QuizKnockと宮内庁がコラボした皇居謎解きイベント「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」は、2025年3月18日から皇居東御苑で開催されている周遊型謎解きゲームです。この企画は、東大クイズ王・伊沢拓司率いる人気知識エンターテインメント集団QuizKnockが謎解きを制作し、宮内庁との異色のコラボレーションとして大きな話題を呼びました。2027年3月31日まで約2年間にわたり無料で参加でき、スマートフォンひとつで皇室の文化や江戸城の歴史を楽しみながら学べる画期的なイベントとなっています。
本記事では、QuizKnockという組織の概要から、皇居東御苑の見どころ、イベントの詳細な参加方法、そしてこのコラボレーションが実現した背景まで、皇居謎解きイベントの全容を詳しく解説します。東京観光の新たなスポットとしても注目を集めるこのイベントの魅力を、余すところなくお伝えします。

QuizKnock(クイズノック)とは何か
QuizKnock(クイズノック)とは、東大クイズ王として知られる伊沢拓司が中心となって運営する、エンターテインメントと知識を融合させたメディアです。2016年10月にWebメディアとして設立され、「楽しいから始まる学び」をコンセプトに掲げて活動を続けています。
伊沢拓司は、グループ設立の理由について「人々が自発的に情報を求めるようになるシステムを作りたかった」と語っています。この理念のもと、QuizKnockは何かを「知る」きっかけとなるような記事や動画を毎日発信し続けており、クイズや謎解きという遊びの要素を通じて学びへの好奇心を刺激する点が大きな特徴となっています。難解な知識を一方的に伝えるのではなく、視聴者や読者が能動的に考え、発見する喜びを体験できるコンテンツ作りを心がけているのです。
QuizKnockを運営する株式会社batonについて
QuizKnockを運営しているのは株式会社batonという企業です。同社は2013年10月に創業し、当初は教育にまつわるアプリを開発する会社としてスタートしました。2016年にWebメディア「QuizKnock」を立ち上げ、現在に至っています。
株式会社batonの基本情報を表にまとめると、社名は株式会社baton、設立は2013年10月、代表取締役は衣川洋佑氏、本社所在地は東京都品川区となっています。従業員数は2024年時点で約200名、資本金は710万円、売上高は14億円という規模の企業です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 株式会社baton |
| 設立 | 2013年10月 |
| 代表取締役 | 衣川洋佑 |
| 本社所在地 | 東京都品川区 |
| 従業員数 | 約200名(2024年時点) |
| 資本金 | 710万円 |
| 売上高 | 14億円 |
株式会社batonのビジョンは「遊ぶように学ぶ世界」の実現です。遊びと学びをつなげる各種サービスの運営やコンテンツの制作を通じて、エンターテインメントと教育をかけあわせたサービスを提供しています。主な事業内容としては、自社メディア「QuizKnock」の運営をはじめ、企業とのタイアップ事業としてクイズ・謎解きイベントの企画運営、ゲームアプリ開発、書籍の刊行やイベントの開催、学校でのワークショップ・講演活動などを行っています。三菱地所設計、東京ドームシティ、漢字ミュージアムなどとのコラボ実績があり、東京都との「東京都防災模試」の作成や宮崎県の観光物産PRキャンペーンの実施など、官公庁との連携も積極的に行ってきました。
QuizKnockのYouTubeチャンネルと影響力
QuizKnockのYouTubeチャンネルは2017年4月に開設されました。チャンネル開設を提案し、プロデューサーを務めているのはメンバーのふくらPです。チャンネル登録者数は順調に成長を続け、2019年に100万人を突破、2023年3月10日には200万人を達成しました。2025年現在では250万人を超える登録者を擁しています。2023年にオリコンが実施した「好きなYouTuberランキング」では6位にランクインするなど、幅広い層から支持を得ている人気チャンネルです。
