子育て応援手当と重点支援給付金の違いは?併給条件と申請方法を解説

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子育て応援手当と重点支援給付金は、どちらも物価高騰対策として支給される給付金ですが、制度の目的と対象者が大きく異なります。子育て応援手当は所得制限なしで全ての子育て世帯が対象となり、重点支援給付金は住民税非課税世帯などの低所得世帯のみが対象となります。両方の条件を満たす世帯であれば、併給(両方を受け取ること)が可能です。

2026年春に支給される「物価高対応子育て応援手当」と、2024年から2025年にかけて実施された「重点支援給付金の子ども加算」は、いずれも児童一人あたり2万円という金額のため混同されやすくなっています。しかし、前者は全ての子育て世帯への支援であり、後者は低所得世帯への生活防衛策として位置づけられており、それぞれ独立した別制度です。この記事では、両制度の違いを詳しく解説し、どのような世帯がどの給付金を受け取れるのか、併給の条件や申請が必要なケースについて具体的にお伝えします。

子育て応援手当と重点支援給付金とは

子育て応援手当と重点支援給付金は、いずれも物価高騰から家計を守るために創設された国の給付金制度です。名称が似ているうえに、どちらも「児童一人あたり2万円」という金額が設定されているため、同じ制度と誤解されがちですが、その性質は全く異なります。

物価高対応子育て応援手当の概要

物価高対応子育て応援手当は、2025年11月21日に閣議決定された「『強い経済』を実現する総合経済対策」に基づき、2026年春に支給が開始される新しい給付金です。最大の特徴は所得制限が設けられていない点にあります。つまり、親の年収に関わらず、0歳から18歳(高校生年代)までの児童を養育する全ての世帯が支給対象となります。

この手当の対象となる児童は、平成19年(2007年)4月2日から令和8年(2026年)3月31日までに生まれた方です。2026年3月に高校を卒業予定の生徒も、卒業直前のタイミングで支給対象となるため、幅広い年代の子どもがカバーされています。支給額は児童一人あたり一律2万円であり、3人の子どもがいる世帯であれば合計6万円を受け取ることができます。

政府がこの手当を創設した背景には、2024年10月に実施された児童手当制度の改正があります。この改正により児童手当の所得制限が撤廃され、高校生までが対象に拡大されました。物価高対応子育て応援手当もこの児童手当の仕組みを活用することで、迅速な支給を実現しようとしています。

重点支援給付金と子ども加算の概要

重点支援給付金は、主に令和6年度(2024年度)から令和7年度(2025年度)にかけて実施された、住民税非課税世帯などの低所得世帯を対象としたセーフティネット施策です。物価高騰の影響を最も強く受ける層に対して、生活必需品の購入などを支援する目的で現金給付が行われました。

この給付金は二階建ての構造となっており、まず世帯単位で基本給付(1世帯あたり3万円など)が支給され、さらに18歳以下の児童がいる世帯には「子ども加算」として児童一人あたり2万円または5万円が上乗せされる仕組みでした。子育て応援手当の「2万円」と混同されやすいのは、この子ども加算の金額が同じであるためです。

重要な点として、重点支援給付金は多くの自治体で既に申請受付を終了しています。神戸市では2025年12月26日時点で事業終了が明記されており、葛飾区や市原市なども2025年夏頃に受付を締め切りました。したがって、2026年初頭の現時点において、重点支援給付金をこれから新たに申請することは基本的にできません。

子育て応援手当と重点支援給付金の違いを比較

両制度の違いを正確に理解することが、自分がどの給付金を受け取れるのかを判断するうえで重要です。ここでは主要な違いを項目ごとに詳しく解説します。

対象世帯の違い

子育て応援手当と重点支援給付金における最も大きな違いは、支援の対象となる世帯の範囲です。

子育て応援手当は「普遍主義」的なアプローチを採用しており、親の所得に関係なく子どもがいれば支給されます。年収1,000万円を超える高所得世帯も、生活保護を受給している世帯も、等しく対象となります。

一方、重点支援給付金は「選別主義」に基づいており、住民税非課税世帯や均等割のみ課税世帯といった低所得世帯に限定されています。一般的なサラリーマン世帯や共働き世帯の多くは対象外となります。住民税非課税世帯の所得目安は、単身世帯で年収100万円以下程度であり、かなり厳格な要件が設けられています。

