個人向け国債2026年の金利を比較|変動10年と固定5年どちらを選ぶべきか

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2026年1月時点における個人向け国債の金利は、変動10年が1.23%、固定5年が1.35%となっています。日銀の利上げにより約30年ぶりの高水準を記録しており、長らくゼロ金利に張り付いていた時代とは様相が一変しました。両者の金利差は0.12%と一見すると固定5年が有利に見えますが、今後の金利上昇局面を考慮すると、変動10年を選ぶ方が合理的な判断となるケースが多いです。

2025年12月19日に日銀が政策金利を0.75%へ引き上げたことを受け、個人向け国債の利回りは劇的に上昇しました。かつて0.05%という最低保証金利に張り付いていた商品が、今や1%を大きく超える水準で推移しています。この歴史的な転換点において、変動10年と固定5年のどちらを選ぶべきかは、多くの個人投資家にとって重要な判断となっています。本記事では、両商品の仕組みから具体的な選び方、中途換金のルール、証券会社のキャンペーン活用術まで、2026年の金利環境を踏まえて詳しく解説します。

個人向け国債とは何か

個人向け国債は、日本国が発行し財務省が募集する個人投資家専用の国債です。通常の国債は市場で売買されるため価格変動リスクがありますが、個人向け国債は国が額面での買い取りを保証しているため、元本割れの心配がありません。この「元本保証」という特性は、銀行預金と同等以上の安全性を持つ金融商品として位置づけられています。

現在発行されている個人向け国債は3種類あります。変動金利型の10年満期、固定金利型の5年満期、そして固定金利型の3年満期です。このうち2026年1月時点で最も注目されているのが、変動10年と固定5年の2つです。固定3年も存在しますが、利率が1.10%と他の2商品に比べて低いため、特別な資金使途がある場合を除いて積極的な選択肢にはなりにくい状況となっています。

個人向け国債の大きな特徴として、発行から1年経過すれば1万円単位でいつでも中途換金できる点が挙げられます。この柔軟性は、一般的な定期預金や市場で売買される債券にはない大きなメリットです。

2026年1月の金利水準と背景

日銀の利上げがもたらした変化

2025年12月18日から19日にかけて開催された金融政策決定会合において、日銀は政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%程度から0.75%程度へと引き上げました。この0.75%という水準は、1995年以来の高水準となります。

植田和男総裁は記者会見で、実質金利が依然として大幅なマイナス圏にあることを強調しました。これは現在の金利水準がまだ「緩和的」であることを意味しており、景気を熱しも冷やしもしない「中立金利」の水準に向けて、今後も利上げの余地が残されていることを示唆しています。中立金利は推計で1.0%から2.5%程度とされており、現在の0.75%からさらなる上昇が見込まれています。

長期金利への波及

政策金利の引き上げは、即座に債券市場全体へ波及しました。個人向け国債の変動10年の基準となる10年物国債利回りは、2026年1月初旬時点で2.1%近辺まで上昇しています。将来の短期金利の予想と期間プレミアムで構成される長期金利は、日銀の継続的な利上げ観測を織り込む形で上昇を続けています。

各商品の具体的な金利

2026年1月募集分の利率は以下の通りです。変動10年(第189回債)は初回適用利率1.23%となりました。これは前月の1.10%から0.13ポイントの大幅上昇です。固定5年(第177回債)は1.35%で、前月の1.19%から0.16ポイント上昇しています。固定3年(第187回債)は1.10%となっています。

メガバンクの定期預金金利が利上げ後でも0.3%から0.5%程度にとどまっている現状を考えると、個人向け国債の利回りは無リスク資産としては破格の高水準と言えます。

変動10年の仕組みと特徴

金利計算式「基準金利×0.66」の意味

変動10年は、半年ごとに適用利率が見直される変動金利型の商品です。その計算式は「基準金利×0.66」と定義されています。基準金利とは、利子計算期間開始時の前月に行われた10年固定利付国債の入札結果から算出される複利利回りです。

なぜ市場金利の66%しか受け取れないのかという疑問は、この商品の本質に関わります。通常の10年国債は市場で売却しない限り中途換金できませんが、個人向け国債は国が元本での買い取りを保証しています。また、金利が上昇すればクーポンも増えるという変動金利の性質を持っています。これらの「個人投資家に有利な条件」を付与するためのコストとして、市場金利の34%分が差し引かれていると解釈できます。

金利上昇のメリットを享受できる構造

変動10年の最大の魅力は、将来の金利上昇に追随できる点です。半年ごとの利払いのタイミングで、その時点の市場金利を反映した新しい利率が適用されます。現在の長期金利が2.1%程度であることを考えると、計算上は約1.38%程度となりますが、発行条件決定のタイミングと市場変動との間にタイムラグが生じるため、実際の適用利率は1.23%となっています。