特筆すべきは、チャンネル登録者の約6割が24歳以下という点です。若者に対する影響力が非常に高く、これが今回の宮内庁とのコラボレーションにおいて重要な要素となりました。保護者層からも高い評価を得ており、オリコンの調査では、クイズを「楽しい」ものとして描いているとしてチャンネルを評価する声が多く寄せられています。教育的でありながらエンターテインメント性も兼ね備えたコンテンツが、子どもから大人まで幅広い世代に受け入れられているのです。
QuizKnockの主要メンバー
QuizKnockには多くの優秀なメンバーが在籍しています。代表的なメンバーを紹介します。
伊沢拓司は1994年生まれ、茨城県桜川市出身で、東京大学経済学部を卒業後、東京大学農学部大学院を中退しています。webメディア「QuizKnock」の発起人であり、法人化した際のCEOを務めました。高校1年生時に『全国高等学校クイズ選手権』の第30回大会に出場し、開成高校を初優勝へと導き、翌年の第31回大会においても優勝して個人としては史上初となる高校生クイズ2連覇を達成しました。テレビ番組『東大王』では2代目東大王・初代東大チーム大将として活躍しました。
ふくらPは1993年生まれで、東京工業大学在学中の2016年12月にQuizKnockに加入しました。翌年、YouTubeチャンネルの開設を提案しプロデューサーを務めています。2023年4月より日本テレビ『DayDay.』に月1レギュラーとして出演しており、2024年の「謎解き能力検定」で全国5位の実績を持っています。
河村拓哉は1996年生まれで、早稲田大学先進理工学部を卒業し、2017年9月からQuizKnockに加入しました。YouTube動画への出演のほか、謎解きやクイズの制作・監修を担当しています。『Qさま!!』『ネプリーグ』などのテレビ番組でも活躍中で、2022年3月に漢検1級を取得し、2024年の「謎解き能力検定」では満点を取得しました。
須貝駿貴は1991年生まれで、2017年にグループに加入し、科学実験や理系ジャンルのコンテンツで活躍しています。鶴崎修功は1995年生まれで、東京大学大学院数理科学研究科博士課程を修了しており、2016年からQuizKnockに加入してYouTube動画への出演のほかゲーム・アプリ開発も行っています。『東大王』では約3年にわたり東大王チームの主将を務めました。
東問と東言は2001年生まれの双子で、ともに中学生からクイズを始めチームメイトとして『高校生クイズ』で優勝した経歴を持っています。東問は東京都立大学経済経営学部を卒業し2022年からQuizKnockに加入、YouTube動画への出演のほか戦略立案に携わっています。東言は東京大学文学部を卒業し、広報担当としてイベントのPRなどに携わっており、『東大王』などテレビ番組でも活躍し、2025年2月には『Qさま!!』で初優勝を果たしました。
QuizKnockの謎解きイベント制作実績
QuizKnockは数多くの謎解きイベントを制作してきた実績を持っています。その制作力と企画力が、今回の宮内庁とのコラボレーション実現につながりました。
「トーキョーディスカバリーシティ!」シリーズは東京ドームシティで開催される大型イベントで、一昨年・昨年と大好評を博しました。2025年には「トーキョーディスカバリーシティ!2025 探る昼とめぐる夜」として開催されています。
「謎解き地下遊戯場」は東京メトロとのコラボレーションによる地下鉄を使った謎解きイベントで、2024年11月25日から2025年2月28日まで開催されました。スマートフォンのみで参加できる珍しいタイプの周遊型謎解きとして注目を集め、キットなしでスマートフォンのみで遊べる形式は「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」にも引き継がれています。
その他にも、映画「ミステリと言う勿れ」公開記念「日本橋と言う勿れ」内『謎解きラリー』、九十九島パールシーリゾート30周年記念「QuizKnockの九十九島で謎解きクルーズ」、「奈良を巡る謎解き旅 時の狭間の秘密の頁」など、多岐にわたる謎解きイベントを手がけてきました。QuizKnock発の謎解き制作チーム「NazoLock」も活動しており、ナゾヒロバにはQuizKnockの謎解き・脱出ゲームとして24件以上が登録されています。