支給金額と単位の違い

支給金額の計算方法にも違いがあります。子育て応援手当は児童単位で支給され、児童一人あたり一律2万円です。子どもの人数が多いほど受け取れる金額も増えます。

重点支援給付金は世帯単位の基本給付と児童単位の加算を組み合わせた構造です。基本給付として1世帯あたり3万円(過去には7万円や10万円のケースもありました)が支給され、それに加えて子ども加算として児童一人あたり2万円が上乗せされます。

比較項目子育て応援手当重点支援給付金
対象世帯全ての子育て世帯住民税非課税世帯等
所得制限なしあり
支給単位児童単位世帯+児童
支給額児童一人2万円世帯3万円+児童一人2万円
実施時期2026年春2024年〜2025年(終了)

制度の目的の違い

両制度は、その政策目的においても明確な違いがあります。

重点支援給付金は「生活を守る」ことを主眼としています。電気代やガス代、食費の高騰により日々の生活が立ち行かなくなることを防ぐための緊急避難的な資金として位置づけられています。

子育て応援手当は「成長を応援する」という意味合いが強く、物価高の中でも子どもの教育や体験の機会が損なわれないようにするための投資的な性格を持っています。使途は自由ですが、子どものために使われることが期待されています。

申請手続きの違い

手続き面でも両者は異なる特徴を持っています。

子育て応援手当は児童手当の仕組みを流用するため、多くの世帯で申請不要(プッシュ型)となっています。自治体が既に把握している児童手当の振込口座に自動的に入金される仕組みです。ただし、公務員世帯や高校生のみの世帯など、一部のケースでは申請が必要となります。

重点支援給付金は多くの自治体で「確認書」の返送が必要でした。これは、課税状況や扶養関係など自治体側で確認すべき事項が複雑であったためです。現在は申請受付が終了している自治体がほとんどです。

子育て応援手当と重点支援給付金は併給できるのか

「両方の給付金をもらえるのか」という疑問を持つ方は多いでしょう。結論として、要件を満たす世帯は両方を受給できます。これは不正受給や二重取りには該当せず、制度の趣旨が異なるため正当に認められている権利です。

併給が可能となる条件

併給が成立するのは、以下の二つの条件を同時に満たす世帯です。一つ目は、住民税非課税世帯等の低所得世帯であることです。二つ目は、18歳以下の児童を養育していることです。

このような世帯は、まず「低所得世帯」として重点支援給付金(世帯給付+子ども加算)を受け取る権利があります。そして同時に、「子育て世帯」として物価高対応子育て応援手当を受け取る権利も有しています。政府や自治体の資料において、これらの給付金を調整(減額)する旨の記述は存在しません。物価高の影響を最も強く受けるこの層に対して、重層的な支援を行うことが政策的に意図されています。

併給した場合の受給額シミュレーション

具体的な金額をシミュレーションしてみましょう。児童2人(中学生と小学生)を養育する住民税非課税のシングルマザー世帯を例とします。

重点支援給付金として、世帯給付3万円と子ども加算4万円(2万円×2人)の合計7万円を受け取ることができました(2024年〜2025年に実施)。さらに、物価高対応子育て応援手当として、児童給付4万円(2万円×2人)を2026年春に受け取ることができます。両方を合わせると合計11万円の支援となります。

低所得の子育て世帯にとって、この併給は大きな経済的支援となります。「以前もらったから今回は対象外だろう」と誤解して申請を怠ると、本来受け取れるはずの給付金を逃してしまうリスクがあるため注意が必要です。

併給できないケース

一方で、併給の対象とならないケースも明確にしておきましょう。

課税世帯の場合は、重点支援給付金の対象ではないため、受け取れるのは子育て応援手当のみです。住民税が課税されている一般的な所得の世帯では、児童一人あたり2万円の子育て応援手当だけが支給対象となります。

生活保護世帯の場合は、基本的に住民税非課税世帯として扱われるため、併給が可能です。さらに、これらの給付金は「収入認定除外」となることが通例であり、保護費を減額されることなく受け取れるメリットがあります。

子育て応援手当の支給スケジュールと申請方法

2026年春に支給される子育て応援手当について、具体的なスケジュールと申請方法を解説します。

申請不要で受け取れる世帯

大多数の子育て世帯は申請手続きが不要です。基準日(多くの自治体で令和7年9月30日)時点で、その自治体から児童手当を受給している世帯が該当します。自治体は既に児童手当の振込口座情報を保有しているため、その口座に自動的に振り込む処理を行います。事前に「支給のお知らせ」というハガキが届き、振込予定日が通知されます。中学生以下の子どもを持つ世帯の大部分はこの申請不要の対象となります。