今後、日銀がさらなる利上げを実施すれば、長期金利も上昇し、それに連動して変動10年の適用利率も上がっていきます。例えば長期金利が2.3%程度に上昇すれば、変動10年の利率は約1.51%となります。長期金利が3.0%に達すれば、変動10年の利率は1.98%にまで上昇する計算です。

インフレヘッジ機能

不確実な経済環境において、変動10年が持つインフレヘッジ機能は極めて高い価値を持ちます。物価が上昇すれば通常は金利も上昇するため、変動10年の利率も追随して上がります。固定金利型では物価上昇に伴う購買力の低下を防げませんが、変動金利型であればある程度のインフレ追随が期待できます。

固定5年の仕組みと特徴

金利計算式「基準金利−0.05%」の優位性

固定5年は、発行時に決定された利率が5年間変わらない固定金利型です。計算式は「基準金利−0.05%」となっています。基準金利は市場実勢利回りを基にした期間5年の想定利回りです。

注目すべきは、変動10年が「0.66掛け」であるのに対し、固定5年は「0.05%引く」だけである点です。これは固定5年の方が市場金利をよりダイレクトに反映できる設計になっていることを意味します。この計算式の違いが、現在の「固定5年の方が利率が高い」という逆転現象を生み出している要因です。

確定利回りの安心感

固定5年の最大のメリットは、購入時点で5年間の収益が確定する点です。1.35%という利率が5年間保証されるため、将来金利がどう動こうとも、計画通りの利息収入を得ることができます。

例えば1,000万円を投資した場合、毎年13万5,000円(税引前)の利息を受け取れます。5年間の合計は67万5,000円となり、この金額が購入時点で確定します。教育資金や住宅購入の頭金など、確実に必要な時期が決まっている資金の運用には適した選択肢です。

金利上昇時の機会損失リスク

一方で、固定5年には金利上昇時の機会損失リスクがあります。もし今後2年で市場金利が大幅に上昇した場合、固定5年を選んだ投資家は1.35%という相対的に低い金利に5年間縛られることになります。変動10年を選んでいれば、金利上昇の恩恵を受けられたはずです。このリスクを「逆張り」と捉えるか、「確実性」と捉えるかが、投資家の判断の分かれ目となります。

変動10年と固定5年を徹底比較

表面利回りだけでは判断できない理由

2026年1月現在、投資家を悩ませている最大のパラドックスは、長期(10年)の商品である変動10年の初回利率1.23%が、中期(5年)の商品である固定5年の利率1.35%よりも低いという逆転現象です。通常、期間が長いほど金利は高くなるはずですが、変動10年の「0.66掛け」という計算式がこの逆転を生み出しています。

現時点の数字だけを見れば、固定5年が有利に見えます。しかし、この比較は「今後金利が全く上がらない」という前提に立っています。日銀が「利上げ継続」を示唆している現状において、この前提は現実的とは言えません。

金利上昇シナリオでの損益分岐点

金利がどれくらい上がれば変動10年が固定5年を逆転するのかを分析します。変動10年の金利は半年ごとに見直されるため、現在の1.23%からスタートして徐々に上がっていけば、平均利回りが1.35%を超えた時点で固定5年をアウトパフォームします。

緩やかな利上げシナリオとして、政策金利が1年間に0.25%から0.5%程度上昇した場合を想定します。それに伴って長期金利も上昇すれば、変動10年の適用利率は1年から2年以内に1.4%から1.5%台に乗ってくる可能性が高いです。このペースで上昇すれば、保有期間2年から3年の時点で損益分岐点を迎えます。

急速な利上げシナリオとして、インフレが予想以上に粘着し日銀が利上げを加速させた場合は、変動10年の利率は急速に2%台を目指すことになります。こうなれば、固定5年を選んだ投資家の機会損失は一層大きくなります。

多くの分析が示すところによれば、「今後2年以内に政策金利があと1回から2回引き上げられれば、変動10年の方が有利になる」という見方が支配的です。現在の日銀のスタンスを鑑みれば、この条件が満たされる確率は高いと考えられます。

比較表

項目変動10年固定5年
2026年1月利率1.23%1.35%
金利タイプ変動(半年ごと見直し)固定(5年間一定)
計算式基準金利×0.66基準金利−0.05%
金利上昇時利率も上昇変わらず
金利下落時利率も下落(最低0.05%保証)変わらず
インフレ対応追随可能追随不可
推奨ケース2年以上保有予定確実性重視