皇居東御苑の歴史と見どころ
皇居東御苑は、今回の謎解きイベントの舞台となっている場所です。旧江戸城の本丸・二の丸・三の丸の一部を宮殿の造営にあわせて皇居附属庭園として整備されたもので、皇居造営の一環として昭和35年(1960年)1月29日の閣議決定に基づき整備することとなり、昭和36年に着工、昭和43年(1968年)9月に完成しました。面積は約21万平方メートルに及びます。
当地はかつての江戸城の中枢であり、本丸には江戸幕府将軍の住居である本丸御殿や天守閣がありました。しかし、本丸御殿など建物は文久3年(1863年)の火災で焼失し、再建されることはありませんでした。現在の皇居東御苑は、歴史的な遺構と自然が調和した空間となっており、昭和天皇の発意により武蔵野の自然を再現した二の丸雑木林や日本庭園、江戸城の遺構など様々な見どころがあります。
現存する歴史的建造物
江戸城本丸にはかつて天守のほか櫓11棟、多聞11棟、門20数棟がありましたが、度重なる火災により、現在は富士見櫓と富士見多聞の二つだけが現存しています。
富士見櫓は皇居東御苑の南に位置する高さ約16メートルの三重櫓です。江戸城の史跡として唯一残る三重櫓として知られており、1657年(明暦3年)の大火で天守閣とともに焼失しましたが、その2年後に再建されました。再建されることのなかった天守に代わり「代用天守」の櫓ともいわれており、どの方角から見ても同じような形に見えることから「八方正面の櫓」とも呼ばれていました。
富士見多聞は建物内に入って内部を見学することができる貴重な存在です。通常、旧江戸城の建物内に入ることはできませんが、この富士見多聞では特別に内部の見学が可能となっています。
天守台は天守の土台として築かれたもので、日本最高といわれる高さ45メートルの江戸城の天守を支えていました。現在は東西約41メートル、南北約45メートル、高さ11メートルの石積みが残されています。
江戸時代の警備施設「番所」
皇居東御苑には江戸時代の警備施設である番所が3つ残されています。番所とは警備を行う検問所のような場所を指します。
同心番所では同心が江戸城へ登城する大名の供を監視していました。百人番所は本丸・二の丸へ続く大手三之門を警護していた門で、鉄砲百人組と呼ばれる甲賀組、伊賀組、根来組、二十五騎組の同心100人が昼夜交代で警護に当たっていました。大番所は本丸へと通じる中之門警備のための詰所で、最後の番所であり位の高い与力・同心によって警護されていました。
二の丸庭園と三の丸尚蔵館
二の丸庭園は3代目将軍「徳川家光」の時代に二の丸御殿が建立された際、1630年(寛永7年)に二の丸の東側に造成された庭園です。手掛けたのは著名な作庭家・小堀遠州で、現在の二の丸庭園は9代目将軍「徳川家重」の時代に作成された庭園図面をもとに1968年(昭和43年)に復元されたものです。また、上皇陛下のお考えから平成8年(1996年)に整備されたバラ園もあり、日本や中国の野生のバラが植えられています。
三の丸尚蔵館は1993年(平成5年)に開館しました。館内には皇室に受け継がれてきた絵画や書、工芸品などが展示されており、有料で入館することができます。皇室の文化的遺産を間近で鑑賞できる貴重な施設です。
皇居東御苑へのアクセスと入園情報
皇居東御苑には3つの出入口があります。大手町駅方面には「大手門」、竹橋駅方面には「平川門」、そして平川濠を挟み「北桔橋門」が位置しています。
| 出入口 | 最寄り駅・アクセス |
|---|---|
| 大手門 | 各線「大手町」駅C13b出口から徒歩3分、JR「東京」駅丸の内北口から徒歩15分 |
| 平川門 | 東西線「竹橋」駅1a出口から徒歩5分 |
| 北桔橋門 | 平川濠を挟んだ位置 |
入園は無料で、入園の際は各窓口で入園票を受け取り退園の際に返却します。休園日は月曜日と金曜日ですが、天皇誕生日以外の「国民の祝日等の休日」は公開され、月曜日が休日で公開の場合は火曜日が休園となります。12月28日から翌年1月3日までは休園です。入園にあたり手荷物検査が行われるため、手荷物は最小限にするかあらかじめ駅等のコインロッカーに預けることが推奨されています。