申請が必要となる世帯

一方で、以下のケースに該当する場合は自ら申請を行わなければ受給できません。

公務員世帯は特に注意が必要です。公務員の児童手当は勤務先から支給されているため、居住地の自治体は口座情報を把握していません。居住地自治体に対して、所属庁が発行する受給証明書等を添付して申請する必要があります。職場での証明書発行に時間がかかる場合があるため、早めに準備を始めることをお勧めします。

高校生のみの世帯も申請が必要となる可能性があります。2024年10月の制度改正以前に児童手当の対象外であった世帯で、改正後の申請を行っていない場合は、自治体に情報がないため手続きが必要です。ただし、改正後に申請済みであれば自動振込の対象となる場合もあります。

新生児がいる世帯については、基準日以降に生まれた児童は出生届および児童手当認定請求と同時に処理されることが多いですが、タイミングによっては別途申請が必要な場合があります。

転入者は、基準日以降に引っ越してきた場合、前の自治体から支給されるのか新しい自治体から支給されるのかを確認し、必要に応じて手続きを行う必要があります。

主要自治体の支給スケジュール

各自治体の公表情報に基づくと、2026年2月が支給のピークとなると予測されます。

東京都八王子市は令和8年1月29日に支給開始と比較的早い対応となっています。振込名義は「ハチオウジシコソダテオウエンテアテ」で表示されます。東京都目黒区は令和8年1月下旬以降の支給で、公務員や申請が必要な方の締切は令和8年4月30日です。東京都品川区は令和8年2月上旬頃の支給予定で、申請期限は令和8年4月20日必着となっています。

愛知県豊田市は令和8年2月27日の支給予定で、申請期限は令和8年3月31日必着です。広島県東広島市は令和8年2月下旬頃の支給を予定しており、公務員には別途案内が送付される予定となっています。鹿児島県鹿児島市は令和8年2月下旬の支給予定で、申請受付は令和8年1月26日から開始されています。

このように、申請期限は多くの自治体で2026年3月末から4月末に設定されています。この期間を逃すと受給権を失うリスクがあるため、早めの確認と手続きが重要です。

DV避難者や離婚協議中の方の手続き

特殊な事情がある場合の手続きについても把握しておく必要があります。

DV避難者の場合

DVなどで住民票を移さずに避難している場合、そのままでは加害者(世帯主)の口座に給付金が振り込まれてしまう恐れがあります。この問題を防ぐため、避難先の自治体へ「申出書」を提出することで、避難先で給付金を受け取ることが可能です。

申出の際には、配偶者からの暴力に関する証明(保護命令、婦人相談所の証明など)があれば認められるケースがあります。避難先で児童手当の受給者変更手続きを行っていることが望ましいですが、それがまだの場合でも相談に応じてもらえます。加害者に先に受け取られてしまう前に、できるだけ早く避難先自治体の窓口に相談することが推奨されています。

離婚協議中・別居中の場合

原則として、給付金は基準日時点の児童手当受給者に支払われます。通常は所得が高い方の親が受給者となっています。

別居して子どもを実際に育てている側が児童手当の受給者変更を済ませていない場合、別居中の配偶者に振り込まれてしまう可能性があります。基準日以降に離婚が成立したり、児童手当の受給者を変更した場合は、申請により新しい受給者に支給される可能性がありますが、元の受給者に既に支給された後では自治体からの二重支給は行われません。離婚協議中の方は、まず児童手当の受給者変更手続きを最優先で進めることをお勧めします。

重点支援給付金の実施状況と注意点

重点支援給付金は既に終了または終了間近の制度ですが、参考情報として実施状況をまとめます。

申請受付の終了状況

多くの自治体では令和6年度の重点支援給付金に関する事務を2025年の夏から秋にかけて終了しています。神戸市では2025年12月26日時点で「本給付金事業は終了しました」と明記されています。葛飾区も「受付終了」と表示され、令和7年7月頃に締め切られました。市原市は令和7年7月31日で受付を終了しています。

したがって、2026年初頭の現時点で重点支援給付金をこれから受け取れるのは、事務手続きが遅れている一部の自治体か、期限内に申請を行っていたケースに限られます。多くの方にとって、重点支援給付金は「過去の給付金」となっています。

過去に申請を忘れた方への対応

重点支援給付金の申請を忘れていた方については、残念ながら申請期限が過ぎてしまっている場合、受け取ることは困難です。ただし、自治体によっては特別な事情がある場合に個別対応を行っているケースもあるため、心当たりのある方は一度お住まいの自治体窓口に問い合わせてみることをお勧めします。