資金使途別の最適な選び方

1年以内に使う資金

個人向け国債は発行から1年間、原則として中途換金ができません。災害や相続などの特例を除き資金がロックされるため、1年以内に使う可能性のある資金での購入は避けるべきです。この場合は、高金利のネット銀行の普通預金や定期預金を活用するのが賢明です。

2年から3年後に使う資金

この期間の資金運用には変動10年が推奨されます。固定3年の利率1.10%は変動10年の初回利率1.23%よりも低いため、変動10年を購入して3年後に中途換金した方が有利です。金利が上がらなかったとしても変動10年の方が高く、金利が上がればさらに差が開きます。

5年後に使う資金

5年という期間は判断が分かれるところです。教育資金などで「絶対に額面を減らせない」「計画を狂わせたくない」という場合は、固定5年で1.35%を確定させる安心感が得られます。一方で、5年の間にインフレが進むリスクを懸念するなら、変動10年でインフレ追随を狙うのが合理的です。

10年以上の長期運用

期間が長くなるほど、固定金利のリスクは高まります。インフレ負けや金利上昇時の機会損失を考慮すると、10年のスパンでは市場金利に連動する変動10年が最も理にかなった選択となります。

中途換金の仕組みを正しく理解する

ペナルティの計算方法

個人向け国債を中途換金する際のペナルティについて、多くの投資家が誤解しています。発行から1年経過すれば、いつでも1万円単位で中途換金が可能です。その際の中途換金調整額は「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」で計算されます。

0.79685という係数は「1−0.20315(税率)」です。つまりこの式が意味しているのは、「直近1年間に受け取った利子の手取り額相当を国に返還する」ということです。

元本は絶対に割れない

最も重要な事実は、ペナルティは過去の受取利子から相殺されるだけであり、元本には一切手を付けられないということです。例えば100万円を預けて1年分の利子を受け取った後に解約する場合、受け取った利子分を返還する形になるため、手元に残るのは元本100万円そのままです。

市場で売買される利付国債であれば、金利上昇時には債券価格が下落し、売却すれば元本割れが発生します。しかし、個人向け国債はこの価格変動リスクを国が完全に吸収してくれます。「いつでも元本100%で換金でき、金利上昇のメリットだけ享受できる」という特権的な条件は、個人投資家だけに許された特典なのです。

効率的な解約タイミング

ペナルティの計算は「直前2回分」の利子に基づくため、金利が急上昇した直後に解約すると、高い金利がペナルティ計算に含まれてしまいます。最も効率が良いのは利払日の直後に解約することです。また、金利上昇局面では、すぐに解約して別商品に乗り換えるよりも、変動10年をそのまま持ち続けて適用利率が上がるのを待つ方が得策であるケースが多いです。

購入チャネルで差がつくキャンペーン活用術

銀行ではなく証券会社で購入すべき理由

個人向け国債は郵便局、都市銀行、地方銀行、証券会社などで購入可能ですが、銀行窓口での購入は推奨できません。銀行は国債販売による手数料収入が少なく、積極的なキャンペーンを行っていないことが多いためです。

対照的に、大手証券会社はSMBC日興証券、大和証券、野村證券など、顧客の資産を自社口座に取り込むためのフックとして個人向け国債を活用しており、手厚い現金プレゼントキャンペーンを実施しています。

キャンペーンの具体的な内容

主要証券会社のキャンペーン内容は概ね以下の通りです。購入額100万円以上で100万円ごとに1,000円から2,000円程度の現金プレゼントが受けられます。購入額1,000万円以上になると還元率がアップし、さらに高額なキャッシュバックが設定されるケースが多いです。

実質利回りの計算

例えば「100万円購入で2,000円プレゼント」という条件の場合、購入額の0.2%に相当します。変動10年(1.23%)を100万円購入し2,000円を受け取った場合、初年度の収益は受取利子12,300円(税引前)にキャッシュバック2,000円を加えた14,300円となり、実質利回りは1.43%となります。

この実質利回り1.43%は、固定5年の表面利率1.35%を初年度から上回っています。つまり「変動10年をキャンペーン付きで購入する」ことは、固定5年との金利差を埋め、さらに金利上昇のオプションまで手に入れる最強の戦略となるのです。

ネット証券もキャンペーンを実施していますが、大手対面証券に比べると還元率が低い傾向があります。100万円以上のまとまった資金を動かすのであれば、大手証券会社のキャンペーンを利用するのが数理的に正解です。大手証券でも店舗に行かずにネットで口座開設から購入まで完結できるようになっています。