「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」イベント詳細
「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」は、宮内庁が皇居東御苑の訪問者に天皇皇后両陛下を始めとした皇室の方々のご活動や皇室に伝わる文化、皇居等に対する理解を深めていただくために企画された周遊型謎解きゲームです。
開催期間は2025年3月18日(火)から2027年3月31日(水)までの約2年間で、期間中は無料で参加できます。会場は皇居東御苑で、予約不要・申し込み不要で気軽に参加することができます。開催時間は皇居東御苑の開園時間に準拠しており9時から17時まで、推奨年齢は12歳以上とされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント名 | 皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock |
| 開催期間 | 2025年3月18日〜2027年3月31日 |
| 会場 | 皇居東御苑 |
| 参加費 | 無料 |
| 予約 | 不要 |
| 開催時間 | 9時〜17時 |
| 推奨年齢 | 12歳以上 |
参加方法とシステム
参加方法は非常にシンプルで、3つのステップで謎解きを楽しむことができます。まず、東御苑内に設置された謎解きパネルを探します。次に、スマートフォンをパネルにかざして謎をゲットします。そして、特設ページに謎が表示されたら謎解きに挑戦するという流れです。
参加にはインターネットに接続可能なスマートフォンが必要です。謎にアクセスするためにはNFCタグか二次元コード(QRコード)の読み取りに対応している必要があります。謎解きキットの用意はなく、参加者のスマートフォン以外に使用するものはありません。地図もメモ帳も必要なく、スマートフォン1台があれば謎解きを楽しめる設計となっています。クイズのボードはスマートフォンをタッチすると謎がスマートフォン画面に表示されるNFCシステムになっており、QRコードでも読み込み可能です。
オープニングイベントの様子
2025年3月17日(月)、イベント開始前日に「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」オープニングイベントが開催されました。日時は2025年3月17日(月)12時から16時30分まで、場所は皇居内窓明館及び皇居東御苑でした。抽選で選ばれた30組53名の参加者が、QuizKnockの伊沢拓司の進行のもと皇居東御苑で謎解きを楽しみました。謎解き後には伊沢拓司と宮内庁職員による解説トークショーも行われ、参加者は皇室の歴史や文化について楽しみながら学ぶことができました。
参加者の感想と体験談
イベント開始後、多くの参加者が体験レポートを公開しています。混雑状況については、大手門からの入場は手荷物検査があり外国人観光客にも人気のスポットであるため混雑しているという報告があります。そのため平川門から入ることを選ぶ参加者もいました。
難易度については様々な感想が寄せられています。「参加無料なだけあってクイズは比較的簡単めだったけれど、手応えがあるのも数問あって、1つはわからなさすぎて妻の補助を受けて解くことができた」という声や、「問題は基本的には簡単だったけど、謎5は解らなくて答えを見ました」という報告があります。東京新聞の皇室担当記者(40歳)も体験し「頭の固さを痛感する結果に」なったとのことです。プレイベントに参加した川合あゆみさん(35歳)は「皇居には入れないと思っていたのでいい機会。日本の知らない文化を理解するきっかけになった」と感想を述べています。全体的な評価として「大人気コンテンツなのに、混雑してなくおすすめ」という声もあり、満足度は高いようです。
参加時の注意事項
