス利用者は自治体ごとに支援内容が異なるため、お住まいの都道府県の情報を確認してください。

ただし、再エネ賦課金の上昇や燃料費調整額の変動により、補助金の効果が相殺される場合もあります。そして2026年4月以降は支援が終了し、料金が急上昇するリスクがあることを念頭に置いておく必要があります。政府の支援は一時的な措置であり、省エネ対策や料金プランの見直しなど、根本的な対策を進めることが家計防衛の鍵となります。

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