税制メリットを最大限活用する方法

源泉分離課税の仕組み

個人向け国債の利子には、受取時に20.315%(所得税+復興特別所得税+住民税)の税金が源泉徴収されます。特定口座(源泉徴収あり)を利用していれば確定申告は不要です。

株式投資などで損失が出ている場合は、確定申告を行うことで国債の利子所得と株式の譲渡損失を損益通算し、払いすぎた税金を取り戻すことができます。

マル優・特別マル優の活用

身体障害者手帳をお持ちの方や遺族年金を受給されている方などは、「マル優」と「特別マル優」を利用できます。マル優は預貯金等の元本350万円まで非課税、特別マル優は国債・地方債の額面350万円まで非課税となります。

この二つは別枠です。対象となる方は、預金350万円と国債350万円を合わせた合計700万円までの元本に対する利子を非課税で受け取れます。金利1.35%で350万円を運用した場合、年間利子は47,250円です。通常なら約9,600円が税金として引かれますが、特別マル優を使えばこれがゼロになります。5年間で約48,000円の手取り差が生じます。

リスクと安全性の正しい理解

国債のデフォルトリスクについて

「日本は借金大国だから国債は危ない」という意見もありますが、自国通貨建て国債がデフォルトに陥るリスクは、現状の国際金融システムにおいては極めて低いと考えられています。格付け機関による評価も先進国の中では相対的に安定しています。

むしろ銀行預金における「ペイオフ」のリスクを考慮すべきです。銀行が破綻した場合、保護されるのは元本1,000万円とその利息までです。しかし個人向け国債は、購入した金融機関が破綻しても、権利は保護預かり機関を通じて保全されており、国が存続する限り元本と利子は支払われます。1,000万円を超える高額資金の避難先としては、銀行預金よりも個人向け国債の方が構造的に安全性が高いと言えます。

インフレリスクへの対応

最大のリスクはインフレです。金利が1.23%でも物価が2%上がれば、お金の実質的な価値は目減りします。しかし現時点で「確実に元本が保証され、かつインフレ率と同等のリターンが得られる金融商品」は存在しません。

個人向け国債、特に変動10年は「元本を絶対に守りながら、インフレにある程度追随できる金融商品」として、資産防衛ポートフォリオの土台を担う役割があります。2025年度のコアCPIは前年比プラス2.4%程度で着地する見込みですが、2026年度については1.6%程度まで鈍化するという予測と、2%程度を維持するという予測に分かれています。

仮にインフレ率が1.6%に落ち着くのであれば、固定5年の利率1.35%(税引後約1.08%)では購買力維持という意味でギリギリの攻防となります。しかしこれまでのような「インフレ2%・金利0.05%」という絶望的な格差からは脱却しており、個人向け国債は「現金の価値を目減りさせないための防波堤」としての機能を回復しつつあります。

2026年に個人向け国債を選ぶべき人

変動10年が適している人

今後の金利上昇を見込んでいる投資家は変動10年が適しています。2年以上の保有を予定している場合、インフレリスクに備えたい場合、証券会社のキャンペーンを活用できる場合は特に有効です。また、将来の金利動向が読めないが上振れの可能性に賭けたいという方にも向いています。

固定5年が適している人

5年後に確実に必要な資金がある場合は固定5年が適しています。金利変動に一喜一憂したくない方、今後金利が下がる可能性もあると考える方、計画性を重視する方には安心感のある選択です。

まとめと具体的なアクションプラン

2026年1月、日銀の利上げにより個人向け国債は「眠っていた資産」から「有力な投資対象」へと変貌を遂げました。変動10年1.23%、固定5年1.35%という水準は、近年のゼロ金利時代を知る世代にとっては衝撃的な高利回りです。

本記事の分析に基づく結論として、最も推奨される選択は変動10年です。今後も利上げが予想される局面において金利上昇の恩恵を受けられること、証券会社のキャンペーンを加味すれば初年度から固定5年以上の実質利回りを確保できる可能性が高いこと、1年経てば実質的に「高利回りの貯金」として機能することが理由として挙げられます。

「2年以上保有するつもりなら、目先の0.12%の差を捨ててでも変動10年を選ぶ」というのが、確率論的に最も合理的な戦略となります。

具体的なアクションとしては、まず銀行口座に眠っている「当面1年以上使わない現金」を特定します。次にSMBC日興証券、大和証券などの大手証券、あるいはSBI証券などの口座を持っているか確認し、持っていなければ開設します。そして2026年1月のキャンペーン条件を各社公式サイトでチェックし、最も条件の良い会社を選んで募集期間中に申し込みます。

「金利ある世界」への適応は、まず無リスク資産の置き場所を変えることから始まります。2026年の個人向け国債は、その第一歩として最適なツールとなるでしょう。

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