参加にあたっていくつかの注意事項があります。大手門に近い謎は混雑していることがありますが、謎解きはどこからでもスタートできるため混雑を避けて挑戦することが推奨されています。また、閉園間際に走って謎解きをするのは危険であるため、時間に余裕をもって訪問することが勧められています。謎解きの問題や解答、解説などをSNSやブログ等インターネットで公開することは遠慮するよう求められています。
宮内庁とQuizKnockのコラボレーションが実現した背景
宮内庁がQuizKnockと協力してこのイベントを企画した背景には複数の要因があります。
第一に、若い世代への発信強化です。QuizKnockのYouTubeチャンネル登録者の約6割が24歳以下と若者に人気があるため、コラボの相手として最適だったとされています。新聞を読まず、テレビも見ず、SNSしか目にしない若者たちに皇室に関する情報を伝えるツールとしてQuizKnockとの連携が効果的と判断されました。
第二に、皇室の正しい情報発信です。フジテレビ皇室担当の橋本寿史解説委員によると「雑誌など皇室にまつわる間違った報道なども多くあり、やはり宮内庁としての正しい情報を一般的に出していかなければいけないというふうに機運が高まりました。SNSの活用、そしてホームページをリニューアルすることで、より新しい情報をタイムリーに出していけるのではないか」と考えたとのことです。
第三に、「開かれた皇室」を目指す取り組みの一環です。皇室記者によると「日頃なかなか国民に伝わりにくい皇室の歴史や現在の活動が題材となるのでしょう。謎解きを通して国民の理解が深まることは両陛下にとってもうれしいこと」とされており、このような大々的かつ新機軸のイベントを行う場合には宮内庁は両陛下の承諾を得ているといいます。名古屋大学大学院准教授の河西秀哉氏は「なぜ日本に皇室があるのか」「どういう活動をしているのか」ということをわかりやすく若い世代に伝えるうえでも意義が大きいと指摘しています。
宮内庁の広報改革とSNS活用
このコラボレーションは宮内庁の広報改革の一環として位置づけられています。宮内庁は16年ぶりとなる公式ホームページの大刷新も行いました。写真のサイズを大きく表示するなどビジュアル面で大きく様変わりし、「見る」「知る」「訪れる」の3つのキーワードに沿う形でコンテンツが閲覧できるように変化しました。辛酸なめ子氏によると「過去には、天皇皇后両陛下がお乗りになった馬車を公開するイベントなどはありましたが、これほどまでにライトなイベントが開催されることはありませんでした」とのことです。
宮内庁は2024年4月から公式インスタグラムの運用を開始しました。開始約1カ月でフォロワーは120万人に達し、「いいね!」が10万を超える投稿も目立ちました。宮内庁は2024年12月12日に半年間の運用結果を公表し、閲覧総数は延べ2億回を超え「いいね」は約1900万件あったと発表しました。若者の関心を高めようと、皇室の活動だけでなく普段は見られない皇居内の鮮やかな動画の投稿にも力を注いでいます。
2025年度予算案には宮内庁から2700万円あまりが計上されており、インスタグラムによる広報をさらに強化していく方針です。広報室の職員も現状の10人から3人増やす予定とされています。2026年度予算の概算要求では関連費目として5300万円を計上しており、2025年度予算のほぼ倍の水準となっています。
ただし課題もあります。フォロワー数の半数以上は中高年層で、13歳から34歳までの割合は17%にとどまっており若年層への浸透にはまだ課題があります。今後は外部の企業や有識者からの知見を得ていくとしています。日本財団の18歳意識調査では、皇室に「関心がある」と答えた人は44.3%、「親しみを持っている」のは46.6%でいずれも半数に届きませんでした。皇室への関心が高まる取り組みとしては「同世代の皇族のSNS発信」27.1%、「天皇皇后のSNS発信」26.0%が多い結果となりました。
周遊型謎解きイベントのトレンドと特徴
近年、周遊型謎解きイベントは大きなブームとなっています。ナゾヒロバには街歩き・周遊型謎解きが563件以上登録されており、多数のイベントが全国各地で開催されています。鉄道会社とのコラボレーション、美術館・博物館での開催、人気アニメ・コンテンツとのタイアップが2024年から2025年のトレンドとして目立っています。