一方で、2026年春に支給される子育て応援手当は全く別の制度であるため、重点支援給付金を受け取っていない世帯であっても、子どもがいれば子育て応援手当は受給できます。混同せずに、新しい給付金の情報を確認することが大切です。

給付金に関するよくある疑問への回答

子育て応援手当と重点支援給付金について、多くの方が抱きやすい疑問についてお答えします。

案内ハガキが届かない場合

支給対象であるにも関わらず案内ハガキが届かないケースがあります。公務員の場合は元々自治体にデータがないため案内が届きません。住所変更の手続きが遅れている場合や、自治体の発送作業が遅れているだけの可能性もあります。2月になっても届かない場合は、住んでいる自治体の子育て支援課へ問い合わせることをお勧めします。特に高校生のみの世帯は自治体にデータがない可能性があるため注意が必要です。

課税の取り扱いについて

子育て応援手当も重点支援給付金も、法律により非課税所得として扱われます。受け取った給付金は所得税や住民税の計算対象とならず、確定申告に含める必要はありません。また、これらの給付金は差押禁止財産でもあるため、借金の滞納等があっても給付金自体を差し押さえることは法律で禁止されています。

出産予定の方について

令和8年(2026年)3月31日までに生まれた子どもであれば、子育て応援手当の対象となります。ただし、出生届の提出タイミングによっては支給が4月以降にずれ込むことや、別途申請が必要になることがあります。出産後は速やかに出生届と児童手当の認定請求を行うことで、給付金の受給もスムーズに進みます。

児童手当の口座を解約した場合

児童手当の振込口座を解約してしまった場合は、至急自治体に連絡する必要があります。多くの自治体では口座変更の届出期限を設けており、振込不能となると確認書による再手続きが必要となります。その場合、支給が数ヶ月単位で遅れる可能性があるため、口座変更は早めに届け出ることが重要です。

制度を賢く活用するためのポイント

最後に、両制度を正しく理解し、受給漏れを防ぐためのポイントをまとめます。

自分の世帯がどちらに該当するか確認する

まず確認すべきは、自分の世帯が「低所得世帯」に該当するかどうかです。住民税が非課税または均等割のみ課税されている世帯であれば、重点支援給付金(既に実施済み)と子育て応援手当の両方の対象となり、併給が可能でした。住民税が課税されている世帯の場合は、子育て応援手当のみが対象となります。

住民税の課税状況は、毎年6月頃に届く「住民税決定通知書」で確認できます。不明な場合は、お住まいの市区町村の税務課に問い合わせることで教えてもらえます。

申請が必要かどうか確認する

子育て応援手当については、大多数の世帯は申請不要で自動的に振り込まれます。しかし、公務員世帯、高校生のみの世帯、最近引っ越した世帯、離婚等の事情がある世帯は申請が必要となる可能性があります。

「自分は何もしなくても振り込まれるのか」「自分で動かないともらえないのか」を正確に把握することが、受給漏れを防ぐ鍵となります。不安な場合は、1月下旬から2月にかけて届く予定の案内を確認するか、自治体の窓口に問い合わせることをお勧めします。

申請期限を守る

申請が必要な方にとって最も重要なのは、申請期限を厳守することです。多くの自治体で2026年3月末から4月末が締切となっています。この期限を過ぎると、予算執行の都合上、受給できなくなる可能性が極めて高くなります。

特に公務員の方は、職場での証明書発行に時間がかかることがあるため、2月中には手続きを開始することを強くお勧めします。新学期の準備で忙しくなる時期ですが、給付金の手続きも忘れずに行いましょう。

誤解による申請漏れを防ぐ

「以前給付金をもらったから、今回は対象外だろう」という誤解は最も避けるべきです。重点支援給付金と子育て応援手当は別制度であり、両方の条件を満たせば両方受け取ることができます。二重取りではなく、正当な権利として認められています。

また、「うちは所得があるから対象外だろう」という思い込みも危険です。子育て応援手当には所得制限がないため、年収が高い世帯でも子どもがいれば必ず支給対象となります。

物価高騰が続く中、国や自治体からの支援は家計にとって貴重なものです。制度を正しく理解し、受け取れる給付金は確実に受け取って、子育てに役立てていただければと思います。詳細や最新情報については、必ずお住まいの自治体の公式ホームページや窓口で確認することをお勧めします。

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