さいたまスーパーアリーナでは「たまーりん謎解きシリーズ」が累計2万人以上参加の大人気イベントとなっており、第一弾と第二弾の再演も決定しています。箱根彫刻の森美術館では2024年11月からアート作品と結びついた謎解きイベントが開催されており、ファンタジックなストーリーと美術館の屋外展示エリアを周遊する内容となっています。関西では「ひとつなぎの謎」が4年目を迎え、関西10鉄道が繋がるビッグプロジェクトにパワーアップしています。
現代の周遊型謎解きイベントにはいくつかの特徴があります。まず、スマートフォンの活用です。従来の紙のキットを使った謎解きからスマートフォンのみで参加できるイベントが増えており、「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」もこの形式を採用して手軽に参加できる点が好評です。次に、観光との融合です。謎解きを通じてその土地の歴史や文化を学べるよう設計されており、単なるゲームではなく教育的価値も持っています。また、長期開催が増えている点も特徴で、「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」は約2年間という長期開催により参加者が自分のペースで訪問できるようになっています。
このコラボレーションの社会的意義
「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」は、皇室と国民との距離を縮める重要な取り組みです。皇居は日本の象徴的な場所でありながら、多くの国民にとって「入れない場所」「遠い存在」というイメージがありました。しかしこのイベントを通じて、皇居東御苑を訪れ皇室の歴史や文化に触れるきっかけが生まれています。参加者の「皇居には入れないと思っていたのでいい機会」という声が示すように、このイベントは皇室への心理的なハードルを下げる効果があります。
特に若い世代に対して日本の歴史や皇室の文化を伝えることは重要な課題です。QuizKnockという若者に人気のメディアとコラボレーションすることで、普段は皇室に関心を持たない層にもアプローチできます。「楽しいから始まる学び」というQuizKnockのコンセプトはまさにこの目的に合致しており、堅苦しい歴史学習ではなく謎解きという遊びを通じて自然と皇室の文化や歴史に触れることができます。
このコラボレーションは官公庁の広報活動における新しいあり方も示しています。従来の一方的な情報発信ではなく、国民が能動的に参加し体験を通じて理解を深めるという双方向的なコミュニケーションが実現されています。また、民間の人気コンテンツとの連携によりより多くの人々に情報を届けることができる点も重要です。宮内庁単独では到達できなかった層に対してQuizKnockのネットワークを通じてアプローチすることが可能となっています。
まとめ
「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」は、宮内庁とQuizKnockという異色の組み合わせによる画期的なコラボレーション企画です。このイベントは単なる謎解きゲームにとどまらず、皇室の文化や歴史を若い世代に伝え、皇室と国民との距離を縮めるという重要な社会的意義を持っています。
QuizKnockの「楽しいから始まる学び」というコンセプトと、宮内庁の「開かれた皇室」を目指す姿勢が見事に融合した本企画は、今後の官民連携のモデルケースとなりうるものです。2027年3月31日までの約2年間、皇居東御苑で無料開催されているこのイベントは、日本の歴史と文化に触れる絶好の機会です。
東京を訪れる際には、スマートフォンひとつで参加できる「皇居を巡る謎解きの旅 with QuizKnock」で、江戸城の歴史や皇室の文化を体感してみてはいかがでしょうか。12歳以上であれば誰でも参加でき、予約も不要です。謎解きを楽しみながら、普段はなかなか触れることのできない皇室の世界を身近に感じることができる、貴重な体験が待っています。


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